魔王さんのガチペット

回路メグル

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第8章 その後の二人 / 嫉妬と未来の話

パーティー(2)

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 これは……。
 ホストの時には言われたよ? 「ライトさんみたいに稼ぐにはどうしたらいいっすか? まぁ、顔が全然違うんで整形かなぁ~」なんて。
 それを嫌とも嬉しいとも思わなかったけど……。
 これ……。
 目の前のこの子が言ってくれているのは、純粋な憧れだよね?
 嬉しい……かも。

「……なりたいのは、俺の見た目? 中身?」

 少し体を屈めて、イユリちゃんと視線を合わせると、大きな目を更に大きく見開いて、輝かせてくれる。

「両方です!」
「うーん。そうだなぁ……」

 外見を磨くためにしていることも色々あるし、愛されるために気を付けていることも色々ある。
 細かく話せばパーティーが終わっても時間が足りない。
 だから、一言で説明するなら……

「俺はね、何をする時でも大好きな人が喜ぶ顔を想像しているよ」
「好きな人が喜ぶことをする……ってことですか?」
「そうそう。呑み込みが良いね。大好きな人が喜ぶこと、大好きな人が幸せになること、大好きな人が俺をもっと好きになってくれること、それって何だろうって考えれば、外見も中身もどんどん素敵になると思うよ」
「はい! そう考えると頑張れそうだし、頑張りやすそうです!」

 素直でかわいいなぁ。
 それに俺とイユリちゃんのやり取りを眺める周囲の魔族さんたちの視線がすごく「かわいいなぁ」と言っている。ここではそうだよね。好きな人……ご主人様のために頑張るペット、イメージ良いよね。
 でも、イユリちゃんにはもう少しこの言葉を深く理解してもらわないといけない。

「イユリちゃん、好きな人いる?」
「はい、ハレアザート様が大好きです!」

 イユリちゃんの横で、ギルドマスターさんが嬉しそうに笑顔を深める。
 ミチュチュちゃんの話といい、本当に良いお父さんなんだろうな。

「いいね、じゃあ」

 少しイユリちゃんに顔を近づけて、耳元でこそっと囁く。

「自分のこと好き?」
「え?」

 ずっと笑顔で目をキラキラさせていたイユリちゃんが戸惑いながら目を瞬かせる。

「えっと、まぁ……普通に? 好き……です……?」

 俺に合わせて、小さな声で返してくれたイユリちゃんに、もう一度耳打ちする。

「じゃあ、自分のことももっともっと好きになろう。ギルドマスターさんを好きな気持ちと同じくらい。好きな人に好かれるのと、自分に好かれるの、どっちも大事だから」
「自分に……」
 
 顔を離すと、イユリちゃんにもう一度念を押す。

「忘れないでね?」
「えっと、自分に…………はい、わかりました!」

 イユリちゃんは俺の言葉をしっかり噛みしめてから頷いてくれた。
 よしよし。なんとなくでも伝わったかな?
 俺がイユリちゃんの頭をポンポンと撫でてから立ち上がると、ギルドマスターさんがニコニコと……ビジネス用の笑顔ではなく、お父さんっぽい笑顔になっていた。

「イユリは、昨日からなんて質問させて頂くか何度も何度も練習していたんですよ。ギルドマスターとしては、ライト様が美容術でも教えてくだされば商売にも繋がるかもしれないなと思ったのですが……どうやら商売なんかよりも大事なことを教えてくださったようですね。飼い主として感謝します」
「本当は企業秘密なんだけど、今日はミチュチュちゃんにもとてもお世話になったから。新しいお友だちとも今後何十年と仲良くしたいしね?」

 あと、小さい子に頼られるの、弱いからなぁ。
 俺の中の「お兄ちゃん」の部分が我慢できなかった。
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