326 / 368
第9章 その後の世界 / 新しい仲間と遊びの話
帰路(1)
しおりを挟む「まだお城に着かない?」
「あと二〇分はかかる」
屋上についていた伝声管でローズウェルさんたちを呼んで、馬車に乗り込んで……「膝乗っていい?」って甘えたのは俺から。
向かい合って乗るだけのつもりだったのに、キスしたり、Tシャツをめくって背中を撫でたり、イチャイチャし始めたのは魔王さんから。
「ん、ふふっ、この馬車、カーテン付きでよかったね?」
「ん……」
外は見えないけど、おそらく城下町の大通りに入ったかな? 少し騒がしい気がする。
「ライト」
俺が見えない外を気にすると、魔王さんは頬に手を添えて自分の方へ向くように促してくる。
かっわいい。ちょっと甘えてる魔王さん、めっちゃかわいい。
城下町の、大事な国民がいっぱいいる場所なのに、俺しか目に入ってないの、嬉しくなっちゃうな。
「魔王さん……」
室内灯は明るくて、魔王さんの少し興奮した顔がよく見える。
マンネリなんてまだまだしていないけど、デートでもっと仲良く、気分が高まるといいなとは思っていて……大成功だな。
「お城に戻ったら、すぐに部屋行こうね?」
「あぁ」
「どっちの部屋にする? 今のうちに決めておこう?」
「……ライトの部屋の方がたった数メートルでも入口から近い。ライトの部屋だ」
「ふふっ、確かにね。そうしようか」
かわいいことを言いながら、魔王さんは俺の首筋にキスをして、背中や……ズボンにも指先が入って、腰とおしりの微妙な境目を撫でる。
手つきがやらしい。
「そんなに待てない?」
「ライトが好きでたまらなくて、とてもかわいい」
魔王さん、返事になってないなぁ。
「ふ、ふふっ、もう」
楽しい。デートもセックスも楽しいけど、こういうイチャイチャ、すごく好き。
「仕方ないなぁ」
「っ!」
首に回していた手を、魔王さんのジャケットの中に入れる。
「部屋についたらすぐに脱げるように、何個かボタン外しておこう」
「あ……」
魔王さんの体は分厚いから、背中側のボタンを外そうと思うとしっかり密着しないといけない。
上半身を摺り寄せて、あ、届いた。
「全部外しちゃいたいけど、馬車降りて、部屋まで歩くから……何個にしようかな」
ボタンの位置や数を確かめるように、ちょうど背中の真ん中にあるシャツのボタンを、指先で上からなぞっていく。
「っ!?」
魔王さんの体がこれだけで跳ねて、腹筋に力が入った気がした。
「一番上は留めておいて、二番目は外そうかな……ん、外れた」
小さなボタンが外れたのを確認するように、シャツの中に指先を入れて、直接肌をひっかく。
ちょうど馬車が揺れて、魔王さんの体も揺れる。
「三番目はどうしようかな」
三番目のボタンまで、素肌を撫でるように指をおろして、カリカリと指先でボタンをひっかいた。
「ここも外しちゃおう」
三番目のボタンを外すと、二番目を外してできた隙間が大きくなった。
「んー……」
右手は背中に回したまま、左手を離して少しだけ体を離す。
「うん。後ろにこんなに隙間ができているなんて、前からはわからないね」
「ッ!」
大きな隙間に指だけでなく手首あたりまで入れて背中を撫でる。
掌に触れる肌の体温が、一気に上がった。
「あともう一カ所にしておこう。五番目と六番目、どっちのボタンにしようかなぁ」
また魔王さんに抱き着いて、ズボンに入れられていたシャツの裾を引っ張りだす。
「六番目。一番下にしよう」
抱き着いて、密着しながら一番下のボタンを外す。
このままだと裾が広がってボタンが外れているのがバレバレだから……
「バレないように裾、戻しておかないとね?」
魔王さんがぎゅっと唇を閉じて何も言えなくなってしまっているから、俺の独り言みたいで間抜けだけど、正直、楽しい。
魔王さん、俺が煽る分だけ、煽られてくれる。
「ベルト緩めて……」
「ッ!」
「フロントボタンも一番上だけ外して……」
「んっ!」
「裾入れて……もうちょっと奥まで、ちゃんと」
「う……!」
ズボンの中に、シャツの裾を入れているだけなのにね?
魔王さん、顔真っ赤にしていい反応してくれるな。
……まぁ、ちょっといやらしく、おしり触りながらしているけど。
「前も」
「あ、まっ……!」
抱き着いた体勢でシャツの後ろ部分を入れた後、腰を撫でながらウエスト部分に沿って掌を前に回すと……あぁ、これで?
「もう、こんなになっちゃうんだ?」
「あ……そ、それは……」
硬くなっていなくても存在感のあるズボンの前が、わかりやすく膨らんでいる。いつもより薄いズボンだから目立つ。
このイチャイチャだけで勃起しちゃうんだ?
俺のこと大好きすぎるな、魔王さん。
477
あなたにおすすめの小説
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜
COCO
BL
「ミミルがいないの……?」
涙目でそうつぶやいた僕を見て、
騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。
前世は政治家の家に生まれたけど、
愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。
最後はストーカーの担任に殺された。
でも今世では……
「ルカは、僕らの宝物だよ」
目を覚ました僕は、
最強の父と美しい母に全力で愛されていた。
全員190cm超えの“男しかいない世界”で、
小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。
魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは──
「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」
これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。