悪役令嬢がでれでれに溺愛されるまでの話

ててて

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第1章

18 見学

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朝の訪れを小鳥が知らせてくれる。窓を開けるが外は薄暗い。
いくら、お嬢様でも心は17歳なので身支度くらい自分でてきる。私はパパっと身支度をすませ、昨日、シェフにお願いしといて用意してもらった具材で軽い弁当を作って玄関にむかう。

そこには、久しぶりに見るお父様がいた。

「お父様、おはようございます。」

淑女の礼をする。お父様は固まっている。

「あ、あぁ。おはよう、リオーネ。久しぶりだな。」

「本当に、久しぶり、ですわね。」

ちょっとトゲトゲしく言ってやる。お母様が亡くなってから一年、毎回毎回、ご飯も誕生日も全部仕事、仕事、仕事。なんや、あんたお母様と離婚して仕事と再婚したんかってレベル。

「え、えっと。リオーネ、これから私は仕事に行かなくてはならないのだが…何か用かい?」

「はい!お父様のお仕事を見学したくて。」

(用がなかったらこんな早くに起きてないけど。娘と息子ほっぽいてやる仕事がどれだけ忙しいか見てみたいわ。)

「えぇ!私の仕事を…?」

完全に戸惑っているお父様。すると、後ろの玄関が開く。

「何してんだ、エド。遅れるぞ。」

お父様の従者のギルが出てきた。

「いや、それがリオーネが私の仕事について行きたいと言ってね…」

「あ?別にいいんじゃないか。連れていけよ。それよりそろそろ出ないと今日の分が終わらなくなるぞ。」

「………あぁ、わかったよ。リオーネ連れていくけど暇だと思うよ。」

「大丈夫ですわ。いろいろ学ばせて頂きますから」

そうして、私の1日お父様の仕事見学が始まった。

私のお父様は日本で言う総理大臣、この世界で言う宰相だ。だが、この世界は皇帝を中心とした政府であり様々な機関から出された書類を宰相であるお父様が見てやっと了承が出たら皇帝が見る仕組みらしい。というのも、今その説明をギルから聞いた。

「まぁ、こんな難しい話5歳児にはわかんねぇよな!」

と、馬鹿にしてくれちゃって。わかるから。わかるから!

お父様の仕事場、つまりお城についた。やっぱ大きい。私の家も公爵だから結構おおきいが、これは比べるもんじゃない。

色々考えているうちに仕事部屋についたようだ。
机と床に散乱する紙を器用に避けて椅子に座るお父様。ギルは飲み物を取りに行った見たいだ。

「そこのソファーに座っていいよ。暇になったら庭園とか見に行っておいでね。薔薇が美しいよ、ここの薔薇はお母様もお気に入りだったんだ、から…」

お母様という単語を出した瞬間にお父様の目が泳ぐ。

「………そうなんですか!是非、暇になったら見てきます。暇になったら。どうぞ、私にはお構いなく。お仕事をしてくださいお父様」

(そんなに気にしなくていいのよ、お父様。お母様はもちろん大好きだし、亡くなったのは寂しいけれどいつまでも悲しんでちゃ天国でお母様に会った時のお土産話ができないもの。)

「そうかい?じゃあ、仕事するかな。」

そうして、お父様のお仕事が始まった。

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