30年待たされた異世界転移

明之 想

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第12章 激闘編

任せとけ!

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<エリシティア視点>



「ええ、ここはギリオンと2人で何とかします」

 力強い言葉に頷くウォーライルとリリニュス。
 私も。

「……任せた」

「おう、任せとけ!」

 やはり、ギリオンは自信満々だ。 
 ただ、だからといって、安心はできない。

 敵は超常の防御力と攻撃力を誇る怪竜。
 ギリオンとヴァルターがいかに凄腕でも簡単に倒せる相手ではないはず。
 それどころか……。

 いや、今は2人を信じよう。


「まずは、エリシティア様のもとからあいつを引き離すぞ」

「了解だ」

「グルゥ……」

「おい、ドラゴン野郎、かかってきやがれ」

「グルゥ……」

 完全に臨戦態勢に入っている2人とは対照的に怪竜はまたあの謎の仕草を繰り返している。

「てめえ、何してんだ?」

 ギリオンの挑発を受けても動かない。

「ちっ、やる気あんのかよ?」

「……」

「ざけんじゃ……ん? オレ様が怖えってか?」

 敵は大龍すら凌駕する力の持ち主。
 恐怖で動けないとは思えないが。

「油断するな、ギリオン」

「はっ、分かってらぁ」

「グル」

「けどよ、こりゃ、どういうこった?」

「この個体特有の性質かもしれない」

 性質?
 本当に?

「何にしても、悪いことではないだろ」

「いんや、闘気のないやつはつまらねえ」

「……」

「つっても、やるしかねえけどな。とりあえず、一撃いっとくか?」

「ギリオン殿、ヴァルター殿、敵の蒼鱗はとんでもなく硬いです。通常の剣撃では刃が通りません。ですので、弱点に剣を集めて下さい」

「弱点ってどこだ?」

「首と眼が弱いと思われます」

「よし、まずは眼を狙うぞ、ギリオン」」

「おう」

 2人が揃って剣を構えたところで。

「ちょっと待て!」

「ん?」

「ドラゴンが動き出す」

 ヴァルターの言葉通り。
 足を踏み出そうとしている。

「ちったぁ戦う気になったみてえだな」

「グルルゥ!」

「なら、こっち来いよ」

 ゆっくりとギリオンの前に歩いていく。
 つまり、我らの元から離れていくと。

「エリシティア様、バケモノが離れていきます」

 ウォーライルの口調には、さっきまでなかった活力が戻っている。

「そろそろ動けますか?」

「まだだ、が、もう少し待てば」

 動けるはず。
 咆哮による四肢の痺れも幾分か和らいできた。
 こうなるともう、時間の問題だろう。

「では、動けるようになり次第、森に入りましょう」

「……待機と言われたが?」

「エリシティア様の安全が最優先です」

「……」

「エリシティア様!」

「2人の援護は?」

「もうすぐ部下が到着します。彼らに任せれば良いかと」

 確かに、駆ける騎士たちがすぐそこに見える。

「ふむ……」

 これも命の使い所。
 そう考えるしかない、か。

 が、いずれにしても、動けるようになるまではギリオンとヴァルター頼り。彼らの奮闘を祈るだけだ。

 そんな戦いが始まった。

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