悪役令嬢はBL作家「処刑覚悟で萌えますわ!」~婚約者の王子様ごめんなさい、あなたをネタに小説書いてます~

すえつむ はな

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第三章 BL小説の存在、世に知られる

094 公爵令嬢とメイド、人前で漫才をする

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 実のところ、シルヴィアは主人の様子を見ながら、のんびり微笑んでいられる状況ではない。

 夕べ飛ばした式神たちが、ちゃんと予定の場所でスタンバっているかどうかを、散歩を装いながらチェックして回る。

(うん、大丈夫そうだな)

 指を折って、数と場所を確認しながら頷いた。

(さて今日、彼らはどんな手を仕込んでくるか)

 自分たちには考えもつかない方法を取ってくるだろう。
 そのことは、ランドルフに人を操る魔術を使って『メルヴィンにアルフレッドを刺す』ということも出来る、と指摘されたときに痛感した。

 大聖堂の大司教といえば、長い間この国の権力の中枢近くにいた男だ。
 自分のような世間知らずの娘には、思いもよらないことを考えてくるかも知れない。

 とりあえず、天と地の気をならす術を久しぶりに使うことにした。
 紙で出来た式神は雨に弱い。
 術を上手く使うには、乾いた状態で行いたいところだ。

 シルヴィアの見立てでは、今日は薄曇り、明日は弱い雨が降るとみている。
 それを、今日と明日は雨が降ることがないようにし、その分雲が明後日の火曜日に集中するようにした。

 明後日は多少雨脚が強くなるかも知れないが、さほどの影響はないはずである。

「とりあえず、出来ることはやった」

 花壇の横に立ち、ひとちるシルヴィアの元に、メリーローズとミュリエルがやってきた。

「あの、シルヴィアさん。本当にありがとうございます」

「お礼にはまだ早いわ。上手くいくかどうかは、明日、司教一行が帰るまでわからないんだから」

「でもシルヴィアさんは私の為に色々と働いてくださいましたから、それだけでもすごく感謝しています」

「いいのよ。権力を持っている人間の、こういう傲慢なやり方って、私も許せないから。好きでやってるのよ」

 その言葉に、ミュリエルはますます恐縮する。

「あの……なんだか本当にすみません」

「どうしました? 緊張しているのかしら?」

「いえ、そのう……、私、今まで何も疑問に思わずに過ごしてきました。この学院に入学することになったときも、司教様が仰るのなら、そうなんだろう……って」

「『そうなんだろう』とは?」

「奇跡の力のことです。……いえ、全く疑問に思わなかったわけじゃなくて、私なんかに、本当にそんな力があるのかな? ……とは思いましたが」

 話しながら、ミュリエルはスカートをぎゅっと握りしめた。
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