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第1章 家族
ざまぁ ③
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☆ニクロス視点
ラベンナは床に座り込み、動かなくなった。
自分の母親が連れていかれたのをまるで他人事のようにぼーっと見つめ、自分は巻き込まれないよう必死に息を潜めていたかのように思う。
正直、私はこのペットに関してはある意味被害者だろうとも思う。
あんな女の元に産まれなければこんな風に育つことは無かったのかもしれない。
が、実際このペットがシルフィオーネ様を虐め、悪態をつき、暴言を吐き、髪を切り刻んだりドレスを破いたのも事実。
殺しはしない。
だが、シルフィオーネ様の12年分の苦しみを味わってもらわないと…。
ということで、隣国の奴隷商人に売り飛ばすことになった。(その方がこちらとしては楽だし。)
しかも、中々の大手だ。
そこで奴隷を買う奴らは、ほとんどが下衆で救いようのない奴らだ。いろんな趣味趣向があるらしい。こいつにとっても甘ったれたとんでもない性格が少しは変わるだろう。
なので、このペットを奴隷商人が取りに来るまでの少しの間牢屋にぶち込むことになった。
……さて、陛下が買ったという山のようなドレスをなんとかしないとな。
☆ラベンナ視点
騎士が無理やり私を引っ張り上げ二人がかりで私を運ぶ。
気がついたら汚い牢屋の中にいた。
(なんでこうなったの?
今日は、お母様が正妃になって私もお母様も王宮に住めるようになるって聞いてたのに…
なのに、お母様は血を流してどこかに行ってしまったし。
私はホコリが溜まった汚い牢屋に入れられるし。
なんで私がこんな所に入れられるのよ!
意味がわからないわ!
これも全部全部シルフィオーネのせいよ!あいつのせいで私とお母様はこんな目に…!!やっぱり毒じゃなくてもっと別の方法で殺せばよかったわ。
にしても、お父様がシルフィオーネのことを知ってたのかしら…
絶対にお父様にはバレないようにってお母様も徹底的に秘密にしてたし、使用人たちにも散々口止めさせたのに。
あ~も~!!イライラするわ。
あいつのせいで…あいつのせいで…!!
きっとお父様もみんなあいつに騙されてるのよ!きっと、そうだわ!
私がみんなの目を覚まさせてあげれば、お母様も助かるし、私もこんな汚いところから出られる…!)
そう考えながら、私はドレスをぐっと握る。
カツン、カツン、と誰かが牢屋に近寄る足音が響く。
(誰かしら…使用人だったら命令して牢屋から出してもらいましょ。)
そうして、顔を見せたのはレオン様だった。
(レオン様…!レオン様ならきっと私を理解してくれる!あぁ、久しぶりにお会いするわ…昔あった時よりも美しい…!)
「レオン様!レオン様!!
聞いてください!私達は…何も何もしていませんわ!無実ですのよ…!レオン様もお父様も、みんなあの子に騙せているのですわ…だから、だから私をここから出して下さい!そうすれば証明しますわっ!レオン様っ…レオン様!」
鉄格子にしがみつき、前にいるレオン様にひたすら呼びかける。
私は何も悪いことなんてしていない。
全て、悪いのはシルフィオーネだ。
「全て悪いのはシルフ「その名を呼ぶな」」
「……え?」
まるで、凍った氷柱のように冷たくて鋭い声が響く。瞳は、温度がないような青色、でも私を射抜くように見る。
背筋が凍る。
「お前如きがあの子の名を呼ぶな。」
「なん…で…」
「いい加減にしろ。お前がやった事は全て逐一報告されている。何が無実だ、何もしてないだ。……自分の母親と同じ末路を辿りたいのか?」
いや…!!
震える手を鉄格子から外し、できるだけレオン様から距離をとる。
壁に背をつけ身を縮こまらせた。
この人はレオン様じゃないわ!
レオン様は私に笑顔を見せ、お話してくださる優しいお兄さまだもの!
昔、初めてあった日に結婚の約束も…
この人はレオン様じゃない!
「…一応、言っておこう。
知っていると思うがお前は陛下の娘じゃない。血は一滴も繋がっておらず、王女ではない。君は平民だ。いや、明日から奴隷らしいな。」
…陛下の、お父様の娘じゃない?
どういうこと?私は王女じゃないの?
…平民?嘘よ。そんなの嘘に決まってるわ!……………奴隷?
「嘘よ!嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘!!
全て嘘だわ!私が王女じゃない?奴隷?この私が?そんなわけないじゃない!
嘘も大概に…」
「おい、誰に向かって口を聞いている。
……この場で殺されたいのか?」
王子の後ろから剣に手をかけた騎士が出てくる。
「…ハンス、やめなさい。どうせ明日にはわかることだ。せいぜい、苦しんで余生を生きればいい。」
そう言いながら立ち去る。
私は信じられなかった。信じたくなかった。
だってありえないもの。私は世界一美しいのでしょう?私は我儘を言っても許されるのでしょう?だって私は王女だもの。……違うの?
そのまま、眠れない夜を過ごした。
どうしても眠れなくて、ここから出たくて…朝日が昇る頃、歪んた笑みを浮かべた男が2人やってきて私の口に手を突っ込み、両手足を結び荷車に乗せた。
ーーーそして、ラベンナ…もとい奴隷番号0934番は隣国の商人に買われ、その変態的趣味趣向により5ヶ月は耐えたが止むを得ず死亡したという。
最期には精神が壊れていたそうだ。
ラベンナは床に座り込み、動かなくなった。
自分の母親が連れていかれたのをまるで他人事のようにぼーっと見つめ、自分は巻き込まれないよう必死に息を潜めていたかのように思う。
正直、私はこのペットに関してはある意味被害者だろうとも思う。
あんな女の元に産まれなければこんな風に育つことは無かったのかもしれない。
が、実際このペットがシルフィオーネ様を虐め、悪態をつき、暴言を吐き、髪を切り刻んだりドレスを破いたのも事実。
殺しはしない。
だが、シルフィオーネ様の12年分の苦しみを味わってもらわないと…。
ということで、隣国の奴隷商人に売り飛ばすことになった。(その方がこちらとしては楽だし。)
しかも、中々の大手だ。
そこで奴隷を買う奴らは、ほとんどが下衆で救いようのない奴らだ。いろんな趣味趣向があるらしい。こいつにとっても甘ったれたとんでもない性格が少しは変わるだろう。
なので、このペットを奴隷商人が取りに来るまでの少しの間牢屋にぶち込むことになった。
……さて、陛下が買ったという山のようなドレスをなんとかしないとな。
☆ラベンナ視点
騎士が無理やり私を引っ張り上げ二人がかりで私を運ぶ。
気がついたら汚い牢屋の中にいた。
(なんでこうなったの?
今日は、お母様が正妃になって私もお母様も王宮に住めるようになるって聞いてたのに…
なのに、お母様は血を流してどこかに行ってしまったし。
私はホコリが溜まった汚い牢屋に入れられるし。
なんで私がこんな所に入れられるのよ!
意味がわからないわ!
これも全部全部シルフィオーネのせいよ!あいつのせいで私とお母様はこんな目に…!!やっぱり毒じゃなくてもっと別の方法で殺せばよかったわ。
にしても、お父様がシルフィオーネのことを知ってたのかしら…
絶対にお父様にはバレないようにってお母様も徹底的に秘密にしてたし、使用人たちにも散々口止めさせたのに。
あ~も~!!イライラするわ。
あいつのせいで…あいつのせいで…!!
きっとお父様もみんなあいつに騙されてるのよ!きっと、そうだわ!
私がみんなの目を覚まさせてあげれば、お母様も助かるし、私もこんな汚いところから出られる…!)
そう考えながら、私はドレスをぐっと握る。
カツン、カツン、と誰かが牢屋に近寄る足音が響く。
(誰かしら…使用人だったら命令して牢屋から出してもらいましょ。)
そうして、顔を見せたのはレオン様だった。
(レオン様…!レオン様ならきっと私を理解してくれる!あぁ、久しぶりにお会いするわ…昔あった時よりも美しい…!)
「レオン様!レオン様!!
聞いてください!私達は…何も何もしていませんわ!無実ですのよ…!レオン様もお父様も、みんなあの子に騙せているのですわ…だから、だから私をここから出して下さい!そうすれば証明しますわっ!レオン様っ…レオン様!」
鉄格子にしがみつき、前にいるレオン様にひたすら呼びかける。
私は何も悪いことなんてしていない。
全て、悪いのはシルフィオーネだ。
「全て悪いのはシルフ「その名を呼ぶな」」
「……え?」
まるで、凍った氷柱のように冷たくて鋭い声が響く。瞳は、温度がないような青色、でも私を射抜くように見る。
背筋が凍る。
「お前如きがあの子の名を呼ぶな。」
「なん…で…」
「いい加減にしろ。お前がやった事は全て逐一報告されている。何が無実だ、何もしてないだ。……自分の母親と同じ末路を辿りたいのか?」
いや…!!
震える手を鉄格子から外し、できるだけレオン様から距離をとる。
壁に背をつけ身を縮こまらせた。
この人はレオン様じゃないわ!
レオン様は私に笑顔を見せ、お話してくださる優しいお兄さまだもの!
昔、初めてあった日に結婚の約束も…
この人はレオン様じゃない!
「…一応、言っておこう。
知っていると思うがお前は陛下の娘じゃない。血は一滴も繋がっておらず、王女ではない。君は平民だ。いや、明日から奴隷らしいな。」
…陛下の、お父様の娘じゃない?
どういうこと?私は王女じゃないの?
…平民?嘘よ。そんなの嘘に決まってるわ!……………奴隷?
「嘘よ!嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘!!
全て嘘だわ!私が王女じゃない?奴隷?この私が?そんなわけないじゃない!
嘘も大概に…」
「おい、誰に向かって口を聞いている。
……この場で殺されたいのか?」
王子の後ろから剣に手をかけた騎士が出てくる。
「…ハンス、やめなさい。どうせ明日にはわかることだ。せいぜい、苦しんで余生を生きればいい。」
そう言いながら立ち去る。
私は信じられなかった。信じたくなかった。
だってありえないもの。私は世界一美しいのでしょう?私は我儘を言っても許されるのでしょう?だって私は王女だもの。……違うの?
そのまま、眠れない夜を過ごした。
どうしても眠れなくて、ここから出たくて…朝日が昇る頃、歪んた笑みを浮かべた男が2人やってきて私の口に手を突っ込み、両手足を結び荷車に乗せた。
ーーーそして、ラベンナ…もとい奴隷番号0934番は隣国の商人に買われ、その変態的趣味趣向により5ヶ月は耐えたが止むを得ず死亡したという。
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