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第10章 その後の世界 / パーティーとやりたいことの話
パーティーの日/始まり
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俺も魔王さんも忙しくしているうちに、国際会議の当日を迎えた。
俺が担当したおもてなし関連の準備は、大変ではあったけど楽しくて、今日のみんなの反応にもよるけど、またしてもいいな。
だって……
「おはよう、魔王さん」
「おはよう、ライト……あぁ、やはりその服はかわいいな」
元の世界から持ってきたスーツを着て、リリリさんに赤いリボンを編み込んだ凝ったヘアスタイルにしてもらって、自分の準備を完璧に済ませてから魔王さんの部屋へ行くと、魔王さんはいつもより少しだけ豪華な黒い詰襟の服とマントを身に着けて、背筋を伸ばして立っていた。
さすが王様。豪華でカッチリした格好が似合う。カッコイイ。
いつも通りカッコイイ顔の顔色も良好。
俺が朝から顔を見に来たからか、機嫌もいい。
「魔王さんも、いつもよりカッコイイよ。いつもカッコイイけど」
「そうか? 自国開催の会議の朝なのに、普段よりも余裕があるからな。ライトのおかげだ」
「そうでしょう? 俺に頼って正解だったね」
「ははっ! そうだな。反論できない」
魔王さん、最初は俺が仕事をすることに対して渋っていたけど、俺が本気で楽しんで仕事に取り組んでいる姿、そしてみんなの協力を得ながら上手に……まだ結果はわからないけど、魔王さんやこの国の役に立つように考えた「おもてなし」の数々を見て、考えを改めてくれたようだ。
「ねぇ、魔王さん」
「なんだ?」
元の世界から持ってきたお気に入りのスーツにシワがつかない程度に、魔王さんに抱き着く。
「今日のおもてなしが成功して、みんなに喜んでもらえたら……ご褒美くれる?」
「もちろんだ。俺の負担が減って、会議の準備がしっかりできた時点で成功だが……なんでも欲しいものを言ってくれ」
「なんでも?」
「あぁ」
よし。言質とった。
「やった! 今日一日、しっかり頑張るね!」
「俺も、ライトの頑張りを無駄にしないようにしっかり頑張ってくる」
魔王さんも優しく俺の体を抱きしめてくれて……三〇秒くらい。
無言でくっついているだけですっごく幸せを感じる。満足。
好きな人のパワーってすごいよね。……俺が魔王さんの「専属」だからなのかもしれないけど。
「ん。しっかり魔王さんの愛情を充電できた。最終チェック行ってくる」
「あぁ……」
「ん?」
顔を上げると、魔王さんが俺の顎にそっと指先で触れる。
だんだん顔が近付いて……あぁ、キスか。
あれ?
「……?」
「……」
唇同士をくっつけるんだと思って待っていると、魔王さんの唇は俺の頬に触れて、離れていった。
「……いつも、俺が仕事へ行くときにしてくれて……喜ばせてくれているだろう?」
「……!」
そういうこと? いつも俺がしている「いってらっしゃいのキス」ってこと?
自分がされて嬉しいから?
俺にもしてくれるんだ?
そんなの……そんなの、嬉しすぎる!
「魔王さーん!」
さっきは我慢したのに。
いいスーツを着ていることも忘れて、思い切りぎゅっと魔王さんに抱き着いてしまった。
「嬉しい! 頑張ってお仕事してくるよ!」
「無理はしないで欲しいが、ライトの活躍を楽しみにしている」
「うん。魔王さんが自慢できるようにいっぱい活躍する。魔王さんも頑張って」
俺からも魔王さんの頬にキスをして、名残惜しいけど魔王さんの部屋を出た。
ちょっと仕事をするだけでこんなに褒めて、気遣ってもらえるなんて申し訳ないけど……
「嬉しいなぁ」
まだ魔王さんの唇の感触が残る頬を撫でながら、軽い足取りで来賓の控室へと向かった。
◆
控室や調理場、パーティー会場の確認をして……各国の代表が来る時間になった。
最初の仕事は、魔王さんと一緒に来賓用の控室の入り口に立ってお客さんのお出迎えだ。
「よく来てくれた」
「いらっしゃい」
ここではいつも通り、にこにこ挨拶すればいいんだけど……
「ライト様!」
「導王様、オファちゃん!」
導王様とペットのオファちゃんが、おそろいの金の刺繍が入った紺色のローブ姿でやってきた。
主催として、公平におもてなしすべきなんだけど、ついつい仲のいい子とは長めに話してしまう。
「お願いされていました『写しの複写』の残りもお持ちしました。執事長さんに預けていますので、後ほどご確認ください」
「ありがとう。ごめんね、頑張って写したものなのに」
実は以前から、写し……「元の世界からタブレットに入れて大量に持ち帰った電子書籍をオファちゃんが紙に写したもの」の複写をお願いしていた。
俺が元の世界を忘れないように。あと、イユリちゃんの勉強のために。
「元はライト様のものですから当然です! 最近、導王の国の道路整備にも役立てさせていただきました」
「へぇ。それって魔王の国でも使えるのかな? 後でゆっくりお話し聞かせてね?」
「はい!」
俺とオファちゃんが話している間、魔王さんと導王様は全く話さずに俺たちのやり取りを「かわいい人間とおしゃべりするうちのこかわいい! かわいいとかわいいでかわいさが一〇〇倍だ!」って感じの顔で見ている。
魔王さん、そこは王様としておしゃべり頑張ってよとは思うけど……まぁ、導王様とは仕方がないか。
喧嘩しなくなっただけでもよしとしよう。
次は……
俺が担当したおもてなし関連の準備は、大変ではあったけど楽しくて、今日のみんなの反応にもよるけど、またしてもいいな。
だって……
「おはよう、魔王さん」
「おはよう、ライト……あぁ、やはりその服はかわいいな」
元の世界から持ってきたスーツを着て、リリリさんに赤いリボンを編み込んだ凝ったヘアスタイルにしてもらって、自分の準備を完璧に済ませてから魔王さんの部屋へ行くと、魔王さんはいつもより少しだけ豪華な黒い詰襟の服とマントを身に着けて、背筋を伸ばして立っていた。
さすが王様。豪華でカッチリした格好が似合う。カッコイイ。
いつも通りカッコイイ顔の顔色も良好。
俺が朝から顔を見に来たからか、機嫌もいい。
「魔王さんも、いつもよりカッコイイよ。いつもカッコイイけど」
「そうか? 自国開催の会議の朝なのに、普段よりも余裕があるからな。ライトのおかげだ」
「そうでしょう? 俺に頼って正解だったね」
「ははっ! そうだな。反論できない」
魔王さん、最初は俺が仕事をすることに対して渋っていたけど、俺が本気で楽しんで仕事に取り組んでいる姿、そしてみんなの協力を得ながら上手に……まだ結果はわからないけど、魔王さんやこの国の役に立つように考えた「おもてなし」の数々を見て、考えを改めてくれたようだ。
「ねぇ、魔王さん」
「なんだ?」
元の世界から持ってきたお気に入りのスーツにシワがつかない程度に、魔王さんに抱き着く。
「今日のおもてなしが成功して、みんなに喜んでもらえたら……ご褒美くれる?」
「もちろんだ。俺の負担が減って、会議の準備がしっかりできた時点で成功だが……なんでも欲しいものを言ってくれ」
「なんでも?」
「あぁ」
よし。言質とった。
「やった! 今日一日、しっかり頑張るね!」
「俺も、ライトの頑張りを無駄にしないようにしっかり頑張ってくる」
魔王さんも優しく俺の体を抱きしめてくれて……三〇秒くらい。
無言でくっついているだけですっごく幸せを感じる。満足。
好きな人のパワーってすごいよね。……俺が魔王さんの「専属」だからなのかもしれないけど。
「ん。しっかり魔王さんの愛情を充電できた。最終チェック行ってくる」
「あぁ……」
「ん?」
顔を上げると、魔王さんが俺の顎にそっと指先で触れる。
だんだん顔が近付いて……あぁ、キスか。
あれ?
「……?」
「……」
唇同士をくっつけるんだと思って待っていると、魔王さんの唇は俺の頬に触れて、離れていった。
「……いつも、俺が仕事へ行くときにしてくれて……喜ばせてくれているだろう?」
「……!」
そういうこと? いつも俺がしている「いってらっしゃいのキス」ってこと?
自分がされて嬉しいから?
俺にもしてくれるんだ?
そんなの……そんなの、嬉しすぎる!
「魔王さーん!」
さっきは我慢したのに。
いいスーツを着ていることも忘れて、思い切りぎゅっと魔王さんに抱き着いてしまった。
「嬉しい! 頑張ってお仕事してくるよ!」
「無理はしないで欲しいが、ライトの活躍を楽しみにしている」
「うん。魔王さんが自慢できるようにいっぱい活躍する。魔王さんも頑張って」
俺からも魔王さんの頬にキスをして、名残惜しいけど魔王さんの部屋を出た。
ちょっと仕事をするだけでこんなに褒めて、気遣ってもらえるなんて申し訳ないけど……
「嬉しいなぁ」
まだ魔王さんの唇の感触が残る頬を撫でながら、軽い足取りで来賓の控室へと向かった。
◆
控室や調理場、パーティー会場の確認をして……各国の代表が来る時間になった。
最初の仕事は、魔王さんと一緒に来賓用の控室の入り口に立ってお客さんのお出迎えだ。
「よく来てくれた」
「いらっしゃい」
ここではいつも通り、にこにこ挨拶すればいいんだけど……
「ライト様!」
「導王様、オファちゃん!」
導王様とペットのオファちゃんが、おそろいの金の刺繍が入った紺色のローブ姿でやってきた。
主催として、公平におもてなしすべきなんだけど、ついつい仲のいい子とは長めに話してしまう。
「お願いされていました『写しの複写』の残りもお持ちしました。執事長さんに預けていますので、後ほどご確認ください」
「ありがとう。ごめんね、頑張って写したものなのに」
実は以前から、写し……「元の世界からタブレットに入れて大量に持ち帰った電子書籍をオファちゃんが紙に写したもの」の複写をお願いしていた。
俺が元の世界を忘れないように。あと、イユリちゃんの勉強のために。
「元はライト様のものですから当然です! 最近、導王の国の道路整備にも役立てさせていただきました」
「へぇ。それって魔王の国でも使えるのかな? 後でゆっくりお話し聞かせてね?」
「はい!」
俺とオファちゃんが話している間、魔王さんと導王様は全く話さずに俺たちのやり取りを「かわいい人間とおしゃべりするうちのこかわいい! かわいいとかわいいでかわいさが一〇〇倍だ!」って感じの顔で見ている。
魔王さん、そこは王様としておしゃべり頑張ってよとは思うけど……まぁ、導王様とは仕方がないか。
喧嘩しなくなっただけでもよしとしよう。
次は……
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