愛される王女の物語

ててて

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第1章 家族

突然のこと

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「シルフィオーネ様、今から140年前何が起きましたか?」

「今から140年前、東方の梯国がおよそ5万の兵を引き連れて遠征に来ました。ですが、カスティリアではその地形ならではの山脈を生かし被害を最小限に抑え見事打ち負かしました。」

「お見事です。」

私はようやく文字がスラスラと読めるようになったので、嬉嬉として学問に励んでいる。

最初は文学から始まり、今は歴史、算術、そしてマナー。覚えることが多く大変ではあるが、充実した一日を送っている。

今は歴史で、先生はオリバー先生。
オリバー先生は64歳程のご高齢の方だが、とてもわかりやすく、あっという間に時間が経ってしまう。

「そうですね…次はっと。そろそろお時間ですね。今日はここまでと致しましょう。」

「はい、ありがとうございます。」

オリバー先生は和やかに笑い、部屋から立ち去った。入れ違うようにマーサが入ってくる。

「シルフィオーネ様、お疲れ様です。」

「ありがとう、マーサ」

マーサがいれてくれた紅茶を飲む。
じんわりとしたちょうどいい温度の紅茶が体に染み渡り、疲れがほぐれる。

午後からは何も無かったはず…この後、どうしよう。

私はこの空いた時間を何か有効的に使えないかと考える。せっかくなので昼食を中庭で食べようか。すると、マーサがパタパタと何故かドレスを持ってきてアクセサリーなどの準備をし始める。

「…?マーサ?この後は何も予定がなかったわよね?」

「いえ、大事な用事ができました。内容は秘密ですが、どうかご協力してくださいませ。」

そう言って、着々と準備をしていく。

私に秘密ということは私よりも上の立場の方の命令ってことかしら…。そうじゃなきゃ私に秘密はできないものよね?

ってことは、お兄様か陛下?
どうして突然…?

私が悶々と考えているうちに準備は終わり、私が鏡を見るとそこにはグレーの生地にキラキラとしたレースが着いたドレスを身にまとっていた。
一見質素に見えるが、色はとても落ち着いていて綺麗だった。

髪はひとつにくくられ、小さな花のアクセサリーを付けられる。

「やはり私の見立ては間違いありませんでした!とってもお綺麗です。」

「ありがとう。それでこの後は」

コンコン

扉のノックに遮られてしまった。
私が、「はい」と返事をするとそこには陛下が立っていた。

予想外の人物に驚く。
最近の陛下はお忙しいようで中々会えず、たまに見ても廊下忙しそうに歩く姿だけ。

だから、久々に陛下を真正面から見たので思わずじっと見てしまう。そして、失礼だと気づき直ぐに目を背けた。

「準備はできたか?」

「…え?はい?」

準備とは何のと聞く前に陛下から右手を差し出される。私は分からないまま左手を重ねた。そのままぐいっと引っ張られ部屋から出される。

手は引っ張られたままだが、私の歩みに合わせて歩いてくださる。

陛下は一体どこへ連れていくつもりなのだろう

陛下の横顔を盗み見ながらついて行く。
そのまま外へ出てしまい馬車に乗り込んだ。

私は誘導された席に座り、陛下は対面するように座る。

すると、お城の方から「待て!」と叫びながら走ってくるニクロスが見えた。

「陛下!私を置いていくおつもりてすか!?」

ニクロスの悲痛な叫びに反して陛下小さく舌打ちをする。すると、立ち上がり私の隣にお座りになった。

ニクロスはニヤニヤとしながら陛下が座っていた席に座る。

「お久しぶりです、シルフィオーネ様!今日もお美しいですね!」

「お久しぶりです。ところで…これからどちらに向かうのですか?」

「あれ…言ってなかったのか。」

「……着いてからのお楽しみと言うやつだ。」





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