110 / 404
第二章 ゲーム開始
053-2
しおりを挟む
そう、メルヴィンは自信たっぷりに講釈を垂れていたものの、まったくの見当違いで、実際はこうであった。
(アルたんは本当に可愛いから、こんなドレスを着ても似合っちゃいそうね。ぐふふ)
そうしてハンガーに掛けられたドレスのデザインを一着ずつ確認しては、アルフレッドが着ている姿を思い描いて悦に入る。
(男性が女性にドレスを贈るのは、そのドレスを脱がせたい下心があるというけれど……)
今日はまさに男性(アーネスト)がヘザー(女性)にドレスをプレゼントしようとしているのだが、そのことは念頭から消え去っていた。
(お兄様がアルたんにドレスを贈って、嫌がるアルたんに無理やり着せて……ぐふふ、ぬふふ)
* * *
「アルフレッド、きれいだ」
「何を言ってるんだ。僕は男だぞ!」
「でも、そこらの女よりお前の方がずっと美しい……」
アルフレッドの顎を掴み、顔を上げさせる。
恥じらいに頬を染めたアルフレッドの瞳はうるみ上気した頬はバラ色に染まって、メルヴィンの言葉が嘘でないことを証明していた。
「も、もう、いいだろう。着替えてくる」
「……脱ぐのなら、俺が脱がせよう」
「何を言って……」
次の瞬間、アルフレッドの肩がメルヴィンの腕によって後ろから抱きすくめられる。
「あ……」
「じっとしてて」
耳元で囁くと、後ろからボタンを一つ、また一つとメルヴィンは外していった。
そのたびに露になるアルフレッドの背中は、雪花石膏のように白く滑らかで誘惑に満ちており、メルヴィンはつい抗えずに口づけを落とす……
* * *
(かはぁっ……! 吐血! 鼻血通り越して、吐血!)
何しろ、自身の妄想もさることながら、実物の二人がやけに距離を狭め、耳元で何やら囁き合っているのだ。
(何? 何を喋っているの? 愛の言葉? やだもう、ラブラブー!)
興奮のあまり、メリーローズはもう少しでまた「デュフフ」笑いが出そうになる。
(いけない、いけない。もう二度と、人がいる前で『魔物』を召喚するわけにはいかないわ!)
必死で魔物笑いと鼻血を我慢するメリーローズを眺めながら、半眼のシルヴィアが呟いた。
「また何か妄想している……。おかげで、高級テーラーが邪気まみれに……」
そこに奥から出てきた店員が、メリーローズに声を掛ける。
「恐れ入りますが、ちょっとこちらに来ていただけますか?」
「何か、問題でも?」
「はい、ちょっと……」
やりとりと聞きながら、シルヴィアが苦い顔になった。
(だから、言わんこっちゃない)
あんなセクシーなデザインをヘザーに着せて、似合うわけがない。
いやそれ以前に、ドレスを見た本人が着たがらなくてゴネている可能性もある。
充分予想できたはずだったのに、この事態を止められなかった自分にも責任があると考えたシルヴィアは、メリーローズの後をついて行った。
(アルたんは本当に可愛いから、こんなドレスを着ても似合っちゃいそうね。ぐふふ)
そうしてハンガーに掛けられたドレスのデザインを一着ずつ確認しては、アルフレッドが着ている姿を思い描いて悦に入る。
(男性が女性にドレスを贈るのは、そのドレスを脱がせたい下心があるというけれど……)
今日はまさに男性(アーネスト)がヘザー(女性)にドレスをプレゼントしようとしているのだが、そのことは念頭から消え去っていた。
(お兄様がアルたんにドレスを贈って、嫌がるアルたんに無理やり着せて……ぐふふ、ぬふふ)
* * *
「アルフレッド、きれいだ」
「何を言ってるんだ。僕は男だぞ!」
「でも、そこらの女よりお前の方がずっと美しい……」
アルフレッドの顎を掴み、顔を上げさせる。
恥じらいに頬を染めたアルフレッドの瞳はうるみ上気した頬はバラ色に染まって、メルヴィンの言葉が嘘でないことを証明していた。
「も、もう、いいだろう。着替えてくる」
「……脱ぐのなら、俺が脱がせよう」
「何を言って……」
次の瞬間、アルフレッドの肩がメルヴィンの腕によって後ろから抱きすくめられる。
「あ……」
「じっとしてて」
耳元で囁くと、後ろからボタンを一つ、また一つとメルヴィンは外していった。
そのたびに露になるアルフレッドの背中は、雪花石膏のように白く滑らかで誘惑に満ちており、メルヴィンはつい抗えずに口づけを落とす……
* * *
(かはぁっ……! 吐血! 鼻血通り越して、吐血!)
何しろ、自身の妄想もさることながら、実物の二人がやけに距離を狭め、耳元で何やら囁き合っているのだ。
(何? 何を喋っているの? 愛の言葉? やだもう、ラブラブー!)
興奮のあまり、メリーローズはもう少しでまた「デュフフ」笑いが出そうになる。
(いけない、いけない。もう二度と、人がいる前で『魔物』を召喚するわけにはいかないわ!)
必死で魔物笑いと鼻血を我慢するメリーローズを眺めながら、半眼のシルヴィアが呟いた。
「また何か妄想している……。おかげで、高級テーラーが邪気まみれに……」
そこに奥から出てきた店員が、メリーローズに声を掛ける。
「恐れ入りますが、ちょっとこちらに来ていただけますか?」
「何か、問題でも?」
「はい、ちょっと……」
やりとりと聞きながら、シルヴィアが苦い顔になった。
(だから、言わんこっちゃない)
あんなセクシーなデザインをヘザーに着せて、似合うわけがない。
いやそれ以前に、ドレスを見た本人が着たがらなくてゴネている可能性もある。
充分予想できたはずだったのに、この事態を止められなかった自分にも責任があると考えたシルヴィアは、メリーローズの後をついて行った。
10
あなたにおすすめの小説
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~
Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。
走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる