222 / 368
番外編2 ○○が好きなメイドと、誕生日祝いの話
約束(4)
しおりを挟む
今夜、デザインをもう少しまとめて、型紙を作って、次の休みに生地屋さん……
早く作りたくてうずうずしながらベビードールの絵を眺めていると、ライト様がもう一枚紙を取り出した。
「ね、これってどれくらいでできる?」
「難しくない形なので、作り始めれば早いです。ただ、材料を買いに行くのは休日しかできないので……二週間くらい頂ければ確実です」
「え? そんなに早くできるの?」
「はい! 先日の衣装は難しいパーツが多かったので時間がかかりましたが、これは早いですよ」
「……だったら……もう一つ相談していい?」
「もう一つ?」
もう一つかわいい物が作れる?
やるやる! やりたい!
「はい! なんでもご相談ください!」
「これは、きちんと依頼というか、お金を払うからオーダーメードで作って欲しいというお願いなんだけどね?」
お金なんていらないのに。
でも……その後ライト様が紙に絵を描きながら相談してくれた内容を聞いて、ライト様がお金を払いたい理由もわかったし、とてもとてもかわいいお願いで……やりがいのある仕事を頂けてしまった。
こっちは楽しいというより、使命感かな? 頑張ろう!
「どっちも、魔王さんには当日まで内緒だよ? ビックリさせたいから」
「もちろんです!」
これは……あぁ、やばい。
当日まで、魔王様の前で顔がにやけるのを我慢できるかな?
だって、絶対に絶対に絶対に喜ばれる!!
ベビードールと、オーダーメードのご依頼。
どっちもしっかり頑張ろう!
あと、ポーカーフェイスも。
◆
ライト様に二週間かかると言ったのに、楽しすぎて一週間で出来上がってしまった。
もう一つのオーダーメードのお願いも、すぐに出来上がった。
「楽しすぎて……一瞬だった……もっと作りたい、もっと……」
このベビードールにもっと飾り付けちゃだめかな……だめだよね……いっそ、もう一着……ん?
そうか。
「自分用、作っちゃえばいいんだ」
寮の部屋には、多めに何種類か買った生地やリボン、レース、買ったもののライト様に「それはちょっと違うかな」と言われてしまったビーズが沢山転がっている。
「私には見せる恋人はいないけど……」
ライト様用のベビードールを着せたトルソーの横には、大きな姿見を置いてある。
姿見を観れば当然、自分と目が合った。
「自分が見たいもんね!」
何から作ろう。
ベビードールの方がかわいいけど、普段用の下着なら仕事中でも身につけられて気分が上がるかも!
「いつもの白い下着にピンクのレースを付けるだけでも……あ、やっぱり小さいリボンも、で、リボンの真ん中にビーズ……刺繍って肌触り悪いかな……柔らかい糸ならいけるか……」
……お?
「これ、お揃いでハーフトップも……同じレースとリボンと……あ、肩ひもをライト様のベビードールみたいにリボンにして……」
かわいい!
上下お揃いってかわいい!
好きなだけレースもリボンも付けられて最高!
「これなら服で隠れるから仕事中でも着られるし、周りに『かわいすぎる』なんて言われないし……」
ライト様のお陰で新しい「かわいい」見つけちゃったな!
明日から早速着たいけど……
「……」
トルソーとその横に置いた紙袋に入っているオーダーメード品のことを思うと、私がこれを着るのも、魔王様のお誕生日の後にしようと思った。
「それまでに沢山バリエーション作っちゃおう!」
淵にレースとか、サイドにリボンとか、後ろ全体にフリルって座る時邪魔かな?
魔王様のお誕生日まであと二ヶ月半ほど。
色々な意味で、楽しみになっちゃったな!
早く作りたくてうずうずしながらベビードールの絵を眺めていると、ライト様がもう一枚紙を取り出した。
「ね、これってどれくらいでできる?」
「難しくない形なので、作り始めれば早いです。ただ、材料を買いに行くのは休日しかできないので……二週間くらい頂ければ確実です」
「え? そんなに早くできるの?」
「はい! 先日の衣装は難しいパーツが多かったので時間がかかりましたが、これは早いですよ」
「……だったら……もう一つ相談していい?」
「もう一つ?」
もう一つかわいい物が作れる?
やるやる! やりたい!
「はい! なんでもご相談ください!」
「これは、きちんと依頼というか、お金を払うからオーダーメードで作って欲しいというお願いなんだけどね?」
お金なんていらないのに。
でも……その後ライト様が紙に絵を描きながら相談してくれた内容を聞いて、ライト様がお金を払いたい理由もわかったし、とてもとてもかわいいお願いで……やりがいのある仕事を頂けてしまった。
こっちは楽しいというより、使命感かな? 頑張ろう!
「どっちも、魔王さんには当日まで内緒だよ? ビックリさせたいから」
「もちろんです!」
これは……あぁ、やばい。
当日まで、魔王様の前で顔がにやけるのを我慢できるかな?
だって、絶対に絶対に絶対に喜ばれる!!
ベビードールと、オーダーメードのご依頼。
どっちもしっかり頑張ろう!
あと、ポーカーフェイスも。
◆
ライト様に二週間かかると言ったのに、楽しすぎて一週間で出来上がってしまった。
もう一つのオーダーメードのお願いも、すぐに出来上がった。
「楽しすぎて……一瞬だった……もっと作りたい、もっと……」
このベビードールにもっと飾り付けちゃだめかな……だめだよね……いっそ、もう一着……ん?
そうか。
「自分用、作っちゃえばいいんだ」
寮の部屋には、多めに何種類か買った生地やリボン、レース、買ったもののライト様に「それはちょっと違うかな」と言われてしまったビーズが沢山転がっている。
「私には見せる恋人はいないけど……」
ライト様用のベビードールを着せたトルソーの横には、大きな姿見を置いてある。
姿見を観れば当然、自分と目が合った。
「自分が見たいもんね!」
何から作ろう。
ベビードールの方がかわいいけど、普段用の下着なら仕事中でも身につけられて気分が上がるかも!
「いつもの白い下着にピンクのレースを付けるだけでも……あ、やっぱり小さいリボンも、で、リボンの真ん中にビーズ……刺繍って肌触り悪いかな……柔らかい糸ならいけるか……」
……お?
「これ、お揃いでハーフトップも……同じレースとリボンと……あ、肩ひもをライト様のベビードールみたいにリボンにして……」
かわいい!
上下お揃いってかわいい!
好きなだけレースもリボンも付けられて最高!
「これなら服で隠れるから仕事中でも着られるし、周りに『かわいすぎる』なんて言われないし……」
ライト様のお陰で新しい「かわいい」見つけちゃったな!
明日から早速着たいけど……
「……」
トルソーとその横に置いた紙袋に入っているオーダーメード品のことを思うと、私がこれを着るのも、魔王様のお誕生日の後にしようと思った。
「それまでに沢山バリエーション作っちゃおう!」
淵にレースとか、サイドにリボンとか、後ろ全体にフリルって座る時邪魔かな?
魔王様のお誕生日まであと二ヶ月半ほど。
色々な意味で、楽しみになっちゃったな!
192
あなたにおすすめの小説
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。