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番外編1 ●●が怖い執事長の話
恋心(2)
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「役に立てて、お前がずっと、俺に感謝するほど穏やかに過ごせていたのなら嬉しい。愛するローズウェルの役に立てたのなら、これ以上の悦びは無い」
「ウオルタ……」
「それに、俺が恋人のフリなんてしなくてもローズウェルが平穏に暮らせるなら、それも、喜ばしいことだ」
ウオルタの寂しそうな笑顔から目が離せない。
本当は、こんな顔をさせたいわけではなくて……こういうことに慣れていなくて上手くできない自分がもどかしい。
ライト様を頼れば良かったか……いや、ダメだ。
どんなに下手でも、恥ずかしくても、苦手でも、自分で話さないと……。
「あの、それで、恋人のフリをやめて、今後の関係なのですが……」
「ん? あぁ、俺は、できれば親友としてでも側にいられれば嬉しいが……俺の気持ちを知ってしまって、ローズウェルが怖いと思うなら、距離をとろう。怖がらせたくは無いんだ。ローズウェルの平穏が一番だ」
どこまでも優しく、どこまでも私のことを一番に考えてくれるのか……。
「……私より、ウオルタの希望は?」
「俺?」
「ウオルタは、私とどういう関係がいいですか?」
「それは……できれば本当の恋人に……ゆくゆくは、伴侶に……なれれば……幸せだが……。あ! もし俺への恩義を感じて無理に合わせようというなら不要な気遣いだからな! 無理はして欲しくない!」
「ウオルタ……」
自分の希望を言う時より、私を気遣う言葉の方がスムーズに出てくるのか。
これは……思わず頬が緩む。
「嬉しい」
「え?」
「ウオルタのくれる言葉は、どれも、とても嬉しいです」
「ローズウェル……?」
「あなたに好かれていると、愛されていると解って、嬉しかった。あなたのくれる愛は、怖くなくて、嬉しいです。でも、情けないことに、この嬉しい気持ちが恋心なのかなんなのか解らなくて……ただ……ウオルタと一緒にいる時間は幸せで……」
「あ……」
ウオルタが驚いたような顔をしながら、ただただじっと私を見下ろす。
「すみません、こういうことに、慣れていなくて……」
「あ、いや、俺だって、慣れていない」
ウオルタはまだ驚きを隠せない表情ではあるが、じっと、私の言葉の一つ一つを丁寧に噛みしめて飲みこむように、耳を傾けてくれる。
「そこで、提案と言うか……お願いがあって」
「なんだ?」
今日、ライト様に難しく考えずにやってみたらと言われた言葉を、自分なりに考えた「お願い」。
ウオルタが付き合ってくれるか解らないが……。
「一度、恋人がするようなことを……色々してみてもいいですか?」
「……!」
ウオルタが更に驚いた顔をする。
その反応、どうなんだ?
「愛とは、恋人とは、何なのか、ライト様が言うように素敵なものなのか……私が、ウオルタのことを好ましく思っているこの気持ちは……どういう、好き……なのか……」
「あ……」
「ちゃんと、恋人になれるかは、解らないのですが……」
もし、これで恋人になれなかったらとても申し訳ないのだが……視線をそらしかけた私の肩を、ウオルタが力強く掴んだ。
「いい!」
「え?」
「いい! もちろん、いい! 二人の関係にまだ名前をつけなくていい! したいと思うこと、して楽しい、幸せだと思うことだけをしていって、それが結果的に恋人らしいことなら、恋人になろう。恋人らしいことが無理で、親友でいたいならそれでもいい。どんな形でも、俺のことを嫌わずに、好いていてほしい。嫌がることはしたくない、嫌われたくない……」
「ウオルタ……」
好かれることより、嫌われないことの方が大切なのか?
そんなに、私の側にいたいと思ってくれるのか?
これも、胸がぎゅっとする。
「ありがとう。でも、嫌いにだけはならないので安心してください」
「そうか……」
ウオルタがやっと少し照れたような笑顔になって……私もほっとした。
まだ怖くて、上手な一歩が踏み出せない私に寄り添ってくれるウオルタ。
私の言葉で、私にしか見せない穏やかな笑顔になるウオルタ。
「改めてよろしく、ウオルタ」
「こちらこそ、よろしく頼む」
目の前の彼となら、不格好ではあるが、一歩踏み出せるなと思った。
「ウオルタ……」
「それに、俺が恋人のフリなんてしなくてもローズウェルが平穏に暮らせるなら、それも、喜ばしいことだ」
ウオルタの寂しそうな笑顔から目が離せない。
本当は、こんな顔をさせたいわけではなくて……こういうことに慣れていなくて上手くできない自分がもどかしい。
ライト様を頼れば良かったか……いや、ダメだ。
どんなに下手でも、恥ずかしくても、苦手でも、自分で話さないと……。
「あの、それで、恋人のフリをやめて、今後の関係なのですが……」
「ん? あぁ、俺は、できれば親友としてでも側にいられれば嬉しいが……俺の気持ちを知ってしまって、ローズウェルが怖いと思うなら、距離をとろう。怖がらせたくは無いんだ。ローズウェルの平穏が一番だ」
どこまでも優しく、どこまでも私のことを一番に考えてくれるのか……。
「……私より、ウオルタの希望は?」
「俺?」
「ウオルタは、私とどういう関係がいいですか?」
「それは……できれば本当の恋人に……ゆくゆくは、伴侶に……なれれば……幸せだが……。あ! もし俺への恩義を感じて無理に合わせようというなら不要な気遣いだからな! 無理はして欲しくない!」
「ウオルタ……」
自分の希望を言う時より、私を気遣う言葉の方がスムーズに出てくるのか。
これは……思わず頬が緩む。
「嬉しい」
「え?」
「ウオルタのくれる言葉は、どれも、とても嬉しいです」
「ローズウェル……?」
「あなたに好かれていると、愛されていると解って、嬉しかった。あなたのくれる愛は、怖くなくて、嬉しいです。でも、情けないことに、この嬉しい気持ちが恋心なのかなんなのか解らなくて……ただ……ウオルタと一緒にいる時間は幸せで……」
「あ……」
ウオルタが驚いたような顔をしながら、ただただじっと私を見下ろす。
「すみません、こういうことに、慣れていなくて……」
「あ、いや、俺だって、慣れていない」
ウオルタはまだ驚きを隠せない表情ではあるが、じっと、私の言葉の一つ一つを丁寧に噛みしめて飲みこむように、耳を傾けてくれる。
「そこで、提案と言うか……お願いがあって」
「なんだ?」
今日、ライト様に難しく考えずにやってみたらと言われた言葉を、自分なりに考えた「お願い」。
ウオルタが付き合ってくれるか解らないが……。
「一度、恋人がするようなことを……色々してみてもいいですか?」
「……!」
ウオルタが更に驚いた顔をする。
その反応、どうなんだ?
「愛とは、恋人とは、何なのか、ライト様が言うように素敵なものなのか……私が、ウオルタのことを好ましく思っているこの気持ちは……どういう、好き……なのか……」
「あ……」
「ちゃんと、恋人になれるかは、解らないのですが……」
もし、これで恋人になれなかったらとても申し訳ないのだが……視線をそらしかけた私の肩を、ウオルタが力強く掴んだ。
「いい!」
「え?」
「いい! もちろん、いい! 二人の関係にまだ名前をつけなくていい! したいと思うこと、して楽しい、幸せだと思うことだけをしていって、それが結果的に恋人らしいことなら、恋人になろう。恋人らしいことが無理で、親友でいたいならそれでもいい。どんな形でも、俺のことを嫌わずに、好いていてほしい。嫌がることはしたくない、嫌われたくない……」
「ウオルタ……」
好かれることより、嫌われないことの方が大切なのか?
そんなに、私の側にいたいと思ってくれるのか?
これも、胸がぎゅっとする。
「ありがとう。でも、嫌いにだけはならないので安心してください」
「そうか……」
ウオルタがやっと少し照れたような笑顔になって……私もほっとした。
まだ怖くて、上手な一歩が踏み出せない私に寄り添ってくれるウオルタ。
私の言葉で、私にしか見せない穏やかな笑顔になるウオルタ。
「改めてよろしく、ウオルタ」
「こちらこそ、よろしく頼む」
目の前の彼となら、不格好ではあるが、一歩踏み出せるなと思った。
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