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第八章~遥かな扉~
四百八十四話
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「それでなー? パーティなんだけど、すごかったぜ! カメラとか来てんの、カメラ!」
綾人は、にっこにこの笑顔で、パーティの話を聞かせてくれた。
「えーっ、すごいねえ!さすが、みんなが待ってた新薬……! 綾人もうつった?」
「うつった! と思う……オンエア、楽しみにしてて! そんでさあ、来てるお客さんとかも芸能人とかで。有名な俳優もいたんだぞ。ほら、あの成己の好きな、今年の大河ドラマ出てる……」
「うそーっ!? いいなあっ」
綾人の話し方は臨場感たっぷりで、そのときの楽しい気持ちがいっぱいに伝わってくるん! 写真や動画を巧みに使ったトークに、ぼくは、ときに歓声を上げ、ときに手に汗握りして、行けなかったパーティを追体験させてもらった。
「綾人、つづきは? もっときかせて」
「ふへへ、仕方ねえなー。ちょっと待って喉渇いたから」
ぼくは、ついワクワクして、たくさんお話をねだってしまったんやけど。綾人は嫌な顔一つしないで、たくさんお喋りしてくれたん。
――ありがとう、綾人……。
お茶をぐびぐび飲んでいる綾人に、あたたかいものがこみ上げる。
たくさん撮って来てくれた動画と写真。話しきれないほどのお土産話――ぼくが、パーティに行きたがっていたからなんやって、伝わってくるんやもん。
「……」
ぼくは、そっと項に触れる。
宏ちゃんとの間に結ばれた、大切な絆。この最高の幸福があって……それなのに、お祝いもして貰った。大切な友達の優しさにも触れている。
嬉しいことがね、どんどん……雪みたいに、積み重なってくるん。
こんなに幸せでいいのかな?ちょっと罰が当たりそう、なんて思ってみたりもして。
「おまたせ……どした、成己?」
肩を竦めて笑うぼくに、綾人が不思議そうな顔をする。
「ううんっ、なんでもない。えと、スピーチのこと、きかせてほしいなぁ。後のお楽しみって言ってたやろ?」
「あっ、そうだったな!」
誤魔化したぼくに、綾人は深く追求せずにいてくれる。それから、ぱっと閃いた顔になったん。
「スピーチなんだけどさ。――ちょっとした、アクシデントがあったんだよ!」
綾人はぽんと膝を打って、身を乗り出した。
「ア、アクシデント? どういうこと?」
ぼくは、さっきからの楽しい話と打って変わって、物々しい響きの単語に、ぎょっとした。綾人は腕組みをして、「うん」と頷く。
「それがさあ……抑制剤とオメガの明るい未来、ってテーマのスピーチだったじゃん? オレとおかーさん以外にも、何人か……十人くらいで、順番にスピーチすることになったんだけど……当日いきなり、英語でスピーチすることになったんだよ」
「えええっ!? と、当日に?打ち合わせは?」
「無かったんだよー! なんか、せっかくテレビが入るなら、たくさんの人に伝わるように……って、主催の人が決めたらしくってさあ……もちろん、英語が出来ないなら、フランス語でもいいって言われたんだけど……そんなの、できねえよ!? って思って」
ははは、と乾いた笑いを溢す綾人。ぼくは、とんでもない修羅場に、冷や汗がにじみ出た。
「でも、そんなん……急に言われたら、みんな困っちゃうんと違う?」
そりゃ、訳は出来ひんことはないやろうけど……読む練習もあってのスピーチやのに。他の人は嫌がらへんかったんやろうか? そう訊くと、綾人は首を振った。
「いや、それがさあ。みんな困んなかったの。「そんなこともあろうかと」って、みんな英語の原稿も持って来てたんだよな」
「ウソ!そうやったんや……」
めっちゃ用意いい。呆然としてるあいだにも、綾人は話し続けてる。
「そもそもみんな、英語くらいは余裕らしいんだよー。だから、”まさか困るとは思わなかった”、って言われて。引っ込みつかなくなっちまったって言うか」
そんな、いい加減な! とぼくは憤慨してしまう。
「そ、それで、どうなったんっ?」
「うん……もう、野江陣営は、阿鼻叫喚すよ。おかーさんはペラペラだけど、オレがね? おかーさんが「日本語でもいいじゃない」って言ってくれたんだけどさぁ。朝匡のヤロウが「絶対英語だ!野江の名が廃る、訳してやるから棒読みしろ!」って掴みかかって来るし……」
「わああ……」
綾人の声真似が似てて面白いのに、笑える状況じゃない。ぼくは、緊迫感にごくりと唾を飲んだ。
「野江はトリだから、ずっと苦悶が引き延ばされてる感じだったよな。いっそトップバッターなら諦めつくけどさ」
「そ、それは豪胆すぎると思うけど……それで……?」
「それでな……」
続きを恐々と促すと、綾人は深刻な顔をこっちにねじ向けた。そんで――ニカッと歯を見せて笑う。
「大成功!」
Vサインが眼前につきつけられ、ぼくは目をまたたいた。
「……へ?」
「いやー、驚くだろ?! まさかの大成功なのよ。壇上にしずしずと歩いてったオレは、すらすらと英語のスピーチをやってのけたってわけ。すげーだろ?」
「えーっ!! すごい……!」
すっごい大ピンチの話を聞いていたのに、まさかの逆転ホームランですか?ぼくが驚きのままに拍手をすると、綾人は得意げに指で鼻の下を擦った。
「いやあ、オレも事前に用意してたんだよ。英語のスピーチ」
「そうなん?! 流石受験生……あっ!」
ぼくも、ピンとくる。綾人はにやっとして、最初の挨拶をそらんじて見せた。その文句には、ぼくも大変覚えがある。
「成己がさ。受験勉強の一環で、身の回りにある言葉とか、何でも英語に訳してみるの教えてくれたじゃん? それで、スピーチも訳してたの、土壇場で思い出したんだよな」
その言葉に、ぼくも合点がいった。
綾人と受験勉強をしてる時……ぼくも、ひさびさにお勉強欲に火がついちゃって。新聞とか、全章のシリーズとか、ちょこちょこ訳してたん。そしたら、綾人が「オレもやるって」言うてくれてね。
『成己! 出来たんだけど、これであってる?』
『はいはいっ。ちょっと待ってね……』
綾人の訳した文章を読ませてもらって、勝手ながら添削とかもさせてもらってたん。綾人の英文が、どんどん綾人らしい、元気でのびやかになるのが見てて楽しくて……
「たしかに、あったね! あの中に、スピーチの英訳……!」
「そうなんだよー! で、成己が直してくれてあったろ? オレ、覚えるくらい読んでたんだよなぁ。それで、助かったんだ!」
「綾人……すごいね! ほんまに、すごいよっ」
ぼくは、感激に目が潤んだ。
――一生懸命、勉強してることが実を結んだんやね……!
綾人を眩しく見ていると、照れたような笑みが返る。
「成己のおかげだよ! 勉強教えてくれて、サンキュ!」
「何言うてんの、綾人が頑張ったからやでっ」
ぼくと綾人は、しばし手を握って褒め合いになった。しだいに、笑いがこみ上げて来て……クッションに凭れて笑い転げる。
「あれ……でもさ。準備できてたんやったら、もう言っちゃえば良かったんじゃ」
「いや、朝匡の奴に、頭ごなしに「無理」って言われたのがムカついて。本番で度肝ぬいてやろうって」
「えーっ。もう、綾人ったら」
勝気な綾人に、思わず苦笑する。すると、綾人は眉を寄せて、がばりと身を起こす。
「いや、まじで! 朝匡はムカつくぞッ。野江だけ日本語でスピーチするなんて俺の肩身が狭い、とか言っちゃってさ……んな言い方なくね?! だから、ヤキモキさせてやったんだー」
綾人は、いっと歯をむいた。
それは確かに、お兄さんがよくないし、めっちゃ腹立つ――。とは思ったんやけど、綾人が、悪口を言ってほしくないタイプなのは知ってる。ぼくはただ、怒った肩を撫でた。
「そっかあ。お疲れ、綾人! がんばったねえ」
「成己~! お前が癒しだよ~!」
ぎゅっ、と抱きつかれる。ぼくはテレビドラマのお母さんがするみたいに、背中をぽんぽんと叩いた。頑張った友人を労わりたい気持ちを、いっぱいこめて。
――綾人は、負けん気強いから……ああいってたけど。不安やなかったはずないよね。いっぱい、練習していったんやもん……
そう思うと、パーティの主催者さんにはもっと考えてほしかったな、とむっとしてしまう。
もちろん、綾人がかっこよく切り抜けたのは、素晴らしいんやけどね。ぼくは、肩に甘えてくる小麦色の髪を撫でてあげる。
「よしよし、綾人。えらかったねぇ」
「はぁ~癒される。でも、宏章さんにぶっ飛ばされるかな~」
「あはは、何言うてるのっ。宏ちゃん、怒らへんよ」
「はい出た、無自覚!」
笑いあっているうちに、細かな棘が抜けていき……しまいには、すっかり忘れてしまった。
綾人は、にっこにこの笑顔で、パーティの話を聞かせてくれた。
「えーっ、すごいねえ!さすが、みんなが待ってた新薬……! 綾人もうつった?」
「うつった! と思う……オンエア、楽しみにしてて! そんでさあ、来てるお客さんとかも芸能人とかで。有名な俳優もいたんだぞ。ほら、あの成己の好きな、今年の大河ドラマ出てる……」
「うそーっ!? いいなあっ」
綾人の話し方は臨場感たっぷりで、そのときの楽しい気持ちがいっぱいに伝わってくるん! 写真や動画を巧みに使ったトークに、ぼくは、ときに歓声を上げ、ときに手に汗握りして、行けなかったパーティを追体験させてもらった。
「綾人、つづきは? もっときかせて」
「ふへへ、仕方ねえなー。ちょっと待って喉渇いたから」
ぼくは、ついワクワクして、たくさんお話をねだってしまったんやけど。綾人は嫌な顔一つしないで、たくさんお喋りしてくれたん。
――ありがとう、綾人……。
お茶をぐびぐび飲んでいる綾人に、あたたかいものがこみ上げる。
たくさん撮って来てくれた動画と写真。話しきれないほどのお土産話――ぼくが、パーティに行きたがっていたからなんやって、伝わってくるんやもん。
「……」
ぼくは、そっと項に触れる。
宏ちゃんとの間に結ばれた、大切な絆。この最高の幸福があって……それなのに、お祝いもして貰った。大切な友達の優しさにも触れている。
嬉しいことがね、どんどん……雪みたいに、積み重なってくるん。
こんなに幸せでいいのかな?ちょっと罰が当たりそう、なんて思ってみたりもして。
「おまたせ……どした、成己?」
肩を竦めて笑うぼくに、綾人が不思議そうな顔をする。
「ううんっ、なんでもない。えと、スピーチのこと、きかせてほしいなぁ。後のお楽しみって言ってたやろ?」
「あっ、そうだったな!」
誤魔化したぼくに、綾人は深く追求せずにいてくれる。それから、ぱっと閃いた顔になったん。
「スピーチなんだけどさ。――ちょっとした、アクシデントがあったんだよ!」
綾人はぽんと膝を打って、身を乗り出した。
「ア、アクシデント? どういうこと?」
ぼくは、さっきからの楽しい話と打って変わって、物々しい響きの単語に、ぎょっとした。綾人は腕組みをして、「うん」と頷く。
「それがさあ……抑制剤とオメガの明るい未来、ってテーマのスピーチだったじゃん? オレとおかーさん以外にも、何人か……十人くらいで、順番にスピーチすることになったんだけど……当日いきなり、英語でスピーチすることになったんだよ」
「えええっ!? と、当日に?打ち合わせは?」
「無かったんだよー! なんか、せっかくテレビが入るなら、たくさんの人に伝わるように……って、主催の人が決めたらしくってさあ……もちろん、英語が出来ないなら、フランス語でもいいって言われたんだけど……そんなの、できねえよ!? って思って」
ははは、と乾いた笑いを溢す綾人。ぼくは、とんでもない修羅場に、冷や汗がにじみ出た。
「でも、そんなん……急に言われたら、みんな困っちゃうんと違う?」
そりゃ、訳は出来ひんことはないやろうけど……読む練習もあってのスピーチやのに。他の人は嫌がらへんかったんやろうか? そう訊くと、綾人は首を振った。
「いや、それがさあ。みんな困んなかったの。「そんなこともあろうかと」って、みんな英語の原稿も持って来てたんだよな」
「ウソ!そうやったんや……」
めっちゃ用意いい。呆然としてるあいだにも、綾人は話し続けてる。
「そもそもみんな、英語くらいは余裕らしいんだよー。だから、”まさか困るとは思わなかった”、って言われて。引っ込みつかなくなっちまったって言うか」
そんな、いい加減な! とぼくは憤慨してしまう。
「そ、それで、どうなったんっ?」
「うん……もう、野江陣営は、阿鼻叫喚すよ。おかーさんはペラペラだけど、オレがね? おかーさんが「日本語でもいいじゃない」って言ってくれたんだけどさぁ。朝匡のヤロウが「絶対英語だ!野江の名が廃る、訳してやるから棒読みしろ!」って掴みかかって来るし……」
「わああ……」
綾人の声真似が似てて面白いのに、笑える状況じゃない。ぼくは、緊迫感にごくりと唾を飲んだ。
「野江はトリだから、ずっと苦悶が引き延ばされてる感じだったよな。いっそトップバッターなら諦めつくけどさ」
「そ、それは豪胆すぎると思うけど……それで……?」
「それでな……」
続きを恐々と促すと、綾人は深刻な顔をこっちにねじ向けた。そんで――ニカッと歯を見せて笑う。
「大成功!」
Vサインが眼前につきつけられ、ぼくは目をまたたいた。
「……へ?」
「いやー、驚くだろ?! まさかの大成功なのよ。壇上にしずしずと歩いてったオレは、すらすらと英語のスピーチをやってのけたってわけ。すげーだろ?」
「えーっ!! すごい……!」
すっごい大ピンチの話を聞いていたのに、まさかの逆転ホームランですか?ぼくが驚きのままに拍手をすると、綾人は得意げに指で鼻の下を擦った。
「いやあ、オレも事前に用意してたんだよ。英語のスピーチ」
「そうなん?! 流石受験生……あっ!」
ぼくも、ピンとくる。綾人はにやっとして、最初の挨拶をそらんじて見せた。その文句には、ぼくも大変覚えがある。
「成己がさ。受験勉強の一環で、身の回りにある言葉とか、何でも英語に訳してみるの教えてくれたじゃん? それで、スピーチも訳してたの、土壇場で思い出したんだよな」
その言葉に、ぼくも合点がいった。
綾人と受験勉強をしてる時……ぼくも、ひさびさにお勉強欲に火がついちゃって。新聞とか、全章のシリーズとか、ちょこちょこ訳してたん。そしたら、綾人が「オレもやるって」言うてくれてね。
『成己! 出来たんだけど、これであってる?』
『はいはいっ。ちょっと待ってね……』
綾人の訳した文章を読ませてもらって、勝手ながら添削とかもさせてもらってたん。綾人の英文が、どんどん綾人らしい、元気でのびやかになるのが見てて楽しくて……
「たしかに、あったね! あの中に、スピーチの英訳……!」
「そうなんだよー! で、成己が直してくれてあったろ? オレ、覚えるくらい読んでたんだよなぁ。それで、助かったんだ!」
「綾人……すごいね! ほんまに、すごいよっ」
ぼくは、感激に目が潤んだ。
――一生懸命、勉強してることが実を結んだんやね……!
綾人を眩しく見ていると、照れたような笑みが返る。
「成己のおかげだよ! 勉強教えてくれて、サンキュ!」
「何言うてんの、綾人が頑張ったからやでっ」
ぼくと綾人は、しばし手を握って褒め合いになった。しだいに、笑いがこみ上げて来て……クッションに凭れて笑い転げる。
「あれ……でもさ。準備できてたんやったら、もう言っちゃえば良かったんじゃ」
「いや、朝匡の奴に、頭ごなしに「無理」って言われたのがムカついて。本番で度肝ぬいてやろうって」
「えーっ。もう、綾人ったら」
勝気な綾人に、思わず苦笑する。すると、綾人は眉を寄せて、がばりと身を起こす。
「いや、まじで! 朝匡はムカつくぞッ。野江だけ日本語でスピーチするなんて俺の肩身が狭い、とか言っちゃってさ……んな言い方なくね?! だから、ヤキモキさせてやったんだー」
綾人は、いっと歯をむいた。
それは確かに、お兄さんがよくないし、めっちゃ腹立つ――。とは思ったんやけど、綾人が、悪口を言ってほしくないタイプなのは知ってる。ぼくはただ、怒った肩を撫でた。
「そっかあ。お疲れ、綾人! がんばったねえ」
「成己~! お前が癒しだよ~!」
ぎゅっ、と抱きつかれる。ぼくはテレビドラマのお母さんがするみたいに、背中をぽんぽんと叩いた。頑張った友人を労わりたい気持ちを、いっぱいこめて。
――綾人は、負けん気強いから……ああいってたけど。不安やなかったはずないよね。いっぱい、練習していったんやもん……
そう思うと、パーティの主催者さんにはもっと考えてほしかったな、とむっとしてしまう。
もちろん、綾人がかっこよく切り抜けたのは、素晴らしいんやけどね。ぼくは、肩に甘えてくる小麦色の髪を撫でてあげる。
「よしよし、綾人。えらかったねぇ」
「はぁ~癒される。でも、宏章さんにぶっ飛ばされるかな~」
「あはは、何言うてるのっ。宏ちゃん、怒らへんよ」
「はい出た、無自覚!」
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わああ、成と綾人をあたたかく見守ってくださり、とっても嬉しいです💖
おっしゃるとおり、綾人は成にとって大切で、特別な友人なのですよね✨今回は作者としてもほっとした回でしたので、そう言って頂けて嬉しいです(#^^#)
宏章とお義母さんも、今何を話していることでしょう……!展開、待ち遠しいと言って頂けて、とってもパワーを頂いています☺️💕続きもわくわくして頂けるように、心を込めて書いて参りますね🍀
うみさん、読んでくださり、ありがとうございます!
今回も、成己をあたたかく見守って頂いて、本当に胸がじわあってあったかいです☺️✨
成己、大切な二人にお祝いしてもらえて嬉しかったと思います!
そして、宏章とお義母さんがなにを話すのかも、気にしていただけて嬉しいです✨続きの展開で、明らかにしてゆけたらと思いますので、良ければ読んで頂けたら幸せです🍀続きも頑張ります!
うみさん、読んでくださり、ありがとうございます!
わああ成己へのお祝いの言葉、本当に感激です✨️おっしゃるとおり、成の帰る場所は宏章のもとでした(#^^#)!私も感無量でして、うみさんに見届けて頂いて嬉しいです🩷
上げてくださったところ、気になって頂けて嬉しいです!
なぜ、成己は宏章と婚約できなかったか。成己・宏章の家族の事情。ここは、大切に取っておいた問題で、ここから明らかにしていきたいと思っています😆✨️もちろん、陽平一家と蓑崎親子の問題も、物語の中でしっかり向き合っていきますね🍀 これからも楽しんで頂けるよう、心を込めて書いて参ります🌸