僕の考えた最強ドラゴンで世界征服~復讐を誓う悲劇の王子は50年前へと遡る!行こうアヴァロン、殺戮の始まりだ~

泥水すする

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第2章 宣戦布告、デイトナ戦線

第8話 世界の中心に彼等はいた

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 一晩明けた次の日早朝、デイトナ達はとある場所へと向かっていた。

そうして目的地に到着しアヴァロンから降りると、皆一様には天高く建造されたその塔を仰ぎ見た。

「ここはもしや…通信塔ですか?」

 徐にマントがそう言ったのに対し、デイトナは頷きながら答えた。

「そうだよ。よく知っているね?」

「ええ、まぁ。過去に一度来たことがあったもので」

「通信塔?そりゃあ何だ?」

 と、首を傾げたアブゾーブが呟いた。そんなアブゾーブを言葉を受けてルーシェは口を開いて、

「確か…電子結晶石に映像を飛ばす施設だとか何とか…でしたよねデイトナ様?」

「その通り」

「電子…結晶石?」

 アブゾーブはやはり意図不明な様子であった。

「アブゾーブ様、電子結晶石とは本部の広間にデカデカと設置されていたですよ」

「おう、の事か!つまりに映し出された映像はここから発信されていたと…そういうことか?」

「ここだけだけではありません。世界各地の至るかしこにこの通信塔は建造されています。この通信塔はその一つということですね」

「ほう…知らなかったなぁ…」

 と、心底感心しているアブゾーブの肩にルーシェは手を乗せて、

「まぁトカゲに知る必要はないけどな…と、デイトナ様が言いたそうな顔しています」

「そ、そうなのかデイトナぁ!?」

 また始まった、とはデイトナは溜息を吐いた。
 というのも、昨日からどうもルーシェとアブゾーブはこの調子でデイトナにちょっかいばかりをかけてくるのだ。

「そんなわけないでしょ?マント、お前からも何とか言ってくれよ…」

「ははは…アブゾーブ様はいつもこうなので…」

 そう言ってマントは乾いた笑い声をこぼした。そんなマントの様子からは常日頃の気苦労が伺えるようだ…そんな事を思うデイトナである。

 そうしていざ通信塔に入ろうとした時だった。

「あれ、デイトナ様。アヴァロンは連れていかないのですか?」

 不意にルーシェが呟いた。そんなルーシェに対し、アブゾーブは訊ね聞く。

「おいおい、いくら子竜といってもこの建物の中は無理じゃないか?」

「分かってるわよそんなこと」

 とルーシェ。つまりだ、ルーシェは言いたいのだろうとはデイトナは口を開いた。

「竜化状態を解除しないのかと、つまりはそう言いたいのだろ?」

「その通りです」

「「竜化状態?」」

 アブゾーブとマントの声が重なった。聞きなれない言葉についていけない様子である。

「そうか、お前達は知らないんだったね。だったら折角の機会だ…アヴァロン、こっちへ」

「………ハイ」

 アヴァロンはのしのしとデイトナの元へと歩み寄る。

「ではアヴァロン。竜化状態の解除、並びに人間形態の移行を許可する」

「………カシコマリマシタ」

 アヴァロンが返事をしたーー次の瞬間だった。アヴァロンの体は発光し、目を覆う程の眩い光が辺り一帯へと広がっていく。

 それは時間にして1秒に満たない閃光であった。

「お、おい…いきなり何だってーー……えぇっ!?」

 アブゾーブはアヴァロンを見て仰天した。
 そんなアブゾーブに続いてマントもまた俄かには信じ難られないといった様子で目を見開いて、

「デイトナ王子、こ…これは…」

「アヴァロンの人間形態。どう?」

「どうと言われましても…いや、強いていうならーー美しい、ですかね?」

「ふふふ、だってさアヴァロン、よかったね?」

「………うん」

 呟いて、アヴァロンはもじもじと身を捩り、恥ずかそうには俯いた。またデイトナに助けを求めるようにはチラチラとは金色こんじきの瞳を送る。

そんなアヴァロンの仕草一切とは人間と比較しても劣りなく、姿形に関しては最早人間と言っても過言ではなかった。

 これは副産物と言うべきか…[人間形態]でのアヴァロンは何故か美しい少女として完成された。意図してそうしたわけでもなく、初めからそうであったのだから驚いたのものだが…その理由について未だ不明である。

 [人間形態]のアヴァロンについて…見てくれとして10代半ばよりも少し上といったところだろうか、飾りの少ないクリーム色のドレス姿の、スラッとした締まりの良い体型、腰につく程の艶やかな銀髪を靡かせるーーその姿はまるで神話上の女神の姿を彷彿とさせる。

 それでいて12歳程の体型をしたデイトナよりもずっと大きく、またルーシェなんかよりもよっぽど女らしく…

「何ですかデイトナ様…人の体をジロジロと…」

「いや、別に…」

「嘘です!その目は絶対私を蔑んでいますよね?」

「だから違うってば…」

「ふん!別にいいですよ私は…私にはアヴァロンがいればそれで…あぁ、アヴァロン…愛しき私のアヴァロン…」

「………」

 アヴァロンはルーシェの邪な視線を感じ、瞬時にデイトナの背後に身を隠した。

 ちなみにだが、ルーシェはアヴァロンが[竜化状態]だろうが[人間形態]だろうが御構いなしにアヴァロンが可愛くて仕方がないらしい。

 ただいくら[人間形態]となったところでアヴァロンはアヴァロン。やはり[竜化状態]時同様にルーシェを邪険に扱うことに変わりないみたいだった…
 
………
……

 
 そんなデイトナ達のやり取りをぼんやりと眺めていたマントはふと、アブゾーブの異変に気が付いた。

「どうかされましたか?アブゾーブ様」

「いや、別に何ともないんだがな…ただ…」

「ただ?」

「…アヴァロンの美しさに、見惚れちまってな…」

「は?」

 マントは声を裏返して驚いていた。

「い、いきなりどうしたのですかアブゾーブ様!?」

「ん?何をそんなに驚いているんだマント?俺は何かおかしなことを言ったか?」

「え?いや…おかしな事とは言いませんが…ただあまりにアブゾーブ様らしからぬ発言だったもので、少々驚きました…」

 マントがそう言うのも無理はない。というのもマントは過去に一度だけ、酒の席でアブゾーブが酔っ払った際にも「俺は女が大嫌いだ」と豪語するのを聞いたことがあったからである。

何でも昔女の尻を追い掛け回して痛い目にあったとかなかったとか…また何よりアブゾーブとは根っからの戦闘狂であり、その他の事には微塵も興味を示さないとは有名だったのだ。

「まさか…アブゾーブ様が…何ていうことだ…」

「いやな、俺は今初めて気が付いたのさ…この世に女神はいるということにな…」

「め、女神!?」

「そう、女神だ。だってよマント、よくよく考えてもみろ?この世の中に、未だかつてアヴァロン様程の美女が存在しただろうか?」

「いや、もしかしたら我々が知らないだけで、もしかしたらーーー」

「いや、いない」

 と、アブゾーブはマントの台詞を遮った。
 どうやら聞く耳を持たない様子である。

「しかもだ、アヴァロン様は何でも伝説の三大竜王の遺伝子を引き継いでいるというじゃねーか?それっていうのはつまり、最早アヴァロン様がだと言っているようなもんじゃねーか?違うのか?」

「い、いや…違うと思われますが…」

「違わねぇよ!アヴァロン様は神であり、んでもってこの世界を統べるべき覇王のそれだ!俺がそう言ってんだ!認めろよマント!」

「は、はぁ…」

 もう何を言っても無駄であるとマントは判断した。
 そうして感慨深い雰囲気を醸し出しては腕組みをするアブゾーブを静かに見守って、

「マント…決めたぜ…アヴァロンをこの世の覇王に君臨させようとしているデイトナ・カーストに、俺は全力で協力をする!!」

 と、声高らかにはそんな宣言を口にしたアブゾーブに対し、マントはただただ呆れるばかりであった…

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 その日、世界が大きく動こうとしていた。

 その渦中に彼等ーーーデイトナにアヴァロンにルーシェ、そして新たに加わったアブゾーブとマントの五人がいることに、世界はまだ気付いていない。

「アブゾーブ、もうちょい右、いや、行き過ぎ行き過ぎ…」

「こ、こうか?」

「う~ん、まぁギリギリ入る…か、うん、大丈夫かな」

「あ、あの…デイトナ王子?」

「ん?何だいマント?」

「いや、我々は今から何を?」

「見てわからないかい?映像撮影だよ映像撮影、マントもボサッとしてないでほらっ!!」

 と、急かすように言ったデイトナにマント渋々といって従った。
 デイトナは4人がやっと入るか入らないか程の電子結晶石の前に皆を整列させると、自身は4人の前に立って、アヴァロンへと振り向いた。

「じゃあアヴァロン、よろしく頼むよ?」

 アヴァロンはコクリと頷いた。
 次にアヴァロンが電子結晶石に手を翳すと、電子結晶石が仄かには光り始めていた。
   
「じゃあ皆んな撮るよ?出来る限り悪そうな顔してねー」

「悪い顔って、おいおい…一体何が始まるってんだ!?」

 そういったアブゾーブとは落ち着きのない様子であった。そんなアブゾーブに対し、ルーシェの視線が向いて、

「…これであなた達も私達の共犯者確定ね?」

 と、ニッコリ笑った。
  
「それはどういう意味だ!?」

「いやね、デイトナ様はこれから世界に向けて宣戦布告の映像を飛ばすってわけ。その映像は世界中には点在するあらゆる通信塔を介して流れる…そして、そこにあなた達は映るってことよ。いくら馬鹿なあなたでもここまで言えば理解できたかしら?」

「つ、つまり…俺は…いや俺たちは世界全てを敵に回すってことか?」

「御名答、どう?怖気ついちゃった?」

「いや、むしろ逆だ…全世界が、敵…や、やべぇ…それ、最高におもしれーじゃねぇか!!」

「アブゾーブ様!何を納得しているのですか!?」

 マントは慌ててデイトナへと詰め寄った。

「デイトナ王子!いくら何でも事が急過ぎるのでは!?世界を征服するというあなたの野望には僕も賛同致しました…ですが、現段階に於いて我々は僅か五人だけの組織とも呼べない集まりでしかない。軍隊も持たなければ国もない、それなのに世界に向けて宣戦布告?それはあまりにも無謀過ぎる!」

「無謀…か、ふふふ、それをお前が言うのかマント?」

「ど、どういう意味ですか?」

「いやね、僕の知っているマント・クシャトリヤという男はいつも不可能を可能にしていた。いくら無謀と呼べる闘いに於いても、最後にはいつも必ずお前が勝利を収めていた。僕の記憶するマント・クシャトリヤとはそういう奴だったんだよ」

「……それは昨日も言っていた、50年後の僕のこと、ですか?」

「そうだ」

「…デイトナ王子、僕は信じられない。50年後の僕が…ゾロマンティス軍の最高司令官となっつ世界征服を成し遂げているなんて…そんなもの信じられるものか…」

「ふふ、それが普通の反応さ。それに、僕は全部が全部信じてもらおうだなんてそんな大それた事は思っていない。ただ、お前にはそれ程の可能性があると…そう言いたいわけさ」

「……無茶苦茶過ぎます」

 と、マントは意気消沈して呟いてはおずおずとデイトナから引き下がった。

「…僕はまだ納得したわけではありませんからね?」

「それでいいよ。今はまだ、ね…」

 デイトナは意味深には呟いた。

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