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第4話 始まる。
彼女は呼ぶ。
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彼女と綴が学校へ着くと当然門は閉ざされていて、
しんと静まり返った夜の学校は、何とも不気味な雰囲気を醸し出していた。
「さて、行こうか。」
そう言って歩みを進める綴。
何をする素振りもなく進む綴に彼女は停止の言葉をかけようとするも、それは声にならぬまま飲み込まれた。
綴は校門をすり抜けたのだ。
まるでそこに障害物など無かったかのように、平然とそこを通ったのだ。
「流石に其方をすり抜けさせる事は出来ぬでの。少々手荒じゃが、構わんじゃろう。」
門の向こう側へと行くとくるりと彼女の方へ振り向き言葉を口にしては、彼女へと手を伸ばした。
すると、彼女の身体はふわりと宙に浮きそのまま門を越え綴の隣へと落とされた。
「…いたっ、!」
浮き上がった際も不安定なままだったため、彼女は尻餅を付きながらの着地となった。
「すまんのぅ…人を持ち上げる事は容易ではなくての。にしても其方…少々重くないかえ?」
くすりと小馬鹿にした様に笑う綴に、不服そうに彼女は頬を膨らませた。
皆殺し、そう言っていた2人とはとても思えないほどほのぼのとして見えた。
「…扨、行こうかの。そろそろ役者が揃い始める頃じゃ。」
尻餅を付いたままの彼女に手を差し伸べ立ち上がらせ、2人は校庭へと向かった。
そして、朝礼台に乗り前を見据えた。
丁度そのころ、校門の辺りが何やら少し騒がしくなっていく。
幾人もの足音が聞こえ始め、門を登る音がする。
1人や2人ではない、幾人もの人の気配。
それらは彼女等がいる校門へと集まって行く。
一人また一人と増えていく。よく見るとその人々は、彼女の学校の生徒と教師だった。
そう、綴が呼んだというのは彼女の学校に通う生徒達のことであった。
綴の力の一つ、男女問わず人間を魅了し自分の意のままに操る事が出来る。
唯一、今回の復讐において、綴が彼女以外に直接使った力だ。
そうして、学校に通う全生徒及び全教員が揃った頃綴は指を鳴らした。
「…扨、ゲームの始まりじゃの。」
恐らく能力を解いたのだろう、集められた者達のどよめきが聞こえる。
彼女の表情は狂気にも似た笑みが浮かんでいた。
しんと静まり返った夜の学校は、何とも不気味な雰囲気を醸し出していた。
「さて、行こうか。」
そう言って歩みを進める綴。
何をする素振りもなく進む綴に彼女は停止の言葉をかけようとするも、それは声にならぬまま飲み込まれた。
綴は校門をすり抜けたのだ。
まるでそこに障害物など無かったかのように、平然とそこを通ったのだ。
「流石に其方をすり抜けさせる事は出来ぬでの。少々手荒じゃが、構わんじゃろう。」
門の向こう側へと行くとくるりと彼女の方へ振り向き言葉を口にしては、彼女へと手を伸ばした。
すると、彼女の身体はふわりと宙に浮きそのまま門を越え綴の隣へと落とされた。
「…いたっ、!」
浮き上がった際も不安定なままだったため、彼女は尻餅を付きながらの着地となった。
「すまんのぅ…人を持ち上げる事は容易ではなくての。にしても其方…少々重くないかえ?」
くすりと小馬鹿にした様に笑う綴に、不服そうに彼女は頬を膨らませた。
皆殺し、そう言っていた2人とはとても思えないほどほのぼのとして見えた。
「…扨、行こうかの。そろそろ役者が揃い始める頃じゃ。」
尻餅を付いたままの彼女に手を差し伸べ立ち上がらせ、2人は校庭へと向かった。
そして、朝礼台に乗り前を見据えた。
丁度そのころ、校門の辺りが何やら少し騒がしくなっていく。
幾人もの足音が聞こえ始め、門を登る音がする。
1人や2人ではない、幾人もの人の気配。
それらは彼女等がいる校門へと集まって行く。
一人また一人と増えていく。よく見るとその人々は、彼女の学校の生徒と教師だった。
そう、綴が呼んだというのは彼女の学校に通う生徒達のことであった。
綴の力の一つ、男女問わず人間を魅了し自分の意のままに操る事が出来る。
唯一、今回の復讐において、綴が彼女以外に直接使った力だ。
そうして、学校に通う全生徒及び全教員が揃った頃綴は指を鳴らした。
「…扨、ゲームの始まりじゃの。」
恐らく能力を解いたのだろう、集められた者達のどよめきが聞こえる。
彼女の表情は狂気にも似た笑みが浮かんでいた。
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