30年待たされた異世界転移

明之 想

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第12章 激闘編

野営

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<ギリオン視点>



「うぅ……」

「目が覚めたのか?」

 何だ?
 どこだ、ここは?
 オレはどうなって?

「ギリオン、痛みは?」

 姫さんが見下ろしてる?
 心配そうに。

「ギリオン?」

「ああ、痛みはねえ」

「そうか!」

 目から不安が消え、安堵がこぼれ出している。
 なぜ、そこまで……っ!

 オレは意識を失ってたのか?
 皆が戦ってんのに?

 って、それより。

「ダブルヘッドはどうなった、姫さん!」

「既に討伐済みだ」

 もう倒しただと?

「だから、今はゆっくり休めばいい」

 姫さんの言葉が頭におさまると同時に、周りの光景が目に入ってきた。

「……」

 オレがいんのは草が刈り取られた空き地の上。
 傍らには姫さん。その後ろには3人の衛生兵。
 他のやつらは、少し離れて横になってる者もいれば歩哨に立つ者もいるようだ。 

 って、この状況……ダブルヘッドを討伐し、野営の準備を終え、夕食までも済んでんじゃねえかよ。

「……随分と眠っちまったんだな」

「うむ、痛みと治療の影響であろう」

 まあ、皆の戦闘中に意識を手放したんだから、そういうことになるか。

「特に問題は起こっておらぬゆえ、気に病むことはないぞ」

「……」

 状況は理解できた。
 できたんだが……情けねえ。

「わりぃ、約束を破っちまったな」

「……ギリオンにはこれまで散々世話になっておる」

「それでもだ」

「なら、今夜は身体を休めて明日からまた守ってくれ」

「……」

「どうした? まだ難しいのか?」

「違う、そういうんじゃねえ」

「ん?」

「……わあったよ、明日からは任せとけ」

「うむ」

 きっちり汚名を返上してやらぁ。

「ところで、本当に痛みはないのだな?」

「おう、まったく問題ねえぜ」

「さきほども同じことを言っていたが?」

「なっ……今度はほんとだ」

「信じても?」

「いいに決まってんだろ」

「……ふむ」

 おい、何だその目は?

「ほら、見てくれ。鱗も消えかけてる。これで痛みが引かなきゃ嘘ってもんだぞ」

「……ふむ」

 まだ完全には信じちゃいねえな。

「……」

 つってもまあ、これまでのことがあんだ。
 しょうがねえか。

「痛みが消えたとのことですので、ギリオン殿、こちらを口に入れてください」

 衛生兵が差し出してきたのは、魔法薬と少量の保存食。

「薬は仕舞ってくれ」

「いえ、今夜は念のため」

「そうだぞ、ギリオン」

 ちっ。

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