私と彼を繋いでいたのは夢でした―放課後の目覚めと眠り―

月詠世理

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暁人の様子(4 話)

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 ある教室で。一人の呼び声が響いていた。

「ゆ……は……。ゆず……。楪暁人!!」
「ハイ!」

 耳に入ってこなかった声が鮮明に聞こえるようになった。それで僕が呼ばれていることに気づいた。大きな声であったため、ビックリして机に足が当たってガタリッと音を立ててしまった。

「大丈夫か?」
「だ、大丈夫です」

 恥ずかしい。周りの人は気にしてなさそうだけど、静かな空間で音を立てると思ったよりも響くから。

「そうか。なら、この問題を解いてくれ。」

 僕は前に進んだ。黒板に書かれている問題を見て、答えを書いていく。授業を受けていたはずだ。先生がいるし、問題を解かされているし。それなのに、記憶がない。先生が何を話していたのかさえわからない。

 覚えているのは教科書やノートを机から取って準備をしたところと先生が教室に入ってきて授業の鐘が鳴り響いたところ。開始時の先生の話は聞いていた。それからの記憶が曖昧で。僕は何をしていたのだろうか。眠ってでもいたのだろうか。もしそうだとしたら注意されているはず。

「正解だ。ぼんやりと上の空で身に入ってなさそうだったから先生の話を聞いてないと思っていたけど、違ったようだな。すまなかった。もう席に戻っていいぞ」

 先生の指示通りに戻る。僕はぼぅっとしていたのか。だめだ。からっぽだ。何も思い出せない。心底わかる問題で良かったと思う。ノートを確認しても僕がほとんど授業を聞いていなかったことがわかっただけだ。

 少ししか黒板の内容や先生の解説が書かれていないノート。罫線があるのみで、ほとんど真っ白だ。あとで誰かに見せてもらって写させてもらおう。
 鐘の音が鳴った。授業終了の合図だ。

「丁度良いタイミングだな。じゃあ、今回はここまで。あ、このページの問題を解いておいてくれ。次回、答え合わせするからな」

 先生は黒板にページと対象となる問題の箇所を書いた。それから、教材などを収集して教室から去っていった。

 授業と授業の間の休憩は十五分。お昼休憩は六十分だ。今回は最後の授業が終わったところなので、休憩時間というよりはホームルームがある。そのため、帰りの準備をしながら担任の先生を待っている。

 体調が悪いわけではないと思う。体がだるいなどの症状はないから。あと少ししたら帰りであることに安堵した。

 自分自身の行動を覚えていないこは怖いし。寄り道せずに帰宅して今日はしっかりと休むことにしよう。琴音に用事がなければ、一緒に帰ろっと。僕は鞄からスマホを取り出して、琴音へメッセージ送った。

「用事がなければ一緒に帰ろう」
「暁人も私も部活に入ってないし、いつも一緒に帰ってるじゃん! 急にどうしたの?」

 時間をおかずに返信がきた。僕はそれに返信する。

「いや、それは用事がなければの話でしょ。だから確認しただけでなんもないよ」
「そうなの? でも、いつも連絡せず教室で話してるよね?」
「そうだけど、今日は僕が琴音の教室まで行こうと思ってさ」
「あー、そういうこと? じゃあ、私のところのホームルームが遅かったらお願いするね」
「わかった。早く終わった側が連絡入れて、それを見て相手の教室へ行くことにしよう」
「そうだね。すれ違ったら面倒だし。お迎えの件了解です」

 一緒に帰ることはできそうだ。僕が一人で行動するのは危なさそうだと思ったからそうならずに済んでほっとした。琴音には感謝だ。
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