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第三章 BL小説の存在、世に知られる
093 公爵令嬢はまんざらでもない?
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翌日曜日、いつものメンバーで生徒会室に集まった。
普段、日曜は生徒会室が入っている学生棟には鍵が掛けられているのだが、文化芸術祭のコンセプト会議をしたいと届け出を出して、使用許可が出ている。
「そういえば許可申請を出したとき、ゴネられたりはしなかったか?」
アルフレッドに聞かれ、メルヴィンが首を傾げた。
「いいや、特には。なぜだい?」
「うん、もし彼らが学生棟に仕掛けを施そうとしていたら、すんなりとは許可が下りないんじゃないかと思っていたから」
(さすがアルたん! 鋭い読みね)
声に出さず、メリーローズは押しを称賛する。
「しかし、待っているだけっていうのも、退屈だな」
フィルバートが伸びをしながらカウチに寝転んだ。
「君はそこで勉強をしていてもいいんだよ? 式神の反応に気付くことが出来るのは、シルヴィア嬢だけだしな」
毎日勉強を頑張る分、日曜は頭を休める日と決めていたのに、藪蛇となった。
ヘザーがポツリと言う。
「学生棟使用の許可が下りたということは、この建物から見える範囲内には、仕掛けが作られる可能性は低いでしょうね」
「確かに。わが婚約者殿は、相変わらず鋭いな」
「いえ、普通だと思います」
相変わらずヘザーはアーネストに塩対応だ。
「しかし、ここから遠い所に仕掛けを仕込まれると、駆けつけるのが大変じゃないか?」
「慌てて駆けつけなくてもいいように、今日のうちに紙人形を仕込んでおくんだろう?」
「あ、そっか」
フィルバートとアーネストの暢気な会話を聞きながら、メルヴィンがポツリと疑問を漏らす。
「でも、『仕掛け』って、何を仕込むんだ?」
「魔法は使わないんだから、きっと大がかりな手品みたいなやつですわ、お兄様。イッツ・ア・マジック・ショー!」
メリーローズがくるりとターンして、得意げにポーズをとるが、他のメンバーは呆気にとられた。
「マジック?」
「マジックって、なんだ?」
(はっしまった! 『マジック』の語源は東方の三賢人の名前。キリスト教がないこの世界に『マジック』っていう言葉はないのか)
「お、おほほほほ……。えーっと、前に大道芸で見たことがございますの。手に持っていた杖が一瞬で消えたり、スカーフの中から鳩が出てきたりするのですわ」
「おい、メリー。いつの間に、そんなものを見たんだ? 俺は見た覚えがないぞ」
手品の説明をしながら(さて、ここからどうやってマジックという言葉を誤魔化そうか?)と悩んでいたメリーローズは、メルヴィンの言葉に食いついた。
「あ、あらー? あのとき、お兄様はご一緒していらっしゃらなかったかしらあ?」
「いないよ。そんなもの、見た覚えがない! 一体、いつの間に大道芸なんて見に行ったんだ?」
「えーっ? いつだったかしらあ? 覚えていらっしゃらないのかしらー?」
「お前が覚えていて、俺が覚えていないはずがない!」
段々、兄妹同志による「見た」「見ていない」の言い合いになってきたことで、他のメンバーの興味が薄れ、別の話題に移っていった。
一人を除いて。
「メリーローズ」
「は、はい。アルフレッド様?」
アルフレッドは、また「マジック」という言葉を蒸し返されたらどうしようか、と焦っているメリーローズの耳元に顔を近付けて、囁く。
「いつか、その大道芸を見に行きたいな。こっそり、メルヴィンや護衛を出し抜いて、二人だけで」
「ふ、二人……だけで?」
「うん。約束だよ」
あまりに顔が近かった為か、一瞬アルフレッドの唇が、メリーローズの耳たぶに触れた。
その擽ったさに、メリーローズは頬に血がのぼってくるのを感じる。
(だ、だめよ、アルたんったら! こういうことは、お兄様にしてくれなきゃ!)
両手で頬を押さえて真っ赤になったメリーローズを、シルヴィアが盗み見て、笑みを漏らした。
(まんざらでもないようですねえ、お嬢様)
普段、日曜は生徒会室が入っている学生棟には鍵が掛けられているのだが、文化芸術祭のコンセプト会議をしたいと届け出を出して、使用許可が出ている。
「そういえば許可申請を出したとき、ゴネられたりはしなかったか?」
アルフレッドに聞かれ、メルヴィンが首を傾げた。
「いいや、特には。なぜだい?」
「うん、もし彼らが学生棟に仕掛けを施そうとしていたら、すんなりとは許可が下りないんじゃないかと思っていたから」
(さすがアルたん! 鋭い読みね)
声に出さず、メリーローズは押しを称賛する。
「しかし、待っているだけっていうのも、退屈だな」
フィルバートが伸びをしながらカウチに寝転んだ。
「君はそこで勉強をしていてもいいんだよ? 式神の反応に気付くことが出来るのは、シルヴィア嬢だけだしな」
毎日勉強を頑張る分、日曜は頭を休める日と決めていたのに、藪蛇となった。
ヘザーがポツリと言う。
「学生棟使用の許可が下りたということは、この建物から見える範囲内には、仕掛けが作られる可能性は低いでしょうね」
「確かに。わが婚約者殿は、相変わらず鋭いな」
「いえ、普通だと思います」
相変わらずヘザーはアーネストに塩対応だ。
「しかし、ここから遠い所に仕掛けを仕込まれると、駆けつけるのが大変じゃないか?」
「慌てて駆けつけなくてもいいように、今日のうちに紙人形を仕込んでおくんだろう?」
「あ、そっか」
フィルバートとアーネストの暢気な会話を聞きながら、メルヴィンがポツリと疑問を漏らす。
「でも、『仕掛け』って、何を仕込むんだ?」
「魔法は使わないんだから、きっと大がかりな手品みたいなやつですわ、お兄様。イッツ・ア・マジック・ショー!」
メリーローズがくるりとターンして、得意げにポーズをとるが、他のメンバーは呆気にとられた。
「マジック?」
「マジックって、なんだ?」
(はっしまった! 『マジック』の語源は東方の三賢人の名前。キリスト教がないこの世界に『マジック』っていう言葉はないのか)
「お、おほほほほ……。えーっと、前に大道芸で見たことがございますの。手に持っていた杖が一瞬で消えたり、スカーフの中から鳩が出てきたりするのですわ」
「おい、メリー。いつの間に、そんなものを見たんだ? 俺は見た覚えがないぞ」
手品の説明をしながら(さて、ここからどうやってマジックという言葉を誤魔化そうか?)と悩んでいたメリーローズは、メルヴィンの言葉に食いついた。
「あ、あらー? あのとき、お兄様はご一緒していらっしゃらなかったかしらあ?」
「いないよ。そんなもの、見た覚えがない! 一体、いつの間に大道芸なんて見に行ったんだ?」
「えーっ? いつだったかしらあ? 覚えていらっしゃらないのかしらー?」
「お前が覚えていて、俺が覚えていないはずがない!」
段々、兄妹同志による「見た」「見ていない」の言い合いになってきたことで、他のメンバーの興味が薄れ、別の話題に移っていった。
一人を除いて。
「メリーローズ」
「は、はい。アルフレッド様?」
アルフレッドは、また「マジック」という言葉を蒸し返されたらどうしようか、と焦っているメリーローズの耳元に顔を近付けて、囁く。
「いつか、その大道芸を見に行きたいな。こっそり、メルヴィンや護衛を出し抜いて、二人だけで」
「ふ、二人……だけで?」
「うん。約束だよ」
あまりに顔が近かった為か、一瞬アルフレッドの唇が、メリーローズの耳たぶに触れた。
その擽ったさに、メリーローズは頬に血がのぼってくるのを感じる。
(だ、だめよ、アルたんったら! こういうことは、お兄様にしてくれなきゃ!)
両手で頬を押さえて真っ赤になったメリーローズを、シルヴィアが盗み見て、笑みを漏らした。
(まんざらでもないようですねえ、お嬢様)
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