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まずは移動をするといい、より体を強く抱えられた。瞬きをしている間に気づいたら違う場所に立っていた。
そこは柵に囲まれたお屋敷というものでとても敷居が高そうに見えるが人が住んでいるようには見えなかった。
汚いかもな、とその人は指をパチンと鳴らす。すると、大きなお屋敷になにか魔法をかけたようだった。
風呂に入る、と言われた時は酷く緊張した。この人は俺を女だと思っているかも知れないと。
脱衣所で、その人はなんの躊躇もなく服を脱ぎ、俺のも容易く脱がしてしまった。
そうして、俺の体を泡で洗っている時に漸く気づいたらしい。
「あれ、君、男なのか。」
少し驚いたような顔をして見られた。
やはり、女だと思われていたようだ。
男だったらダメだろうか。俺をどうするのだろうか。
「いや、別に君が男でも問題は無いんだけどね。ただ驚いただけだよ。髪の毛長い方が好きなのか?」
問題ないと言われた時は信じられなかった。性別を気にしてないのか?
なら、貴方は今幼い男の子とお風呂に入っていると思っていることである。
自分がもう22になる男だとも言えず、罪悪感をとても感じた。
こんな紛らわしい髪だって、切るべきか分からないし、切ろうとして頭まで切ったら恐ろしくて放って置いただけだ。
「……好きじゃない」
「そうか、もし良ければ後で切ってあげるよ」
そのあと膝に乗せられ湯船に浸かる。
この人は何故こんなに優しいのだろうか。俺のことをこれからどうするんだろうか。俺の魔力に気づいていないのか?いくら被感知の膜を張っているとしても、彼女程の魔力の高さなら気づきそうなのに。
そう悩んでいれば頭を撫でられる。
振り返ってみれば、慈愛の満ちた目で俺を見てくれていた。
なんて、優しい目をする人なんだろうか。
今までは、眉間にシワを寄せ拒否をする顔か怯えた顔しかされたことが無いのに。
不意に頭に乗る手に魔力を感じた。
やはり、この人は俺が偽っていることを分かっているのか。
そう思えば、今までに感じたことの無い気持ちが湧いた。
「…ねぇ、これから私が魔力を流すから同じ力の配分で似たように流してみなさい。」
そう言って片手を繋ぎ、徐々に魔力を流してくる。何をするんだ、と疑いながら見ると、大丈夫だよと微笑まられ戸惑いながらもそれに合わせた。
しばらくして、体に違和感を感じた。
彼女の通り、同じ量同じ時間で、一点のところに集中する。
すると、自分を覆っていた膜が1つの壁のように分厚くなった。こんなの知らない。この人は俺の知らない魔力の使い方が分かるんだ。
「…上手だね。そろそろ上がるよ」
微笑んで褒めれくれた。とても嬉しかったんだ。
そのあと、食べ物を欲したらわざわざ自らが作ってくれた。
机に並ぶ料理が見たことがないほど豪華で美味しそうで、なんだか食べるのが勿体無いと思った。
もしかしたらこの人が俺にご飯を作ってくれるのはこれが最初で最後かもしれないと思えば、フォークすら取りたくなくなってしまった。
「ほら、あーん」
そんな俺の様子を見かねて、膝に乗せ甲斐甲斐しく口元に運んでくれた。
戸惑いながらも口を開けるとちょうどいい温度に下げられた暖かいスープは今まで食べてきたものの中で1番美味しく感じた。
「美味しい?」
と、聞かれ素直に答える。彼女は安心したように笑ってその後も食べさせてくれた。
久しぶりに満たされたお腹につられ眠気が来る。ウトウトのしていれば、知らないうちに運ばれて寝てしまった。
その後、割とあまり時間が立たないうちに目が覚めた。が、知らない部屋でふかふかのベットで…彼女がいない。
さっきまでのは全部夢か。どこからが夢だ。俺は今どこにいる…彼女は、彼女はどこに行ってしまったの…?
感じたことも無い虚無観。
そして、強く感じる【寂しい】という気持ち。あんな風に俺に優しくしてくれる人はいないかもしれない。いや、俺に優しくしてくれるのは彼女だけでいい。
同じほどの魔力を持ち、陽だまりのように優しく暖かい彼女が居てくれれば、俺はまだ生きていたいと思える。
完全に5歳児に引っ張られた寂しいという感情により、1層目に涙がたまる。
居てもたっても居られず、部屋を飛び出し彼女を探そうとした。
隣の部屋から話し声が聞こえる。…彼女だ。
そっとドアを開け中をのぞけは直ぐに彼女は気づいてくれた。
「あれ、起きたのか。…どうしたの」
…よかった、夢じゃない。彼女はいる。
すぐに彼女の元に駆け寄った。
「……リベルタ、報告はまた明日ね。それじゃ、おやすみ」
彼女は魔法でリベルタというやつと話していたみたいだった。邪魔をしたかなと顔をうかがえば、彼女は抱き上げて膝に乗せる。
ふわっと近づいた彼女の匂いに安心して思わず抱きついてしまった。
「……怖い夢でも見たの?……よしよし」
怖い夢を見たんけでは無いけれど、これが夢だったかもしれないと思った時はとても怖かったように思える。
ーーまだ、今日は一緒にいてくれるんだ。
そう思うだけで、幸福感が胸に積もった。心地よい体温を感じながらその微睡む。
明日も、彼女といられますように。
今まで一度も祈ったことの無い、名前も知らない神に願った。
そして、願いが叶ったのか次の日も彼女は居て俺にご飯を食べさせてくれた。
朝食の時はもう食べさせてくれないのと甘えてしまった。甘えたら拒否されるのかと気になったから。でも彼女は仕方がないなと笑いながら食べさせてくれた。
この人になら甘えてもいいんだ。
彼女は俺に名前を与えてくれて、着心地の良い服も与えてくれた。
昼食を食べ体休めにソファに寝そべる。
隣で俺を囲むように抱いてくれる彼女の手が心地よくて、守られているように感じた。
俺は今まで、自分の存在意義をずっと説いていた。誰にも必要とされず、疎まれ蔑まれ、怖がられていた俺の魔力。
それは、彼女を守るためにあるのかもしれない。
幸いにも彼女は魔道士師団長という魔力の専門家だ。彼女に沢山教えてもらおう。いっぱい覚えて、使えるようにして彼女を守れるようになって…
元の姿に戻っても彼女と一緒に居るのを認められる存在になりたい。
そんな決意を新たにして、もう少しとその陽だまりの存在にすり寄った。
そこは柵に囲まれたお屋敷というものでとても敷居が高そうに見えるが人が住んでいるようには見えなかった。
汚いかもな、とその人は指をパチンと鳴らす。すると、大きなお屋敷になにか魔法をかけたようだった。
風呂に入る、と言われた時は酷く緊張した。この人は俺を女だと思っているかも知れないと。
脱衣所で、その人はなんの躊躇もなく服を脱ぎ、俺のも容易く脱がしてしまった。
そうして、俺の体を泡で洗っている時に漸く気づいたらしい。
「あれ、君、男なのか。」
少し驚いたような顔をして見られた。
やはり、女だと思われていたようだ。
男だったらダメだろうか。俺をどうするのだろうか。
「いや、別に君が男でも問題は無いんだけどね。ただ驚いただけだよ。髪の毛長い方が好きなのか?」
問題ないと言われた時は信じられなかった。性別を気にしてないのか?
なら、貴方は今幼い男の子とお風呂に入っていると思っていることである。
自分がもう22になる男だとも言えず、罪悪感をとても感じた。
こんな紛らわしい髪だって、切るべきか分からないし、切ろうとして頭まで切ったら恐ろしくて放って置いただけだ。
「……好きじゃない」
「そうか、もし良ければ後で切ってあげるよ」
そのあと膝に乗せられ湯船に浸かる。
この人は何故こんなに優しいのだろうか。俺のことをこれからどうするんだろうか。俺の魔力に気づいていないのか?いくら被感知の膜を張っているとしても、彼女程の魔力の高さなら気づきそうなのに。
そう悩んでいれば頭を撫でられる。
振り返ってみれば、慈愛の満ちた目で俺を見てくれていた。
なんて、優しい目をする人なんだろうか。
今までは、眉間にシワを寄せ拒否をする顔か怯えた顔しかされたことが無いのに。
不意に頭に乗る手に魔力を感じた。
やはり、この人は俺が偽っていることを分かっているのか。
そう思えば、今までに感じたことの無い気持ちが湧いた。
「…ねぇ、これから私が魔力を流すから同じ力の配分で似たように流してみなさい。」
そう言って片手を繋ぎ、徐々に魔力を流してくる。何をするんだ、と疑いながら見ると、大丈夫だよと微笑まられ戸惑いながらもそれに合わせた。
しばらくして、体に違和感を感じた。
彼女の通り、同じ量同じ時間で、一点のところに集中する。
すると、自分を覆っていた膜が1つの壁のように分厚くなった。こんなの知らない。この人は俺の知らない魔力の使い方が分かるんだ。
「…上手だね。そろそろ上がるよ」
微笑んで褒めれくれた。とても嬉しかったんだ。
そのあと、食べ物を欲したらわざわざ自らが作ってくれた。
机に並ぶ料理が見たことがないほど豪華で美味しそうで、なんだか食べるのが勿体無いと思った。
もしかしたらこの人が俺にご飯を作ってくれるのはこれが最初で最後かもしれないと思えば、フォークすら取りたくなくなってしまった。
「ほら、あーん」
そんな俺の様子を見かねて、膝に乗せ甲斐甲斐しく口元に運んでくれた。
戸惑いながらも口を開けるとちょうどいい温度に下げられた暖かいスープは今まで食べてきたものの中で1番美味しく感じた。
「美味しい?」
と、聞かれ素直に答える。彼女は安心したように笑ってその後も食べさせてくれた。
久しぶりに満たされたお腹につられ眠気が来る。ウトウトのしていれば、知らないうちに運ばれて寝てしまった。
その後、割とあまり時間が立たないうちに目が覚めた。が、知らない部屋でふかふかのベットで…彼女がいない。
さっきまでのは全部夢か。どこからが夢だ。俺は今どこにいる…彼女は、彼女はどこに行ってしまったの…?
感じたことも無い虚無観。
そして、強く感じる【寂しい】という気持ち。あんな風に俺に優しくしてくれる人はいないかもしれない。いや、俺に優しくしてくれるのは彼女だけでいい。
同じほどの魔力を持ち、陽だまりのように優しく暖かい彼女が居てくれれば、俺はまだ生きていたいと思える。
完全に5歳児に引っ張られた寂しいという感情により、1層目に涙がたまる。
居てもたっても居られず、部屋を飛び出し彼女を探そうとした。
隣の部屋から話し声が聞こえる。…彼女だ。
そっとドアを開け中をのぞけは直ぐに彼女は気づいてくれた。
「あれ、起きたのか。…どうしたの」
…よかった、夢じゃない。彼女はいる。
すぐに彼女の元に駆け寄った。
「……リベルタ、報告はまた明日ね。それじゃ、おやすみ」
彼女は魔法でリベルタというやつと話していたみたいだった。邪魔をしたかなと顔をうかがえば、彼女は抱き上げて膝に乗せる。
ふわっと近づいた彼女の匂いに安心して思わず抱きついてしまった。
「……怖い夢でも見たの?……よしよし」
怖い夢を見たんけでは無いけれど、これが夢だったかもしれないと思った時はとても怖かったように思える。
ーーまだ、今日は一緒にいてくれるんだ。
そう思うだけで、幸福感が胸に積もった。心地よい体温を感じながらその微睡む。
明日も、彼女といられますように。
今まで一度も祈ったことの無い、名前も知らない神に願った。
そして、願いが叶ったのか次の日も彼女は居て俺にご飯を食べさせてくれた。
朝食の時はもう食べさせてくれないのと甘えてしまった。甘えたら拒否されるのかと気になったから。でも彼女は仕方がないなと笑いながら食べさせてくれた。
この人になら甘えてもいいんだ。
彼女は俺に名前を与えてくれて、着心地の良い服も与えてくれた。
昼食を食べ体休めにソファに寝そべる。
隣で俺を囲むように抱いてくれる彼女の手が心地よくて、守られているように感じた。
俺は今まで、自分の存在意義をずっと説いていた。誰にも必要とされず、疎まれ蔑まれ、怖がられていた俺の魔力。
それは、彼女を守るためにあるのかもしれない。
幸いにも彼女は魔道士師団長という魔力の専門家だ。彼女に沢山教えてもらおう。いっぱい覚えて、使えるようにして彼女を守れるようになって…
元の姿に戻っても彼女と一緒に居るのを認められる存在になりたい。
そんな決意を新たにして、もう少しとその陽だまりの存在にすり寄った。
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