どうしても宝くじ高額当選したいから異世界行っても宝くじを買い続ける

たろたろぬ

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一章

異世界の求人

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「そういえばこれあげます」

 マドコが一枚の小さな紙を渡してきた。

「て、これロ○6じゃねえか!!」

 あっ! 思い出したぞ。
 これは確か俺がトラックにはねられた日に風に飛ばされたやつだ。

「ちょうど昨日結果が出ましたが、私は学習したため結果はいいません。あなたが元の世界に戻れるかはさておき、戻れたときにでも自分で見てみてください」
「お、おう」
 
 確か宝くじの受け取り期限って一年くらいだったよな。一年で戻れるのか? つか俺死んだわけだから元の世界に戻れないんじゃねえか。
 俺はぶんぶんと首を振る。
 今はそんなことは後々。
 俺はロ○6をポケットに押し込む。


「それとここはこれからあなたの家となりますので、ご自由におくつろぎください」
「ご自由におくつろぎくださいって言ってもなぁ………………」

 俺は何もないこざっぱりとした室内を見渡す。
 この部屋にはテレビもなければパソコンもない。この部屋でできることと言ったらベッドでごろごろすることだけだろう。

「あっ、とりあえず。腹減ったな。なんか飯ないか?」

 俺はきょろきょろと周りを見渡す。
 周りに食料足りえる物はない。
 それに冷蔵庫もないようだ。

「ここには何もないですよ。何かが食べたいなら買って来ればいいでしょうに」
「…………………………………俺金ない」
「では盗めばいいのでは?」
「笑顔で物騒なこというなよ!!」
「えへっ」

 えっ、なにいきなりえへって。何かわいこぶって………………………

「だからとりあえず拳は収めろって」

 今にも殴りかかってきそうなマドコを必死でなだめる。
 

「はっきり言っておきますがお金はありませんから」

 少々怒り気味のマドコ。
 いやちょっと待て。

「お金ないってお前が俺をこの世界に連れてきたんだろう。俺を養うのは当然のことじゃないか」
「甘ったれるんじゃねえ。子供じゃねえんだから自分の飯くらい自分で稼げい」

 室内にマドコの怒鳴り声が響き渡る。
 前にもいちどあったが、マドコは本当に切れるときド低い声で声を荒げることがある。

「わかったわかった。とりあえず落ち着け」
「はい、私はいつでも落ち着いていますが」

 その何か? みたいな顔やめてくれますかね? ピキピキ。
 なんとかこの一言は声に出さずに抑える。聞かれるとめんどうなことになる気がする。 

「お金なかったらお前はどうやって飲み食いしていくつもりだ?」
「私は飲み食いしなくても死なないので」
「その設定チートすぎだろ!?」
「設定とか言わないでください。殴りますよ」
「ちょま! もう拳が目の前に来てるんだけど!?」

 痛みを覚悟はしたものの、マドコは目の前でこぶしを止めてくれた。
 なんだかんだこういうやつなんだよな。

「私は優しいですから新太郎のためにいくつか仕事を用意しておきましたよ」
「ほう、マドコにしては準備がいいな」

 俺はマドコから数枚の紙を受け取る。
 どうやら仕事の内容について書かれているようだ。

「何々。逃げる弓のターゲットに、魔法実験の実験体(命の保証はしません)ってどれも物騒すぎだろ!?」
「新太郎なら大丈夫ですよ。きっとラノベの主人公的な死んでもまたよみがえるみたいな能力持ってますよ」
「いやいや絶対持ってないよね!? このバイトやったら俺の人生ゲームオーバーだよね!?」
「死んでみないことにはわかりませんよ?」
「そんな能力があると思って死ぬ奴があるかぁ!! しかもこの弓のターゲットは一回200デルベって絶対リスクに見合ってないだろ」
「そうですね200デルベじゃ青年男性の昼飯代ほどにもなりませんね」
「ええい、こんなバイト誰がするか」

 俺は二枚の紙をびりびりに破く。
 そしてほかのバイトを見てみるがなんだこれは。

「なんで異世界にコンビニ店員とか牛丼屋のバイトの募集があるんだよ。絶対おかしいだろ」
「最近の異世界は進化しているのですよ」

 なかなか話が先に進まない中、大きく俺のお腹の音が室内に響き渡る。
 やばい本格的にお腹がすいてきた。

「とりあえずほかのバイトはないのか。ここにあるのは全部ネタ臭強すぎるって」
「ではこちらに普通のバイト募集のチラシが複数ありますのでどうぞ」
「だったら最初にそっちを渡せい!!」
「えへっ」

 もう突っ込む気力もない。
 俺はマドコを無視して、今すぐに働ける日払いのバイトに行くことにした。

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