悪役令嬢はBL作家「処刑覚悟で萌えますわ!」~婚約者の王子様ごめんなさい、あなたをネタに小説書いてます~

すえつむ はな

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第二章 ゲーム開始

055 公爵令嬢の悲しみ、波紋を呼ぶ

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 寮の部屋で、メリーローズは再び悲嘆に暮れていた。

「ううーっうっうっうっ」

「また卵を産むのですか?」

「失礼ね! 前回も今も、卵なんて産んでないし、産まないわよ!」

 シルヴィアの突っ込みを受けて、ふかふかの羽根布団を涙で濡らしながら叫ぶ。

「お嬢様……」

「わかってるわよ、シルヴィアが言おうとしていることは! 『ヘザーとアーネストの婚約を祝福して、アーネストとアルたんのことは妄想で補いましょう』って言いたいんでしょう?」

「ご明察! さすがでございます、お嬢様」

 背中をよしよしと撫でながら、シルヴィアは軽く息をつく。

(まあでも今回の二人は、あまり祝福のムードではなかったけれど……)



 今を遡ること数時間前……

 例のテーラーの試着室では、アーネストによる突然のプロポーズという爆弾が落とされていた。

「どうか僕と結婚してください」

 ただし求婚されているヘザーの反応はいまひとつだ。

「ええー、どうしてそうなるんですか?」

「ずばり、君は僕の理想だからだ」

「はあ……」

「君はどうなんだ? 僕は君の……理想とまでいかなくても、少しは好きになってくれる要素はないか?」

「そうですね……」

 学院では美形男子として女子学生に人気のアーネストからのプロポーズも、ヘザーにとってはさほど嬉しいものではないらしい。

「わたくしにも、結婚相手に求める条件があります」

「何なんだ、言ってくれ」

「まず、わたくしは実家の爵位を継がなければいけないので、ご自分の家を継ぐ必要のある嫡男の方ではダメです」

「クリアだ! 僕は次男坊だ」

「それから、わたくしのような容姿の持ち主でもいいと言ってくれる方」

「君の容姿が好きだ! クリア!」

「それと……わたくしの実家は貧乏なので、お金を持っている方、もしくは稼ぐ力のある方でないと……」

「うちは子爵家だが、それなりに資産はある。結納金をはずもう!」

「商談成立! このプロポーズ、お受けしましょう」

「やったー!」


 このやりとりを、メリーローズは呆然と見ていた。

(こんな、ロマンチックさの欠片もないプロポーズで、アルたんのダーリン候補が奪われていくなんて……)

 しかも、この結果を招いたのは自分自身。
 ヘザーの美しさをアーネストに見せつけようとした、自分の行動が招いてしまったという事実が、メリーローズを更に打ちのめす。


 まだ二人の間だけの約束ではあるが、婚約を成立させたアーネストはヘザーの手を取り皆の前に意気揚々とエスコートした。
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