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もぞっと身じろぎをすれば、私に暖かいものが擦り寄ってくる。
それが少しくすぐったくて、手にたまたま触れた柔らかい髪を撫でてやる。
すれば、懐の中の暖かいものはグリグリと手に擦り寄り甘えてきた。
(昼寝…つられて眠ってしまったか)
そして、懐の中のルディは先程から何をしているのだろうか。
ひたすらに擦り寄ってきて抱きついてきて、甘えてくる。
(可愛い…)
そっと薄く目を開ければ、黒い頭が見えて赤い目の少年がもぞもぞと動いている。
(何をするんだ…?)
少しルディの魔力が動いたので様子を見る。何か危険な事をしているなら止めればいい。何をするのか気になったのでそのまま見守る事にした。
ルディは、頑張って魔力を抑えながらちょうどいい量を流して毛布を転移させてきた。
突然出てきた茶色い毛布は私の寝室にあるものだ。距離が離れた屋敷を見渡し、数ある部屋の一室からこの一枚だけを転移させることがどれだけ精密か。
しかも、滞在して数日だというのに…。
彼は大きな才能を持っているようだ。これは教えればすぐに私を抜くだろうな。
毛布は広がって、私の体にかけられた。
優しいその行動に魔力を調べていた私は不意をつかれ思わず目を開けてしまった。
「……あ、起こした…ごめん」
申し訳なさそうに眉を下げるその姿に胸が締め付けられた。
(ごめんな、私がもう少し寝たフリが上手ければ!!)
「……毛布…ありがとう。上手に出来たね。」
頭をぽんと撫でれば嬉しそうな恥ずかしそうな顔をする。
「…ルディ、おいで」
毛布の隙間を作って手招きする。
ルディは嬉しそうに頬を赤く染めて、毛布の中に入ってきた。
「…ルディは暖かいね。共に寝ているといつもより深く眠れる」
「……じゃあ、毎日一緒に寝る」
「ふふ、それはどうも」
そういえば、彼はなんで子どもの姿にわざわざ変えているのだろうか?
聞いてみるべきか、話してくれるのを待つべきか
実際の彼の歳を知らないけどいくつくらいなんだ?これだけ甘えてくるし10~13くらいかな…
今の姿はどう見ても5歳児だから全く想像がつかない。
まぁ、そのうち分かるだろうしいいかと諦めた。
「…さて、さっさと宰相に書類を渡して帰ろうか。ルディ、何食べたい?」
「……ハンネが好きな料理」
私が好きな料理??そんなのでいいのか??私は魚より肉の方が好む。よし、肉。
「いいぞ、なら早く行こう」
机の上に整えてあった書類を持ち、部屋の辺りにかけていた結界を解く。
そうして、ルディを片手に抱き王宮の城へ移動した。
ドンドン
と、重厚な扉を叩き許可が出たので中に入室する。
「失礼します、昨日の件の報告書をまとめましたので提出に参りました。こちらです。」
書類を宰相に渡す。宰相は腕の中のルディを見て固まっていたので「失礼しました」と退出をしようとした。
「…ちょ、ちょちょっと待ってください、ハンネ。そちらの子が今噂になっている貴方の隠し子ですか…?」
…この国随一の頭脳と言われている宰相様はどうやら混乱しているらしい。誰が誰の隠し子だって??
いくら無駄に歳食って21でもこんな大きな子供産んでないんだが。
「…そちらの報告書を目に通りしてください。わざわざ書面にまとめたのですから、口頭で言うのは面倒です。それでは。」
宰相の引き止める声が中から聞こえた気がしたが、扉を閉めてしまったので気付かないふりをした。
そのまま転移もしてしまって屋敷に戻ってくる。
「はぁ、疲れた」
いつも注目はされてるが、今日は奇異とした注目をうけるし、面倒な奴らには構われるし、気疲れかな…。
私はソファにボンと座るとルディを床に下ろした。
彼は思い立ったように立ち上がりどこかに行くと、しばらくして戻ってきて、手には湯気の立つカップを持っている。中身はチョコア(ココアみたいなもの)でふわっと香るチョコの香りが鼻をくすぐる。
「……ルディ、私に容れてきてくれたの?」
そう聞けば、何故か遠慮がちに頷いた。
これは母性本能だろうか。ひたすらルディが可愛く見えて仕方がないのだが。私のために容れてきてくれたのも可愛らしいし、それなのに恥ずかしがるように下にふくところがまた可愛すぎる。
なんだこれ、可愛いのだが。語彙力が無くなっているのは自分でもわかっている。
だが、可愛いしか出てこない。
私はそっと、暖かいカップを受け取るとルディのこめかみにキスをした。
「ありがとう、頂くね」
口いっぱいに広がるチョコレートの甘みと鼻から抜けるほろ苦さがまたいい。このチョコアは顆粒になっていてスプーン2杯をお湯に溶かして出来る飲み物だ。偶に疲れた時に飲むのだが、自分が作るものより何倍も美味しく感じた。
味を堪能していた私はルディの顔が真っ赤になっていることに気づかなかった。
「…ふぅ、美味しかった。ルディご馳走様
次は私が夜ご飯を作ろう。」
そう言って立ち上がる。
「……じゃあ、お風呂の準備してくる」
…うちのルディは可愛すぎないか??
なんていい子なんだろう。
私もあの子が喜ぶような美味しいご飯を作ろうとしよう。
その日のテーブルには肉汁が滴るステーキや色とりどりの野菜、スープに囲まれ2人で美味しく頂いた。
それが少しくすぐったくて、手にたまたま触れた柔らかい髪を撫でてやる。
すれば、懐の中の暖かいものはグリグリと手に擦り寄り甘えてきた。
(昼寝…つられて眠ってしまったか)
そして、懐の中のルディは先程から何をしているのだろうか。
ひたすらに擦り寄ってきて抱きついてきて、甘えてくる。
(可愛い…)
そっと薄く目を開ければ、黒い頭が見えて赤い目の少年がもぞもぞと動いている。
(何をするんだ…?)
少しルディの魔力が動いたので様子を見る。何か危険な事をしているなら止めればいい。何をするのか気になったのでそのまま見守る事にした。
ルディは、頑張って魔力を抑えながらちょうどいい量を流して毛布を転移させてきた。
突然出てきた茶色い毛布は私の寝室にあるものだ。距離が離れた屋敷を見渡し、数ある部屋の一室からこの一枚だけを転移させることがどれだけ精密か。
しかも、滞在して数日だというのに…。
彼は大きな才能を持っているようだ。これは教えればすぐに私を抜くだろうな。
毛布は広がって、私の体にかけられた。
優しいその行動に魔力を調べていた私は不意をつかれ思わず目を開けてしまった。
「……あ、起こした…ごめん」
申し訳なさそうに眉を下げるその姿に胸が締め付けられた。
(ごめんな、私がもう少し寝たフリが上手ければ!!)
「……毛布…ありがとう。上手に出来たね。」
頭をぽんと撫でれば嬉しそうな恥ずかしそうな顔をする。
「…ルディ、おいで」
毛布の隙間を作って手招きする。
ルディは嬉しそうに頬を赤く染めて、毛布の中に入ってきた。
「…ルディは暖かいね。共に寝ているといつもより深く眠れる」
「……じゃあ、毎日一緒に寝る」
「ふふ、それはどうも」
そういえば、彼はなんで子どもの姿にわざわざ変えているのだろうか?
聞いてみるべきか、話してくれるのを待つべきか
実際の彼の歳を知らないけどいくつくらいなんだ?これだけ甘えてくるし10~13くらいかな…
今の姿はどう見ても5歳児だから全く想像がつかない。
まぁ、そのうち分かるだろうしいいかと諦めた。
「…さて、さっさと宰相に書類を渡して帰ろうか。ルディ、何食べたい?」
「……ハンネが好きな料理」
私が好きな料理??そんなのでいいのか??私は魚より肉の方が好む。よし、肉。
「いいぞ、なら早く行こう」
机の上に整えてあった書類を持ち、部屋の辺りにかけていた結界を解く。
そうして、ルディを片手に抱き王宮の城へ移動した。
ドンドン
と、重厚な扉を叩き許可が出たので中に入室する。
「失礼します、昨日の件の報告書をまとめましたので提出に参りました。こちらです。」
書類を宰相に渡す。宰相は腕の中のルディを見て固まっていたので「失礼しました」と退出をしようとした。
「…ちょ、ちょちょっと待ってください、ハンネ。そちらの子が今噂になっている貴方の隠し子ですか…?」
…この国随一の頭脳と言われている宰相様はどうやら混乱しているらしい。誰が誰の隠し子だって??
いくら無駄に歳食って21でもこんな大きな子供産んでないんだが。
「…そちらの報告書を目に通りしてください。わざわざ書面にまとめたのですから、口頭で言うのは面倒です。それでは。」
宰相の引き止める声が中から聞こえた気がしたが、扉を閉めてしまったので気付かないふりをした。
そのまま転移もしてしまって屋敷に戻ってくる。
「はぁ、疲れた」
いつも注目はされてるが、今日は奇異とした注目をうけるし、面倒な奴らには構われるし、気疲れかな…。
私はソファにボンと座るとルディを床に下ろした。
彼は思い立ったように立ち上がりどこかに行くと、しばらくして戻ってきて、手には湯気の立つカップを持っている。中身はチョコア(ココアみたいなもの)でふわっと香るチョコの香りが鼻をくすぐる。
「……ルディ、私に容れてきてくれたの?」
そう聞けば、何故か遠慮がちに頷いた。
これは母性本能だろうか。ひたすらルディが可愛く見えて仕方がないのだが。私のために容れてきてくれたのも可愛らしいし、それなのに恥ずかしがるように下にふくところがまた可愛すぎる。
なんだこれ、可愛いのだが。語彙力が無くなっているのは自分でもわかっている。
だが、可愛いしか出てこない。
私はそっと、暖かいカップを受け取るとルディのこめかみにキスをした。
「ありがとう、頂くね」
口いっぱいに広がるチョコレートの甘みと鼻から抜けるほろ苦さがまたいい。このチョコアは顆粒になっていてスプーン2杯をお湯に溶かして出来る飲み物だ。偶に疲れた時に飲むのだが、自分が作るものより何倍も美味しく感じた。
味を堪能していた私はルディの顔が真っ赤になっていることに気づかなかった。
「…ふぅ、美味しかった。ルディご馳走様
次は私が夜ご飯を作ろう。」
そう言って立ち上がる。
「……じゃあ、お風呂の準備してくる」
…うちのルディは可愛すぎないか??
なんていい子なんだろう。
私もあの子が喜ぶような美味しいご飯を作ろうとしよう。
その日のテーブルには肉汁が滴るステーキや色とりどりの野菜、スープに囲まれ2人で美味しく頂いた。
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