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第17話 再開

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 俺は再び戻ってきた。あの異世界に。

 その場所は、例の、エルフ族の里がある、森の中だった。

「とりあえず、エルフ族の里に戻るか…」

 あれから、どれくらいの月日が、この世界に流れたのだろうか?

 少なくとも、俺は死んでしまった、あの時あの瞬間でないことは、確かであった。

 だって、森の様子が、すごく変だ。

 木々が枯れているし、それに、太陽が出ているのにも関わらず、凄く寒い。

 つまり全体的に、以前俺がやってきた、森の様子とはえらく様変わりした様子、ということである。

 俺は森の中を歩いていった。

 そして、ついにエルフ族の里が、見えてきた。

 目を、疑った。

「な、何で…」

 エルフの族の里は、酷く寂れきっていた。以前に見た、あの見るものをウットリさせるような、そんな里とは、到底結びつかない。

 家屋は朽ち果て、道に物が散乱している。また、人骨のようなものが、ゴロゴロと転がっているではないか。

「何があったんだ…」

 俺は、走った。走って、エルフ族の里の、族長の家へと、足を走らせた。

 族長なら、まだ生きているかもしれない。それに、リリーナだって…

 そして、俺は族長の家へと、たどり着いた。族長の家も、やっぱり朽ち果てていた。

 それでも俺は、族長の家の中へと、入ってみた。

 すると、

「……え、え?」

 俺は、驚いて、そんな声を上げていた。

 何故なら、一人のエルフが、そこにいたからだ。

 ヨボヨボの、すっかり老け込んだ、そんなエルフ。俺はそのエルフを、知らない筈。なのに、

「…ス、スバル様!?」

 そのエルフは、俺と目があった瞬間にも、そう言って、駆け寄ってきた。

「あ、あなたは?」

 俺は、聞いてみた。

「…そう、ですよね。すっかり年老いた私を見て、分かるわけ、ありませんよね…」

 そのエルフは、悲しそうに言った。また、続けて、

「リリーナです」

 そうも、言った。
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