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第4話 始まる。
彼女の愉悦。
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瑠璃を庇うように震えながらも前に立つ啓吾を見て、彼女は笑う。
「震えてるじゃない。姫を守るカッコイイ騎士にでもなったつもり?」
その笑みは嘲笑で、彼等を見つめる瞳は憎しみに少し悲しみが見える様な気がした。
「…どうして…どうして、?何でこんな事酷い事するの?私達が何をしたって言うの…、どうして、こんな事になる前に相談の一つも…」
「黙れ!!」
瑠璃が彼女に問うように言葉を掛けた。
まるで己に非が無いような言い方で告げられた言葉に、彼女は声を荒らげた。
彼女を思っての言葉も、それにかき消されて。
「何をしたかって?そんなの当人であるお前達が1番よく分かってるだろ。瑠璃、お前が嘘の事実を作り上げ私を悪者にして、それを周りに信じ込ませ、私を孤立させて、身も心もずたずたにしたんだ。」
彼女は言葉を紡ぐさなか、自分に起きた出来事を思い出したのか泣きそうに震える声で瑠璃を責める。
「…ま、待って、どういう事?私が原因なの、?」
それでも尚、瑠璃は惚けていた。
彼の後ろからただ問いを投げ掛けるだけ。
彼女にはその態度が許せなかった。
「惚けるな!!お前のせいで…、お前のせいで私はこうなったんだ…お前のせいで皆死んでいくんだよ!」
そう告げた彼女はピストルを取り出す。
そのピストルの銃口は、瑠璃…ではなく、瑠璃の前に立つ啓吾に向けられた。
そして、彼女は何の躊躇いもなくそのまま引き金を引く。
「危ない、!」
引き金が引かれると同時に叫び声にも似た声が聞こえ、瑠璃が啓吾を己の右側へと突き飛ばした。
啓吾は体制を崩しそのまま倒れる。
そして、放たれた弾丸は瑠璃を撃ち抜くのであった。
「瑠璃!!」
撃ち抜かれ、倒れる瑠璃。
慌てて啓吾は瑠璃に駆け寄る。
どうやら心臓に命中したようで、瑠璃は苦しみながらぽつりと一言零し息絶えた。
耐えぬ血に啓吾の手は汚れていき、赤く染まっていく。
「…うぁぁぁあああ゛!!」
想いを寄せた女の子が目の前で殺され、正気を失ってしまった啓吾は、最初に配布された武器から持ち出していたナイフを手に彼女に襲いかかった。
戦闘への強化を施された彼女にとってそれは容易く避ける事の出来るものであったが、避けもせずに腹部へとナイフを突き立てられる。
「…もう、遅いのよ…今更、」
ぽつりぽつりと独り言のように呟く彼女。
突き立てたナイフを引き抜こうとした啓吾の肩を掴み、変わりに自分でナイフを抜いた。
そして、そのナイフを仕返しと言わんばかりに啓吾へと突き立てる。
啓吾はその場に力が抜けたように膝をつきばたりと倒れた。
恐らくゆっくりと意識が遠のいていっているのであろう、彼は彼女に手を伸ばし掴もうとするも、その動きは恐ろしくゆっくりとしたもので、結局掴むことなく落ちるのであった。
彼の命が絶たれた今、彼女の復讐対象であったこの地に集まりし人間は全て息絶えてしまった。
そう、これで終わりなのだ。彼女の復讐は。
「終わったのぅ、これで全員じゃ。」
無表情で足元に転がる親友だった人間の死体を見下ろす彼女。
そんな彼女に、綴は笑みを浮かべながら話し掛ける。
「因みに事後処理はせぬぞ、死体も血も吐瀉物も、何もかもそのまま。明日はにゅーすになっておろうなぁ…正に怪奇現象じゃ。」
実に楽しそうに笑う綴に彼女は表情を変えず近づき、悲しく微笑んだ。
「どうでもいいわ…どうせ、私も死ぬのだから。」
その言葉に再び笑い出す綴。
「そうじゃな、皆死ぬ。証拠などありはせぬ。使った武器ももう、此処にはないのじゃからのぅ…しかし、楽しませて貰ったぞ。」
此処で使われた武器は全て綴が処分している。後処理をしないといいながらも、彼女なりの優しさか。
綴はただ、この復讐劇を見る事を楽しんでいたに過ぎない。
そんな綴に優しさというものがあるのか、
それは綴本人にしか知りえぬことであろう。
「震えてるじゃない。姫を守るカッコイイ騎士にでもなったつもり?」
その笑みは嘲笑で、彼等を見つめる瞳は憎しみに少し悲しみが見える様な気がした。
「…どうして…どうして、?何でこんな事酷い事するの?私達が何をしたって言うの…、どうして、こんな事になる前に相談の一つも…」
「黙れ!!」
瑠璃が彼女に問うように言葉を掛けた。
まるで己に非が無いような言い方で告げられた言葉に、彼女は声を荒らげた。
彼女を思っての言葉も、それにかき消されて。
「何をしたかって?そんなの当人であるお前達が1番よく分かってるだろ。瑠璃、お前が嘘の事実を作り上げ私を悪者にして、それを周りに信じ込ませ、私を孤立させて、身も心もずたずたにしたんだ。」
彼女は言葉を紡ぐさなか、自分に起きた出来事を思い出したのか泣きそうに震える声で瑠璃を責める。
「…ま、待って、どういう事?私が原因なの、?」
それでも尚、瑠璃は惚けていた。
彼の後ろからただ問いを投げ掛けるだけ。
彼女にはその態度が許せなかった。
「惚けるな!!お前のせいで…、お前のせいで私はこうなったんだ…お前のせいで皆死んでいくんだよ!」
そう告げた彼女はピストルを取り出す。
そのピストルの銃口は、瑠璃…ではなく、瑠璃の前に立つ啓吾に向けられた。
そして、彼女は何の躊躇いもなくそのまま引き金を引く。
「危ない、!」
引き金が引かれると同時に叫び声にも似た声が聞こえ、瑠璃が啓吾を己の右側へと突き飛ばした。
啓吾は体制を崩しそのまま倒れる。
そして、放たれた弾丸は瑠璃を撃ち抜くのであった。
「瑠璃!!」
撃ち抜かれ、倒れる瑠璃。
慌てて啓吾は瑠璃に駆け寄る。
どうやら心臓に命中したようで、瑠璃は苦しみながらぽつりと一言零し息絶えた。
耐えぬ血に啓吾の手は汚れていき、赤く染まっていく。
「…うぁぁぁあああ゛!!」
想いを寄せた女の子が目の前で殺され、正気を失ってしまった啓吾は、最初に配布された武器から持ち出していたナイフを手に彼女に襲いかかった。
戦闘への強化を施された彼女にとってそれは容易く避ける事の出来るものであったが、避けもせずに腹部へとナイフを突き立てられる。
「…もう、遅いのよ…今更、」
ぽつりぽつりと独り言のように呟く彼女。
突き立てたナイフを引き抜こうとした啓吾の肩を掴み、変わりに自分でナイフを抜いた。
そして、そのナイフを仕返しと言わんばかりに啓吾へと突き立てる。
啓吾はその場に力が抜けたように膝をつきばたりと倒れた。
恐らくゆっくりと意識が遠のいていっているのであろう、彼は彼女に手を伸ばし掴もうとするも、その動きは恐ろしくゆっくりとしたもので、結局掴むことなく落ちるのであった。
彼の命が絶たれた今、彼女の復讐対象であったこの地に集まりし人間は全て息絶えてしまった。
そう、これで終わりなのだ。彼女の復讐は。
「終わったのぅ、これで全員じゃ。」
無表情で足元に転がる親友だった人間の死体を見下ろす彼女。
そんな彼女に、綴は笑みを浮かべながら話し掛ける。
「因みに事後処理はせぬぞ、死体も血も吐瀉物も、何もかもそのまま。明日はにゅーすになっておろうなぁ…正に怪奇現象じゃ。」
実に楽しそうに笑う綴に彼女は表情を変えず近づき、悲しく微笑んだ。
「どうでもいいわ…どうせ、私も死ぬのだから。」
その言葉に再び笑い出す綴。
「そうじゃな、皆死ぬ。証拠などありはせぬ。使った武器ももう、此処にはないのじゃからのぅ…しかし、楽しませて貰ったぞ。」
此処で使われた武器は全て綴が処分している。後処理をしないといいながらも、彼女なりの優しさか。
綴はただ、この復讐劇を見る事を楽しんでいたに過ぎない。
そんな綴に優しさというものがあるのか、
それは綴本人にしか知りえぬことであろう。
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