マフィアと幼女

ててて

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第2章 生活

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その後、解散になり各自自分の部屋に戻ることになった。

私はアルフレッドさんと同じ部屋らしく、アルフレッドさんは今お風呂に入っている。

私は暇だろうとカロさんから頂いたえ本を読んでいた。

普通の街の女の子が王子様と恋に落ちてお姫様になる話だった。読んだ感想としては「現実的ではないな」が印象的だった。

ガチャと扉が開き、アルフレッドさんが出てくる。またもやズボンで上半身は何も着ていない。赤黒い髪は湿っているようで全体的に後ろにかきあげられている。

私の横に座る。

「本、面白かったか?」

「……はい。」

「面白くなかったのか。ま、別にそれでもいいけどよ。」

面白いと嘘をついたが呆気なく見破られてしまった。

「今日、アランさんが読んでいた本の方が興味深かったです。」

「…?アランは何読んでた?」

「セントグリア語で書かれた、セントグリアの歴史書です。」

「セントグリア……あ、俺聞こうと思ってたんだけどよ。今日、門であったボウズはセントグリアの子どもか?」

門であったボウズ…

「ニール君ですか?ニール君はたしかにセントグリア語で話していたのでセントグリア出身だと思います。」

「そうか……」

しばらく考え込むアルフレッドさん。
アルフレッドさんは考えると顎に手を当てるのが癖らしい。邪魔をしないように静かにしている。

「セントグリアに行ったことあるか?」

「語学教育にセントグリア語が組み敷かれていたので行ったことがある、あるいは行くつもりだった。と思います。」
 
確かに、色々な国を転々としたが拠点となる屋敷の範囲からは絶対に出してもらえなかった。なので、行ったことがあるかは不明だ。

「他に何語が話せる?」

「他…セントグリア語、リューレル語、ウィルトニス語、サンニ語、定語、ビュルクレ語…etc……です。忘れたかも知れませんが」

「………学院に入らなくてもよくね?これだけ頭いいならもう行かなくていいよな?ずっとアズーロにいればいいじゃん。仕事も困んねぇよ。」

アルフレッドさんの様子がおかしい。
さっきも皆さんで深刻な顔をしていたし、今も眉を下げながら何か考え込んでいるし。

私、何か迷惑かけたかな…

「あの…アルフレッドさん?」

「………エレナ。真剣に聞くから正直に答えてほしい。」

目を合わせ心を射抜くように真っ直ぐ見られる。心臓の音がいつもより早く聞こえて息がしづらくなる。

「学院に行きたいか?」

「………え」

学院?学院ってあの学び舎のこと?
一定の年齢と頭脳平均を保ちみんなでお勉強するあの学院?

「いや、学院ってのは各地区と王都にある。
アズーロの学院は領民向けで差別なくどんな子どもでも通える。王都の学院は地区の学院より、頭がよくてそれなりの身分のやつが通うんだ。」

それなりの身分。
この国ではもちろん身分はある。
王都に城があり、そこに住む王族。
王族の血縁を保つ公爵を筆頭とする貴族。
だが、貴族は領地を持っていないためその血がどれだけ王家に近いのかが地位に関係する。その次はマフィア。実際は伯爵よりも地位は上とされている。あとは騎士団・ヤードだろう。

王族>公爵・侯爵>マフィア>伯爵・下級貴族>騎士団>ヤード>大手商人>>>領民

と、いったところか。

つまり、領民より上の地位の子どもや血縁で才ある者が王都に行けるそうだ。

「………行きたいか?」

アルフレッドさんは眉を下げ何かを惜しむような顔をする。アズーロと王都はそんなに遠くはないが、馬車で半日ほど。モービルだと3時間。つまり、通うのは難しいので寮に入らなければ行けないのだった。

学院0…入ればもっと知識が深まる。あそこ前の場所でも教育は受けていたが偏っているみたいだし…

「少し、興味はあります。ですが、私はそんなお金はないですし、アルフレッドさんたちと居たいのですが…ダメでしょうか?」

「ダメじゃない!まったく!これっぽっちも!全然ダメじゃねぇよ!
ただな…別に学院の費用は気にすんな。王都の学園は受かれば良いものを育てようとそこまで無理した額じゃねぇ。エレナは頭がいいから受かると思う。行きたいなら行かせたいけどな…」

「?」

「すこし、いや、くっそ寂しいだろ?エレナに会えない日が続くと思うと寂しいんだよ。だから、引き止めちまう。でも、行きたいなら行った方がいい。俺だって、クラウスだってイヴァンだって他の奴らも応援してくれる。エレナが決めろ」

クシャっと頭を撫でられる。今までで1番不器用で優しい撫で方だった。

「行きたい…です。」

「そうか、行きたいか。」

アルフレッドさんはまたニカッと笑ってくれる。なんだか、私も寂しくなってしまって。

アルフレッドさんの膝に乗り右手しか上がらないが首に手を回して抱きついた。
力を込めてぎゅーっと抱きつく。

「はは…エレナは本当に可愛いなぁ」

アルフレッドさんも私の背に手を回しぎゅーっと抱きしめてくれる。

「寝ようか…」

そのままポスっとベットに横になり右肩を下にして左肩が当たらないよう配慮し横になった。

抱きしめ合いながら眠る。暖かくて心地よくて安心できる。お昼寝をしたはずなのにすぐに眠りに落ちた。



・アルフレッド視点

(学院、行きたいのかぁ…)

そうそうに眠ってしまったエレナの髪を弄ぶ。

キィ…と扉が開いた音がし目をやるとクラウスとイヴァンが立っていた。

「エレナちゃん、眠った?」

「あぁ、まぁな。」

起こさないようにコソコソと喋る。

「学院に行かせるの?」

「…本人が行きたいっていうからな。」

「そう……」

しみじみとした空気が流れる。やはり寂しさを感じるのは俺だけではなくクラウスも苦虫を噛み潰したような顔をしながらエレナの頭を撫でる。

「………言っておきますけど、学院って週に4日間ですからね。3日間は休みだから帰ろうと思えば帰って来れますけど。それに、モービルで送れば3時間ですから結構長い時間こっちに居られますけどね。」

………先程まで4.5年の別れみたいな空気をかもちだし、エレナに飢えていた自分はなんだったのか。

この中で学院に通っていたのはイヴァンだけで俺やクラウスは昔、遊んでたから学院には言っていない。なので、そんなこと知る由もない。

「それ、本当か?」

「はい」

「「………」」

「え?分かってましたよね?分かってて4日間会えない寂しさでそんだけ落ち込んでたんですよね?」

「も、もちろん分かってるに決まってんだろ!」

「知ってたわよぉ!そんなこと……」

何やら妙な空気が出る。

「クラウス?お前、頭良かったはずだよな?なんで知らなかったんだ?」

「学院なんてアタシもアンタも行ってないでしょ!私は行かなくても優秀だったからいいのよ!そんなこと知るはずないじゃない!」

俺とクラウスがコソコソと喋っていると、イヴァンが物凄い冷めた目でこちらを見てくる。

やめろ!そんな目で見てくんな!!

こうして、エレナの学院行きは決まったわけである。

まずは、入学試験を受けないと行けないが。






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