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第三章 BL小説の存在、世に知られる
099 公爵令嬢、疑われる
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「わかりました。あなたはこのまま、ヘザーに報告に行ってください。あと、わたくしにこの情報が伝わっていることも、話してください」
「いいんですか?」
「勿論です。ヘザーさんたちとわたくしは、今回の件でも同士ですし、知っておいていただいた方が、今後の展開もやりやすくなります。わたくしたちの方でも、策を練っておきます、と伝えてください」
「かしこまりました!」
ヴァイオラが晴れやかに頷いた。
(ヘザーにわたくしのことを話していい、と言ったことで、最後の疑念が晴れたのかも)
メリーローズはヴァイオラに、ツツッと近寄り耳打ちする。
「それと、出来ればなんだけど、わたくしもBLの同士であることを、さりげなく伝えていただけないかしら。彼女たちまだ知らなくて、BL関係のことになると、仲間外れになっちゃうみたいなの」
「この陰謀話の流れからですか?」
(そりゃそうか)
自分でもカミングアウトのタイミングがなくて、そのままにしてきたことを、今日事情を知ったばかりの他人に依頼する方が虫のいい話だ。
「ええ、その……もし出来たら、でいいのよ。それじゃ、他のことはお願いするわね」
「はい」
ヴァイオラは女子寮に走り、メリーローズは生徒会室に引き返した。
ヘザーたちの部屋に忍び込んだヴァイオラは、学長室で聞いたことを伝える。
「やっぱり、私を王太子妃候補にするつもりなんですね……」
ミュリエルが震えながら自分の肩を抱きしめた。
「ミュリエル……」
エルシーが心配して顔を覗き込む。
部屋の中が悲観的な雰囲気に包まれそうになり、ヴァイオラが慌てて皆を励ました。
「ミュリエルさん、顔を上げてください。まだ手立てはあるはずです」
更に生徒会室に行ってメリーローズと会ったことを伝える。
「私は最初、ヘザーさんがいるものと思って生徒会室に行ってしまい、あちらの方々に不審がられて逃げて来たんですけど……」
「ヴァイオラさんは、学長の側近として知られていますからね。確かに不審がられるでしょう」
ヘザーが相槌を打った。
「特にヘザーさんの婚約者の方が圧力強めに『何か用か?』と問い質してきて、そそくさと逃げだしたんです。そうしたらランズダウン公爵令嬢が追いかけてきて、自分は同士なので大丈夫だと、学長の情報をお教えしたら、ヘザーさんたちにも公爵令嬢が知っていることを伝えて欲しいと仰っていました」
「よかった! メリーローズ様もご存じなんですね」
エルシーが声をあげて喜び、ミュリエルも少しだけホッと安堵の顔を見せる。
「あ、そういえば……」
「あの……ランズダウン公爵令嬢様からなんですが、ご令嬢もBL本がお好きだそうです」
「え?」
「ええ?」
「なんと!」
三人が一様に驚いた後、おもむろにヘザーが呟いた。
「でも、なぜそんな話になったのでしょうか?」
「確かに、そうね」
ミュリエルも首を捻る。
「それは、生徒会室から逃げ出した私を追いかけてきて、BLにつられて、学長を裏切っていることを知っている、と仰ったのです。そして、自分もまたBL好きの同士だと告げて、私を安心させてくださったんです」
「なるほどね」
エルシーとミュリエルはそこで納得しかけたが、ヘザーは更なる疑問を呈した。
「待ってください。……メリーローズ様は、なぜヴァイオラさんがわたくしたちの味方だと知っていたのでしょう。そのうえ、BLが好きなことまで……」
「言われてみれば、確かに。私はヘザーさんたち以外の誰にも、BLが好きだなんて言ったことはありません」
「わたくしも、メリーローズ様にその話をしたことはありません」
全員で顔を見合わせてしまった。
今まで信頼していたメリーローズが、急に知らない人になってしまったような気がして、部屋の温度が低くなったような気がした。
「いいんですか?」
「勿論です。ヘザーさんたちとわたくしは、今回の件でも同士ですし、知っておいていただいた方が、今後の展開もやりやすくなります。わたくしたちの方でも、策を練っておきます、と伝えてください」
「かしこまりました!」
ヴァイオラが晴れやかに頷いた。
(ヘザーにわたくしのことを話していい、と言ったことで、最後の疑念が晴れたのかも)
メリーローズはヴァイオラに、ツツッと近寄り耳打ちする。
「それと、出来ればなんだけど、わたくしもBLの同士であることを、さりげなく伝えていただけないかしら。彼女たちまだ知らなくて、BL関係のことになると、仲間外れになっちゃうみたいなの」
「この陰謀話の流れからですか?」
(そりゃそうか)
自分でもカミングアウトのタイミングがなくて、そのままにしてきたことを、今日事情を知ったばかりの他人に依頼する方が虫のいい話だ。
「ええ、その……もし出来たら、でいいのよ。それじゃ、他のことはお願いするわね」
「はい」
ヴァイオラは女子寮に走り、メリーローズは生徒会室に引き返した。
ヘザーたちの部屋に忍び込んだヴァイオラは、学長室で聞いたことを伝える。
「やっぱり、私を王太子妃候補にするつもりなんですね……」
ミュリエルが震えながら自分の肩を抱きしめた。
「ミュリエル……」
エルシーが心配して顔を覗き込む。
部屋の中が悲観的な雰囲気に包まれそうになり、ヴァイオラが慌てて皆を励ました。
「ミュリエルさん、顔を上げてください。まだ手立てはあるはずです」
更に生徒会室に行ってメリーローズと会ったことを伝える。
「私は最初、ヘザーさんがいるものと思って生徒会室に行ってしまい、あちらの方々に不審がられて逃げて来たんですけど……」
「ヴァイオラさんは、学長の側近として知られていますからね。確かに不審がられるでしょう」
ヘザーが相槌を打った。
「特にヘザーさんの婚約者の方が圧力強めに『何か用か?』と問い質してきて、そそくさと逃げだしたんです。そうしたらランズダウン公爵令嬢が追いかけてきて、自分は同士なので大丈夫だと、学長の情報をお教えしたら、ヘザーさんたちにも公爵令嬢が知っていることを伝えて欲しいと仰っていました」
「よかった! メリーローズ様もご存じなんですね」
エルシーが声をあげて喜び、ミュリエルも少しだけホッと安堵の顔を見せる。
「あ、そういえば……」
「あの……ランズダウン公爵令嬢様からなんですが、ご令嬢もBL本がお好きだそうです」
「え?」
「ええ?」
「なんと!」
三人が一様に驚いた後、おもむろにヘザーが呟いた。
「でも、なぜそんな話になったのでしょうか?」
「確かに、そうね」
ミュリエルも首を捻る。
「それは、生徒会室から逃げ出した私を追いかけてきて、BLにつられて、学長を裏切っていることを知っている、と仰ったのです。そして、自分もまたBL好きの同士だと告げて、私を安心させてくださったんです」
「なるほどね」
エルシーとミュリエルはそこで納得しかけたが、ヘザーは更なる疑問を呈した。
「待ってください。……メリーローズ様は、なぜヴァイオラさんがわたくしたちの味方だと知っていたのでしょう。そのうえ、BLが好きなことまで……」
「言われてみれば、確かに。私はヘザーさんたち以外の誰にも、BLが好きだなんて言ったことはありません」
「わたくしも、メリーローズ様にその話をしたことはありません」
全員で顔を見合わせてしまった。
今まで信頼していたメリーローズが、急に知らない人になってしまったような気がして、部屋の温度が低くなったような気がした。
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