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第一章 おけつの危機を回避したい
三十一話
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「話し合うのは、やぶさかじゃねえよ。いい加減、すっきりしてえと思ってたし」
愛野くんらと話し合いをせえへんか、と持ち掛けたら、山田は二つ返事で頷いた。
無視してるっぽいようで、こっちを気にしてる大橋と桃園の様子に焦れ焦れしとったんやって。
「まあ、謝るとかは勘弁だけど。そろそろ、「することねぇ」って時間やり過ごすのも飽きたしな。ここらで、ケリつけとくか」
鈴木も笑って、肩を竦める。どうせなら、きちんと参加して楽しみたいんやって。上杉と、しきりに頷きあっとる。
おれは嬉しくて、みんなの手を握った。
「ありがとう、みんな……!」
「なーに。俺としちゃ、殴られた有村がいいってんなら、拒む理由はねぇからさ」
わっはっは、と三人は大らかに笑い声を上げる。おれと晴海も、ニコニコ顔を見合わせた。
ほんま、良かった。あとは、「用事!」言うて席外しとった竹っちに、話してみるだけや。
「よーし、そんなら竹っちにも聞いてみて。オッケーやったら、早速話に行こか!」
「おう!」
おれらは、意気揚々と拳を突き上げた。
ほんで。
竹っちを教室で待つことにした、おれらやけど。待てど暮らせど、竹っちが帰ってこん。
連絡しても、レスは一切なし。メッセージに既読がついとるから、見てくれてるはずなんやけど。
「どこ行ってんだろ? 次、移動だぜ」
「まあ、荷物持って先行くからって、ラインしたし。平気っしょ」
「にしても、最近こういうの多いよなー」
上杉と鈴木は、不思議そうに言い合っとる。すると、山田がにやにやしながら言う。
「お前ら、竹中の様子見てピンとこなかったのかよ? あの浮かれた感じ、どう考えてもコレだって」
「これ?」
聞き返したおれに、山田は何も言わんと親指を立てた。……何が「いいね」なんや?
わけのわからんおれの横で、晴海が目をまん丸にする。
「まさか、「男」かいな?!」
「ええっ!?」
晴海と山田以外が、ぎょっとして叫ぶ。「男」ってつまり、彼氏ってこと?
な、なんと。竹っちがイメチェンしたんは、女の子やなくて、男の子のためやったんか!?
上杉が叫ぶ。
「まっさか! 竹っちは生粋の巨乳好きだぜ!?」
「いやいや、この学園じゃよくあることだし。そこの二人だって付き合ってんだろ?」
「あ、うんうん!」
急に水を向けられて、おれらは慌てて頷く。
鈴木が、感嘆のため息を吐いた。
「そう言われりゃ、そうか。てか山田、よくわかるな?」
「小等部からここだからなあ。持ち上がり組のツレで、童貞処女って俺だけよ?」
「マジ? かっけえ」
「にしても、竹っちの奴、俺らに内緒にしやがって」
上杉はちょっと拗ねたように、口を尖らせた。晴海が笑って背中をはたく。
「竹っちのことやから、照れとるんやろ。話してきたら、からかったろうや」
「おお、いいな。腕が鳴るぜ」
悪い顔で言う鈴木に、皆が笑う。
みんな面白がりつつ、竹っちの恋を応援しとるんが伝わってくる。
和やかな空気を後押しするように、空きっぱなしの窓から秋風がそよいだ。
――ブルッ。
「……うっ」
やば。
このいい雰囲気に、空気読まんと……おしっこ行きたなってきた。
お腹を押さえたおれを、晴海が振り返る。
「シゲル?」
「ごめん晴海。おれトイレ行くから、先行ってて!」
「あっ、おい!」
おれは晴海に教科書を預けて、最寄りのトイレにダッシュした。
「はー……危なかった」
手を洗って、おれはフウと息を吐いた。
最寄りのトイレに駆け込んだおれやけど、工事中やってさ。理科棟のトイレまで、猛ダッシュしたんやで。
急いだら、なんとか授業も間に合いそうや。
「……あれ?」
人気のない廊下を、前から、ペッタペッタ歩いてくるのは竹っちやない?
ご機嫌らしく、雲を歩くような足取りや。
「おーい、竹っち!」
「い、今井?!」
駆け寄ると、竹っちは目を丸くした。
「何でここに?!」
「トイレやで。竹っち、ラインみた?」
「あ、悪い。開けたけど見てねえ」
「そっか。じゃあ一緒に行こうや。荷物は上杉らが持ってってくれてるから」
「あ、悪ぃ……」
竹っちは、ぽやーっとした感じの顔で頷いた。……改めて見ると、山田の見立てどおりにしか見えへん。
へらへらしながら、背中を押して歩き出す。すると竹っちが、
「……あのさ、今井!」
「うん?」
「ちょっと聞いて欲しいことが、あんだけど……」
――おお!?
愛野くんらと話し合いをせえへんか、と持ち掛けたら、山田は二つ返事で頷いた。
無視してるっぽいようで、こっちを気にしてる大橋と桃園の様子に焦れ焦れしとったんやって。
「まあ、謝るとかは勘弁だけど。そろそろ、「することねぇ」って時間やり過ごすのも飽きたしな。ここらで、ケリつけとくか」
鈴木も笑って、肩を竦める。どうせなら、きちんと参加して楽しみたいんやって。上杉と、しきりに頷きあっとる。
おれは嬉しくて、みんなの手を握った。
「ありがとう、みんな……!」
「なーに。俺としちゃ、殴られた有村がいいってんなら、拒む理由はねぇからさ」
わっはっは、と三人は大らかに笑い声を上げる。おれと晴海も、ニコニコ顔を見合わせた。
ほんま、良かった。あとは、「用事!」言うて席外しとった竹っちに、話してみるだけや。
「よーし、そんなら竹っちにも聞いてみて。オッケーやったら、早速話に行こか!」
「おう!」
おれらは、意気揚々と拳を突き上げた。
ほんで。
竹っちを教室で待つことにした、おれらやけど。待てど暮らせど、竹っちが帰ってこん。
連絡しても、レスは一切なし。メッセージに既読がついとるから、見てくれてるはずなんやけど。
「どこ行ってんだろ? 次、移動だぜ」
「まあ、荷物持って先行くからって、ラインしたし。平気っしょ」
「にしても、最近こういうの多いよなー」
上杉と鈴木は、不思議そうに言い合っとる。すると、山田がにやにやしながら言う。
「お前ら、竹中の様子見てピンとこなかったのかよ? あの浮かれた感じ、どう考えてもコレだって」
「これ?」
聞き返したおれに、山田は何も言わんと親指を立てた。……何が「いいね」なんや?
わけのわからんおれの横で、晴海が目をまん丸にする。
「まさか、「男」かいな?!」
「ええっ!?」
晴海と山田以外が、ぎょっとして叫ぶ。「男」ってつまり、彼氏ってこと?
な、なんと。竹っちがイメチェンしたんは、女の子やなくて、男の子のためやったんか!?
上杉が叫ぶ。
「まっさか! 竹っちは生粋の巨乳好きだぜ!?」
「いやいや、この学園じゃよくあることだし。そこの二人だって付き合ってんだろ?」
「あ、うんうん!」
急に水を向けられて、おれらは慌てて頷く。
鈴木が、感嘆のため息を吐いた。
「そう言われりゃ、そうか。てか山田、よくわかるな?」
「小等部からここだからなあ。持ち上がり組のツレで、童貞処女って俺だけよ?」
「マジ? かっけえ」
「にしても、竹っちの奴、俺らに内緒にしやがって」
上杉はちょっと拗ねたように、口を尖らせた。晴海が笑って背中をはたく。
「竹っちのことやから、照れとるんやろ。話してきたら、からかったろうや」
「おお、いいな。腕が鳴るぜ」
悪い顔で言う鈴木に、皆が笑う。
みんな面白がりつつ、竹っちの恋を応援しとるんが伝わってくる。
和やかな空気を後押しするように、空きっぱなしの窓から秋風がそよいだ。
――ブルッ。
「……うっ」
やば。
このいい雰囲気に、空気読まんと……おしっこ行きたなってきた。
お腹を押さえたおれを、晴海が振り返る。
「シゲル?」
「ごめん晴海。おれトイレ行くから、先行ってて!」
「あっ、おい!」
おれは晴海に教科書を預けて、最寄りのトイレにダッシュした。
「はー……危なかった」
手を洗って、おれはフウと息を吐いた。
最寄りのトイレに駆け込んだおれやけど、工事中やってさ。理科棟のトイレまで、猛ダッシュしたんやで。
急いだら、なんとか授業も間に合いそうや。
「……あれ?」
人気のない廊下を、前から、ペッタペッタ歩いてくるのは竹っちやない?
ご機嫌らしく、雲を歩くような足取りや。
「おーい、竹っち!」
「い、今井?!」
駆け寄ると、竹っちは目を丸くした。
「何でここに?!」
「トイレやで。竹っち、ラインみた?」
「あ、悪い。開けたけど見てねえ」
「そっか。じゃあ一緒に行こうや。荷物は上杉らが持ってってくれてるから」
「あ、悪ぃ……」
竹っちは、ぽやーっとした感じの顔で頷いた。……改めて見ると、山田の見立てどおりにしか見えへん。
へらへらしながら、背中を押して歩き出す。すると竹っちが、
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「うん?」
「ちょっと聞いて欲しいことが、あんだけど……」
――おお!?
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