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第12章 激闘編
節約
しおりを挟む<エリシティア視点>
ここがただの山中なのか異界なのか?
推測はできても断定はできない。それでも、皆が言うように麓に向かえば明らかになる。ならば、迷わず進むだけだ。
「麓に向かうとしよう」
「「「「「「「はっ」」」」」」」
今我々がいるのは山中にしては幅の広い坂道の中程。
まずは、この道を下方に……。
「お待ちください」
下山に向け足を踏み出した私の前に立ち塞がったのはウォーライル。
なぜ進路を遮る?
おまえも下山に賛成していたであろう?
「どうした?」
「麓に向かう前に、エリシティア様の治療をいたします」
「……問題ない」
「いえ、先の戦闘と地震で負傷されてますので」
確かに傷を負ってはいるが、治療するほどではない。
それに、ここが山中だというなら急ぐべきだろう。
「治療は後回しだ」
「軽傷と侮ってはなりません。エリシティア様は至尊のお身体なのですから」
「日暮れ前に麓に到着できぬかもしれぬぞ」
「それでもです。最悪の事態に陥らぬよう、迅速適切に治療しましょう」
「……」
「そもそも、今すぐ出発したからといって夜までに下山が完了するとも限りませんので」
ウォーライルらしい正論だな。
返す言葉もない。
「治療班、すぐ処置をするように」
「「はっ」」
命を受けた2人の衛生兵が私の前に駆け寄って来る。
ん?
「サイラスは?」
「「……」」
俯く衛生兵に代わって口を開いたのは、またしてもウォーライル。
「ここにはおりませぬ」
この地に転移していない?
「消えた半数の騎士たちと同様の状況かと」
私とともに山中で解放されたのは、ギリオン、ウォーライル、リリニュスを含め約半数の騎士たち。残りの者の行方は不明のままだ。
「いまだ異界の中? あるいは、他の地に?」
「……」
己の現在地すら認識できぬ身に真実など分かるわけもない。
それは私もウォーライルも騎士たちも同じ。
が。
「命さえあれば再会できる、か」
「はっ」
「ならば、祈るとしよう」
彼らの無事を。
「「「「「……」」」」」
「「「「「……」」」」」
「では、エリシティア様、まずは治療を」
「うむ」
傍らに控えていた衛生兵2人が取り出したのは低級の魔法薬。
「そなたら、治癒魔法は?」
「申し訳ございません。魔力が回復しておりませぬゆえ」
「他の者もか?」
「……はい」
国境の平原、異界と続いた戦闘、さらに今回の半数離脱により衛生兵自体が足りておらぬようだ。その上、彼らの魔力も枯渇し魔法薬の備蓄も心許ないとなれば。
「魔法薬の使用は最低限に留めるように」
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