魔王さんのガチペット

回路メグル

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番外編2 ○○が好きなメイドと、誕生日祝いの話

約束(4)

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 今夜、デザインをもう少しまとめて、型紙を作って、次の休みに生地屋さん……
 早く作りたくてうずうずしながらベビードールの絵を眺めていると、ライト様がもう一枚紙を取り出した。

「ね、これってどれくらいでできる?」
「難しくない形なので、作り始めれば早いです。ただ、材料を買いに行くのは休日しかできないので……二週間くらい頂ければ確実です」
「え? そんなに早くできるの?」
「はい! 先日の衣装は難しいパーツが多かったので時間がかかりましたが、これは早いですよ」
「……だったら……もう一つ相談していい?」
「もう一つ?」

 もう一つかわいい物が作れる?
 やるやる! やりたい!

「はい! なんでもご相談ください!」
「これは、きちんと依頼というか、お金を払うからオーダーメードで作って欲しいというお願いなんだけどね?」

 お金なんていらないのに。
 でも……その後ライト様が紙に絵を描きながら相談してくれた内容を聞いて、ライト様がお金を払いたい理由もわかったし、とてもとてもかわいいお願いで……やりがいのある仕事を頂けてしまった。
 こっちは楽しいというより、使命感かな? 頑張ろう!

「どっちも、魔王さんには当日まで内緒だよ? ビックリさせたいから」
「もちろんです!」

 これは……あぁ、やばい。
 当日まで、魔王様の前で顔がにやけるのを我慢できるかな?
 だって、絶対に絶対に絶対に喜ばれる!!

 ベビードールと、オーダーメードのご依頼。
 どっちもしっかり頑張ろう!
 あと、ポーカーフェイスも。


      ◆


 ライト様に二週間かかると言ったのに、楽しすぎて一週間で出来上がってしまった。
 もう一つのオーダーメードのお願いも、すぐに出来上がった。

「楽しすぎて……一瞬だった……もっと作りたい、もっと……」

 このベビードールにもっと飾り付けちゃだめかな……だめだよね……いっそ、もう一着……ん?
 そうか。

「自分用、作っちゃえばいいんだ」

 寮の部屋には、多めに何種類か買った生地やリボン、レース、買ったもののライト様に「それはちょっと違うかな」と言われてしまったビーズが沢山転がっている。

「私には見せる恋人はいないけど……」

 ライト様用のベビードールを着せたトルソーの横には、大きな姿見を置いてある。
 姿見を観れば当然、自分と目が合った。

「自分が見たいもんね!」

 何から作ろう。
 ベビードールの方がかわいいけど、普段用の下着なら仕事中でも身につけられて気分が上がるかも!

「いつもの白い下着にピンクのレースを付けるだけでも……あ、やっぱり小さいリボンも、で、リボンの真ん中にビーズ……刺繍って肌触り悪いかな……柔らかい糸ならいけるか……」

 ……お?

「これ、お揃いでハーフトップも……同じレースとリボンと……あ、肩ひもをライト様のベビードールみたいにリボンにして……」

 かわいい!
 上下お揃いってかわいい!
 好きなだけレースもリボンも付けられて最高!

「これなら服で隠れるから仕事中でも着られるし、周りに『かわいすぎる』なんて言われないし……」

 ライト様のお陰で新しい「かわいい」見つけちゃったな!
 明日から早速着たいけど……

「……」

 トルソーとその横に置いた紙袋に入っているオーダーメード品のことを思うと、私がこれを着るのも、魔王様のお誕生日の後にしようと思った。

「それまでに沢山バリエーション作っちゃおう!」

 淵にレースとか、サイドにリボンとか、後ろ全体にフリルって座る時邪魔かな?

 魔王様のお誕生日まであと二ヶ月半ほど。
 色々な意味で、楽しみになっちゃったな!

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