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先輩が鞭打ちに?
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私の部屋で少し打ち合わせをした後、リビングに移動。
二人でリビングに入った時、先輩が隅に置かれている電子ピアノに気づいた。
「あら、あなたピアノ弾くの?」
「弾くというか、時々遊ぶ程度です」
「なかなか良い物みたいね」
「そういえば、母がやけに張り切って買ってきたような……」
2.3年前に母が買ってきた電子ピアノ。
買うときは色々調べたり、店に連れていかれて選ばされたりしたけど、数か月もすると時々触る程度になっちゃったんだっけ。
「弾いてみていい?」
「はい」
電子ピアノの前に座る先輩。
つい、お尻に目が……
このままだとそのうち気づかれそうだし、気をつけないといけないわね。
「先輩、ピアノ上手ですね」
アニメやドラマの主題歌を数曲、弾いてみせる先輩。
音が外れることもリズムが乱れることもなく、安心して聴いていられる。
「昔、少しやってただけよ。母がピアノ教室やっているし」
「ピアノ教室ですか」
「ええ。で、そのピアノ教室もまた厳しいのよねえ」
厳しい、ってまさか……。
先輩は、ため息混じりに立ち上がると私の横に腰掛けた。
「ちょっと練習サボったりすると、すぐお尻たたき」
お尻たたきという言葉を聞いて、一瞬ドキリとした私の横で、先輩はジュースを一口飲んでから、続ける。
「プロになった人もいるけど、その人にもお尻丸出しで鞭打ち、とかやってたみたいで」
「鞭…ですか?」
「ピアノ教室では、革の鞭を使っているの」
え、と。
それってまさか本物というか、アニメに出てくるような?
「ロープみたいに編み込んで、長さは60cm位かしらね」
ほ、本物……
「それ、かなり痛いんじゃ……」
「そうね。私も何度かたたかれたことあるけど、息が止まる」
「先輩も鞭で、その……お尻をたたかれるんですか?」
「たまに。ただ、普段の鞭打ちは革鞭より電気コードの鞭ね」
先輩は、バッグからUSBケーブルを取り出して見せた。
「これより少し太いコードを、2本束ねてたたかれるの」
「それ、痛そうそうですね」
私も、何度かコードを束ねて自分のお尻をたたいてみたことがあるけど、勢いが付きやすくて、当たり所によってはしばらく動けなくなったりするくらい。
「ええ。革鞭の方が、まだ耐えやすいかもしれないわね」
革鞭ってどんな感じなんだろう……と思うけど、あまり先輩に根掘り葉掘り聞くわけにもねぇ。
「革鞭って写真でしか見たことないけど、本当にあるんですね」
その……いろいろと趣味的な物を売っている通販サイトとかで。
「母の友人にそういうの作る人がいて、その人から譲ってもらったみたいね」
って、手作り?
「見てみたい?」
「手作りの鞭って、すごいですね。見てみたい気もします」
この答え、おかしくないわよね?
「ピアノのある部屋の棚に置いてあるから、うちの教室に入れば嫌でも目に入るわ」
宣伝ね、なんて冗談めかして言う先輩。
先輩の家のピアノ教室、か。
先輩の家で、先輩と同じようにお尻をたたかれて……
先輩が住んでいる家に通う理由もできる、と。
「今、入れそうですか?」
思わず聞いてしまう。
「え? うちのピアノ教室?」
少し驚いたような先輩の声に、ちょっとまずかったかな、と思う。
お尻を鞭でたたかれるって話から、入れるかって……無理があるというか
「もしかして、鞭でたたかれたいの?」
当然、こうなるわよねぇ。
まぁ、先輩は冗談めかして言っているけど。
「いえ、その少しピアノ習ってみるのも楽しそうかな、と」
もちろんお尻たたきにも興味があるし、何より先輩の家で、というのが大きいけど、さすがにそれは言えない。
「最近はあまり人もいない感じだから、大丈夫だとは思うけど……」
少し戸惑ったような先輩の声。
その先輩がふとスマホを取り出して画面を見る。
「あ、もうこんな時間。そろそろ帰らないと、鞭打ちだわ」
確か門限7時だったわよね。
前に聞いた先輩の家は私の家から少し離れているみたいだから、確かにそろそろ帰らないといけない。
……って、今先輩、鞭打ちって?
「先週もちょっと遅れちゃったから、今日はさすがに帰らないとね」
なるほど。
でも、先輩と当たり前のようにお尻たたきの話ができる、ってすごいことになったわね。
「今日はありがとうございました」
玄関まで先輩を見送る間も、ついお尻に目が行ってしまう。
「また明日ね。ピアノ教室のことは、聞いてみるわ」
「お願いします」
先輩を見送った後、ピアノの前に座った。
ようやく覚えたアニメの主題歌をぎこちなく弾いたりしながら、ピアノ教室に通う、さらにピアノ教室で鞭打ちを受ける自分の姿を思い浮かべてみる。
……先輩のお母さんって、どんな人なのかしら
あったことも話したこともないけど、先輩は特にお母さんを嫌っている感じでもないみたい。
ただ、実際にどんな感じになるのかは、ほとんど想像できなかった。
二人でリビングに入った時、先輩が隅に置かれている電子ピアノに気づいた。
「あら、あなたピアノ弾くの?」
「弾くというか、時々遊ぶ程度です」
「なかなか良い物みたいね」
「そういえば、母がやけに張り切って買ってきたような……」
2.3年前に母が買ってきた電子ピアノ。
買うときは色々調べたり、店に連れていかれて選ばされたりしたけど、数か月もすると時々触る程度になっちゃったんだっけ。
「弾いてみていい?」
「はい」
電子ピアノの前に座る先輩。
つい、お尻に目が……
このままだとそのうち気づかれそうだし、気をつけないといけないわね。
「先輩、ピアノ上手ですね」
アニメやドラマの主題歌を数曲、弾いてみせる先輩。
音が外れることもリズムが乱れることもなく、安心して聴いていられる。
「昔、少しやってただけよ。母がピアノ教室やっているし」
「ピアノ教室ですか」
「ええ。で、そのピアノ教室もまた厳しいのよねえ」
厳しい、ってまさか……。
先輩は、ため息混じりに立ち上がると私の横に腰掛けた。
「ちょっと練習サボったりすると、すぐお尻たたき」
お尻たたきという言葉を聞いて、一瞬ドキリとした私の横で、先輩はジュースを一口飲んでから、続ける。
「プロになった人もいるけど、その人にもお尻丸出しで鞭打ち、とかやってたみたいで」
「鞭…ですか?」
「ピアノ教室では、革の鞭を使っているの」
え、と。
それってまさか本物というか、アニメに出てくるような?
「ロープみたいに編み込んで、長さは60cm位かしらね」
ほ、本物……
「それ、かなり痛いんじゃ……」
「そうね。私も何度かたたかれたことあるけど、息が止まる」
「先輩も鞭で、その……お尻をたたかれるんですか?」
「たまに。ただ、普段の鞭打ちは革鞭より電気コードの鞭ね」
先輩は、バッグからUSBケーブルを取り出して見せた。
「これより少し太いコードを、2本束ねてたたかれるの」
「それ、痛そうそうですね」
私も、何度かコードを束ねて自分のお尻をたたいてみたことがあるけど、勢いが付きやすくて、当たり所によってはしばらく動けなくなったりするくらい。
「ええ。革鞭の方が、まだ耐えやすいかもしれないわね」
革鞭ってどんな感じなんだろう……と思うけど、あまり先輩に根掘り葉掘り聞くわけにもねぇ。
「革鞭って写真でしか見たことないけど、本当にあるんですね」
その……いろいろと趣味的な物を売っている通販サイトとかで。
「母の友人にそういうの作る人がいて、その人から譲ってもらったみたいね」
って、手作り?
「見てみたい?」
「手作りの鞭って、すごいですね。見てみたい気もします」
この答え、おかしくないわよね?
「ピアノのある部屋の棚に置いてあるから、うちの教室に入れば嫌でも目に入るわ」
宣伝ね、なんて冗談めかして言う先輩。
先輩の家のピアノ教室、か。
先輩の家で、先輩と同じようにお尻をたたかれて……
先輩が住んでいる家に通う理由もできる、と。
「今、入れそうですか?」
思わず聞いてしまう。
「え? うちのピアノ教室?」
少し驚いたような先輩の声に、ちょっとまずかったかな、と思う。
お尻を鞭でたたかれるって話から、入れるかって……無理があるというか
「もしかして、鞭でたたかれたいの?」
当然、こうなるわよねぇ。
まぁ、先輩は冗談めかして言っているけど。
「いえ、その少しピアノ習ってみるのも楽しそうかな、と」
もちろんお尻たたきにも興味があるし、何より先輩の家で、というのが大きいけど、さすがにそれは言えない。
「最近はあまり人もいない感じだから、大丈夫だとは思うけど……」
少し戸惑ったような先輩の声。
その先輩がふとスマホを取り出して画面を見る。
「あ、もうこんな時間。そろそろ帰らないと、鞭打ちだわ」
確か門限7時だったわよね。
前に聞いた先輩の家は私の家から少し離れているみたいだから、確かにそろそろ帰らないといけない。
……って、今先輩、鞭打ちって?
「先週もちょっと遅れちゃったから、今日はさすがに帰らないとね」
なるほど。
でも、先輩と当たり前のようにお尻たたきの話ができる、ってすごいことになったわね。
「今日はありがとうございました」
玄関まで先輩を見送る間も、ついお尻に目が行ってしまう。
「また明日ね。ピアノ教室のことは、聞いてみるわ」
「お願いします」
先輩を見送った後、ピアノの前に座った。
ようやく覚えたアニメの主題歌をぎこちなく弾いたりしながら、ピアノ教室に通う、さらにピアノ教室で鞭打ちを受ける自分の姿を思い浮かべてみる。
……先輩のお母さんって、どんな人なのかしら
あったことも話したこともないけど、先輩は特にお母さんを嫌っている感じでもないみたい。
ただ、実際にどんな感じになるのかは、ほとんど想像できなかった。
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