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一章
当選確認
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ふひぃ、俺は家に帰ってきて軽く汗を手で拭う。
「今日も疲れたぜ」
「お帰りなさい、お兄ちゃん!」
「キャラ作るのやめい! まあかわいいけど」
お兄ちゃんというセリフがとてつもなく似合うマドコ。だがこのセリフを言っているのは、マドコだと言う事を忘れないで欲しい。暴力を振るおうとする怖いやつだ。
「今日はなミラナグリエルの素焼きを買ってきたぜい」
おおっ! と袋から出てきた小さな鳥の素焼きに関心を示すマドコ。
ちなみに俺が仕事帰りにおいしそうなものを買ってくるというのは日課になりつつあった。
お金を持ってる状態、さらには腹ペコな時に見たこともないようなおいしそうに見えるものを見せられて買わないわけがない。
俺はミラナグリエルにがぶりつく。
んーうまい!! このコリコリとした歯ごたえがなんとも………………………………………………。
あれ? 何かを忘れているようなきがする。噛めば噛むほど濃厚な汁が口の中に溢れてきて素晴らしくおいしい。だがなんだこの何か物足りない感じは。
「どうぞ異世界風醤油です。これで味付けするともっと美味しいですよ」
「あーありがとう」
俺はマドコから醤油を受け取ろうとしたとき思い出した。
「てちがあああぁぁぁぁぁう!!!」
俺は奇声を上げて飛び跳ねる。
「急に声を荒らげてどうしたんですか。肉片がそこらじゅうに飛び散ってますよ。気持ち悪いです」
「そ、それは普通にすまない。だが大事なことを忘れてるだろ!!」
「大事なこと? はて?」
「宝くじだよ! 俺は宝くじの調査のためにここに送られたんだろ?」
そう、ここにきてから早二週間ほどが経過していた。
なのにやったことと言えば日払いのバイトをして飯食ったぐらいだ。まあ一応大陸宝くじは買ったか。だが全然前に進んでる気がしねえ。
「私はのうのうと日々を過ごしているように見えて、実はきっちり調査しているものと思っていましたよ。ああ、実に頼りないですね」
「なんだと? 第一お前はどうなんだ。日中何してるんだよ。家にもいないみたいだし。そこらへんで遊びまわってんじゃないのか」
「私を新太郎と一緒にしないでください。私はこの世界の秩序を守ることが仕事なので、日中はいろいろな場所を飛び回っているのですよ」
「まじか!? いや、そのあの、いつも遊んでいると思ってすんません」
「ふふふ、私のすごさをようやく知ったようですね。そうと知ったら毎日私の元へとグルメを貢ぐのです」
「調子に乗るな」
俺は軽くマドコの頭をたたく。あーなんかこうしてると意外と気持ちい。
一回目は怪訝そうな顔を浮かべるだけだったが、二回三回と俺がたたくもんで、マドコはにっこりと笑顔を浮かべ、
「何回もたたいてんじゃねえぞ、あほうが!!」
マドコの右ストレートが俺のほほを襲う。
「い、いてええぇぇぇぇぇぇぇーーーー」
俺は後方に位置する壁まで吹っ飛ばされた。
な、なんだよこの威力。普通に今まで体感したことのないような痛みなのだが。
「お前何もんだよ。普通に痛ええよ。ううっ」
「三倍盛りのストレートをお見舞いさせていただきましたてへっ」
もうマドコには逆らわんとこ。
次の日俺とマドコは大陸宝くじ販売所に来ていた。
そう、何を隠そう今日は前回買った大陸宝くじの発表日だ。
「ようやく宝くじ要素がし始めましたね」
「そうだな、最近は宝くじ要素薄かったからな。てまてえぇぇぇぇぇい。ちょっとメタ発言は控えようか」
「そうですね。さっさと結果を見てしまいましょう」
結果は建物の上から垂れ幕のようなものがかけられていて、そこに数字がかかれていてくじの数字と一致していれば見事当選だ。
だがそう簡単に結果を見ることはできなかった。
発表場所の周りにたくさんの人だかりができているからだ。
きっとみんな当選確認をしにきたのだろう。
「ここからじゃああまり見えませんね」
必死に背伸びをして遠くの数字を読み取ろうとするマドコ。
俺はそんなかわいらしい様子を見てにたにたが止まらない。
「よかったらお姫様だっこでもしてあげまちょうか? んー?」
「死にたいようですね☆」
「いや、その本当にごめんなさい。調子こいてごめんなさい」
それから数分。徐々に徐々に人だかりは消えていき、とうとう数字がはっきりと見える場所まで進むことができた。
「一等6組の65387667。……………ないな。二等は……………………」
この調子で俺は次々と当選確認していく。手慣れた作業だ。いつも新聞を見ながら向こうでもやっていたからな。
んー、今回は当選なしか。まあ買ったのは五枚だけだからな。
はぁ、いくら購入枚数が少ないとはいえやっぱり落ち込む。
「マドコ、今回は当選なしだ……………………ていないし」
一応俺が当選確認し終えるころには周りの人だかりはめっきりなくなっていた。
だからマドコがいないことははっきりとわかった。
まああいつのことだ一人でも大丈夫だろ。
俺はとりあえず財布の中身をのぞく。
三万デルベか。
「宝くじ買って帰るか」
この日俺は三十組購入し、家に帰ったのだった。
「今日も疲れたぜ」
「お帰りなさい、お兄ちゃん!」
「キャラ作るのやめい! まあかわいいけど」
お兄ちゃんというセリフがとてつもなく似合うマドコ。だがこのセリフを言っているのは、マドコだと言う事を忘れないで欲しい。暴力を振るおうとする怖いやつだ。
「今日はなミラナグリエルの素焼きを買ってきたぜい」
おおっ! と袋から出てきた小さな鳥の素焼きに関心を示すマドコ。
ちなみに俺が仕事帰りにおいしそうなものを買ってくるというのは日課になりつつあった。
お金を持ってる状態、さらには腹ペコな時に見たこともないようなおいしそうに見えるものを見せられて買わないわけがない。
俺はミラナグリエルにがぶりつく。
んーうまい!! このコリコリとした歯ごたえがなんとも………………………………………………。
あれ? 何かを忘れているようなきがする。噛めば噛むほど濃厚な汁が口の中に溢れてきて素晴らしくおいしい。だがなんだこの何か物足りない感じは。
「どうぞ異世界風醤油です。これで味付けするともっと美味しいですよ」
「あーありがとう」
俺はマドコから醤油を受け取ろうとしたとき思い出した。
「てちがあああぁぁぁぁぁう!!!」
俺は奇声を上げて飛び跳ねる。
「急に声を荒らげてどうしたんですか。肉片がそこらじゅうに飛び散ってますよ。気持ち悪いです」
「そ、それは普通にすまない。だが大事なことを忘れてるだろ!!」
「大事なこと? はて?」
「宝くじだよ! 俺は宝くじの調査のためにここに送られたんだろ?」
そう、ここにきてから早二週間ほどが経過していた。
なのにやったことと言えば日払いのバイトをして飯食ったぐらいだ。まあ一応大陸宝くじは買ったか。だが全然前に進んでる気がしねえ。
「私はのうのうと日々を過ごしているように見えて、実はきっちり調査しているものと思っていましたよ。ああ、実に頼りないですね」
「なんだと? 第一お前はどうなんだ。日中何してるんだよ。家にもいないみたいだし。そこらへんで遊びまわってんじゃないのか」
「私を新太郎と一緒にしないでください。私はこの世界の秩序を守ることが仕事なので、日中はいろいろな場所を飛び回っているのですよ」
「まじか!? いや、そのあの、いつも遊んでいると思ってすんません」
「ふふふ、私のすごさをようやく知ったようですね。そうと知ったら毎日私の元へとグルメを貢ぐのです」
「調子に乗るな」
俺は軽くマドコの頭をたたく。あーなんかこうしてると意外と気持ちい。
一回目は怪訝そうな顔を浮かべるだけだったが、二回三回と俺がたたくもんで、マドコはにっこりと笑顔を浮かべ、
「何回もたたいてんじゃねえぞ、あほうが!!」
マドコの右ストレートが俺のほほを襲う。
「い、いてええぇぇぇぇぇぇぇーーーー」
俺は後方に位置する壁まで吹っ飛ばされた。
な、なんだよこの威力。普通に今まで体感したことのないような痛みなのだが。
「お前何もんだよ。普通に痛ええよ。ううっ」
「三倍盛りのストレートをお見舞いさせていただきましたてへっ」
もうマドコには逆らわんとこ。
次の日俺とマドコは大陸宝くじ販売所に来ていた。
そう、何を隠そう今日は前回買った大陸宝くじの発表日だ。
「ようやく宝くじ要素がし始めましたね」
「そうだな、最近は宝くじ要素薄かったからな。てまてえぇぇぇぇぇい。ちょっとメタ発言は控えようか」
「そうですね。さっさと結果を見てしまいましょう」
結果は建物の上から垂れ幕のようなものがかけられていて、そこに数字がかかれていてくじの数字と一致していれば見事当選だ。
だがそう簡単に結果を見ることはできなかった。
発表場所の周りにたくさんの人だかりができているからだ。
きっとみんな当選確認をしにきたのだろう。
「ここからじゃああまり見えませんね」
必死に背伸びをして遠くの数字を読み取ろうとするマドコ。
俺はそんなかわいらしい様子を見てにたにたが止まらない。
「よかったらお姫様だっこでもしてあげまちょうか? んー?」
「死にたいようですね☆」
「いや、その本当にごめんなさい。調子こいてごめんなさい」
それから数分。徐々に徐々に人だかりは消えていき、とうとう数字がはっきりと見える場所まで進むことができた。
「一等6組の65387667。……………ないな。二等は……………………」
この調子で俺は次々と当選確認していく。手慣れた作業だ。いつも新聞を見ながら向こうでもやっていたからな。
んー、今回は当選なしか。まあ買ったのは五枚だけだからな。
はぁ、いくら購入枚数が少ないとはいえやっぱり落ち込む。
「マドコ、今回は当選なしだ……………………ていないし」
一応俺が当選確認し終えるころには周りの人だかりはめっきりなくなっていた。
だからマドコがいないことははっきりとわかった。
まああいつのことだ一人でも大丈夫だろ。
俺はとりあえず財布の中身をのぞく。
三万デルベか。
「宝くじ買って帰るか」
この日俺は三十組購入し、家に帰ったのだった。
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