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しおりを挟む『腐るほど金がある』
そんな言葉を一度でいいから言ってみたい、なんて思う人はいるかもしれない。
だが、それを口にする人というのは正直とても困っているのだ。私のことだけど。
私、ハンネ・ストリカーチェはここ、フィルノ王国で名ばかりの現魔道士師団長を拝命されている。
そもそも何故、平民上がりの私が国が誇る魔道士のしかも師団長になったかと言うと、簡単に言えば前世の記憶と膨大な魔力があったからだ。
前世の記憶というのは、日本、という国で26くらいだったかな…生きていた記憶だ。アニメや漫画を好んでいた時期もあったようで、それはもう想像の豊かさはそのまま引き継いでいるらしい。
魔道士が使う『魔法』というものは想像と、それに適正する魔力、あとは才能があれば誰でも使いこなせる。
私はその点、前世の記憶で想像なんて容易いものだし、魔力も底を知らない。
そんな訳で、私は魔道士師団長になったわけだ。
冒頭に戻るが、問題は金だ。
私の給金はかなりの高額を国から貰っている。魔道士師団長として魔道士団の取り締めもせず、簡単な書類仕事くらいしかしない私が何故そんな大金を貰うかと言うと、この国全体に張り巡らされている結界が原因だ。
国王に他国の侵略などから国も守るためにどうすればいいかと問われたことがある。色々な案が出たがそれを収集するには大変(面倒)な為、手っ取り早く結界を張ればいいだろうという私の案で解決した。
このフィルノ王国があるこの大陸にはあと3つ程の国があるが、フィルノ王国はこの中から2番目に大きい。なので、かなりいや、めちゃくちゃでかい規模の結界を張っている訳だが、私的には大した問題ではないと思える。
結界を張っていても、不自由はないし、魔力が減ってもすぐに体内で作られるため問題がないのだ。
だが、一応国に結界を張って国を守っている、という名目で多額の給金とこの地位を押し付けられてしまった。
…はぁ…金は溜まる一方だし、使い道はないし…欲しいものもないし……。
どうしたもんかな。
「ハンネ様、手が止まっていますよ!それは急ぎの書類なので早く目を通して押印して頂かないと困ります…!」
目の前の煩いのは、リベルタ・カルスターセ。魔道士師副団長を拝命しており私の部下。そして私の仕事をほとんどこなしてくれる雑用くんだ。
「…リベルタ、金が有り余っている。
もう今月の給金はいらないと国王に伝えてくれ…」
「何を馬鹿なことを言ってるんです!!貴方が給金を貰わないと、部下である僕達が貰うわけにはいかなくなるんですよ!!辞めてください!!第一、何かで使えばいいと毎度申し上げでいるではありませんか!」
「何か、と言われてもね…街にばらまく以外思いつかないんだよ」
「辞めてください…!洒落になりませんっ!!」
青い顔をしてブンブンと顔を振る彼は、頼むからと言ってくる。
いや、やらないけどさ…(常識的に)
「尽くす相手でも見つけるか…」
「えっ!ハンネ様に恋人!?え、どうだろ~自分より強い彼女って男性はどうなんでしょうね…」
コイツ…喧嘩を売ってきてるとしか思えない。転移で渓谷にでも飛ばしてやろうか。
まぁ、普通の男性なら自分より強い女なんて嫌、かな。
「あ!ペットとかどうです?ハンネ様は国王から無理やり渡された屋敷もあるんですし、ペット買えるじゃないですか!ペットなら何かと必要になるし、毎度お金もかかりますよ!!」
ふむ、ペット…ありだな。
せっかくだし見に行くか。
思い立ったらすぐ行動、手元にある書類の束をトントン、と揃えると、一気にパラ読みしていく。
ドン
「…58ページ目のやつは第四魔導中隊を派遣して。他はよし。私はちょっと出かけてくるから後は頼んだよ。」
そう告げて私は転移で街に移動した。
「ちょっ!!」
執務室にはリベルタが1人残される。
「最初から早く読めるなら読んでくれよ…」
そんな彼の嘆きだけが部屋に響いた。
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