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一章
ソン村脱出③
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どうする俺? ここで逃げるか? 俺はいつだってそうやって生き延びてきたろ? ここでだってあの少女をおいて逃げろよ。仮にも俺を閉じ込めて、おそらく殺そうとしたやつらの仲間だ。助ける義理はない。
だけど、おれは助けられた。
ここで引くことだけは俺のプライドが許さない。
死にたがりの俺。ここ一回くらいいいところ見せろよ!!
俺は足元に転がっていた鉄パイプを手に取る。
そして鉄パイプをぎゅっとにぎりしめ
「そいつを離せええぇぇぇぇぇぇぇえ--------」
俺は腐ったゾンビの頭に思いっきりの一撃を叩き込む。
「離せ離せ離せえええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーー」
一撃で仕留めるなんて思ってない。
だから俺は何発も何発も一撃を叩き込む。
ぷしゃーぷしゃー。返り血が顔にかかる。
だが関係ない。俺は何度も腐った顔面をたたき続ける。
「はあはあはあはあはあはあ。大丈夫か」
ゾンビの息がなくなったのを確認してからそばで傷だらけのミリーに近づく。
顔にあるひっかき傷は顔面内部を強くえぐり、片腕は遠くに転がっていた。正直言って生存確率がとてつもなく低い致命傷だ。
「どうして、どうして俺を助けた! 俺を……………………見捨てれば……」
「…………………………やなの」
今にも消えそうな声。
赤城はしっかりと聞き取れるように顔を近づける。
「もう嫌なの。…………こんな終わった世界で、誰かを傷つけてまで自分が生き残ることが。はぁはぁ、はぁはぁあなたは生き延びて」
本当につらいはずなのに、笑ってみせるミリー。
「待て待て、俺ないいもんもってるんだよ。確か…………」
ごそごそとポケットの中を漁る。
あった。これがあればきっと。
「見てみろよ。これはあいつらのウイルスに効く血清だ。これを打てばきっと感染を防ぐことができる。それで近くの病院で治療をうければ」
焦りながらも俺は注射器のセッティングを整え、ミリーの腕に血清を投与しようとした。
しかしミリーの左手がそれを邪魔する。
「そんなすごいものがあるなら。もっと違うことに役立ててよ。私はどうせ死ぬから」
「あきらめるなよ! まだ死ぬかなんてわからないだろ」
「わかるよ。自分のことは自分が一番わかるから。………………して」
かすかに聞き取れたミリーの言葉。
だが認めたくない。そんな言葉聞き入れたくない。そんな思いから俺は言葉に返事をしない。
「ねえ殺してよ!! お願いだから」
もう一度同じ内容を発したミリー。
「できない。できない。生きた人間を殺すなんて俺にはできない!!」
「……………………そうなんだ。げほっげほっかはっ」
ぴちゃ。
ミリーの口から飛び出た血が俺の顔にかかる。
「おい、ミリー! ミリー!」
返事が返ってこない。
息もしていない。脈もない。
………………俺はまた逃げたのか。
俺はビビりだ。あの後ミリーがゾンビとなって徘徊する姿を見るのが怖くて足早にここを去った。最低だ。死を覚悟したやつの最後の言葉をかなえることができなかった。あろうことか葬ってあげることすら逃げた。
俺は最低な奴だ。
だけど、おれは助けられた。
ここで引くことだけは俺のプライドが許さない。
死にたがりの俺。ここ一回くらいいいところ見せろよ!!
俺は足元に転がっていた鉄パイプを手に取る。
そして鉄パイプをぎゅっとにぎりしめ
「そいつを離せええぇぇぇぇぇぇぇえ--------」
俺は腐ったゾンビの頭に思いっきりの一撃を叩き込む。
「離せ離せ離せえええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーー」
一撃で仕留めるなんて思ってない。
だから俺は何発も何発も一撃を叩き込む。
ぷしゃーぷしゃー。返り血が顔にかかる。
だが関係ない。俺は何度も腐った顔面をたたき続ける。
「はあはあはあはあはあはあ。大丈夫か」
ゾンビの息がなくなったのを確認してからそばで傷だらけのミリーに近づく。
顔にあるひっかき傷は顔面内部を強くえぐり、片腕は遠くに転がっていた。正直言って生存確率がとてつもなく低い致命傷だ。
「どうして、どうして俺を助けた! 俺を……………………見捨てれば……」
「…………………………やなの」
今にも消えそうな声。
赤城はしっかりと聞き取れるように顔を近づける。
「もう嫌なの。…………こんな終わった世界で、誰かを傷つけてまで自分が生き残ることが。はぁはぁ、はぁはぁあなたは生き延びて」
本当につらいはずなのに、笑ってみせるミリー。
「待て待て、俺ないいもんもってるんだよ。確か…………」
ごそごそとポケットの中を漁る。
あった。これがあればきっと。
「見てみろよ。これはあいつらのウイルスに効く血清だ。これを打てばきっと感染を防ぐことができる。それで近くの病院で治療をうければ」
焦りながらも俺は注射器のセッティングを整え、ミリーの腕に血清を投与しようとした。
しかしミリーの左手がそれを邪魔する。
「そんなすごいものがあるなら。もっと違うことに役立ててよ。私はどうせ死ぬから」
「あきらめるなよ! まだ死ぬかなんてわからないだろ」
「わかるよ。自分のことは自分が一番わかるから。………………して」
かすかに聞き取れたミリーの言葉。
だが認めたくない。そんな言葉聞き入れたくない。そんな思いから俺は言葉に返事をしない。
「ねえ殺してよ!! お願いだから」
もう一度同じ内容を発したミリー。
「できない。できない。生きた人間を殺すなんて俺にはできない!!」
「……………………そうなんだ。げほっげほっかはっ」
ぴちゃ。
ミリーの口から飛び出た血が俺の顔にかかる。
「おい、ミリー! ミリー!」
返事が返ってこない。
息もしていない。脈もない。
………………俺はまた逃げたのか。
俺はビビりだ。あの後ミリーがゾンビとなって徘徊する姿を見るのが怖くて足早にここを去った。最低だ。死を覚悟したやつの最後の言葉をかなえることができなかった。あろうことか葬ってあげることすら逃げた。
俺は最低な奴だ。
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