私と彼を繋いでいたのは夢でした―放課後の目覚めと眠り―

月詠世理

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待ち合わせとお迎え(5話)

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 真っ直ぐに私を見つめてくるのは幼馴染の姿をした人。

「ボクがボクでいられる時間は少ないんだ。その時間を君と過ごしたい。お願いだ」

 幼馴染は端整な顔立ちで、黒髪で、背が高くて、血色が良く健康的だ。ただ、私の目の前にいる人は幼馴染の中にいる誰かだ。
 突然、幼馴染に似ている人が現れたのではなく、帰宅途中で暁人が暁人ではない人になった。この言い方が的を射ているだろう。そう、私は彼の願いを断ることができなかった。あれは軽い気持ちで突っぱねて良いものではないと思った。

***

 ホームルームが終了し、連絡がきていないか確認した。通知がきていたので、教室てま待機する。扉の向こうをチラッと見たが、暁人はいなかった。

「あれ? 琴音。もしかして振られた?」
「うん? どういうこと?」
「だって、いつもなら楪くんのところへ行ってるじゃん!!」

 普段とは異なる行動をしているがゆえにクラスの人たちが気になっているようだ。チラチラと私たちに視線を送ってくる。それと一人が私に尋ねているのを他の人たちが耳を傾けていた。遠巻きに興味深々とでもいうように眺めているけれど、そんなに面白いことは何もない。ただ、なんで振られた前提で話かけられたのだろうか。そもそも私たちは付き合ってないのに。

「琴音!」

 私を呼ぶ声が教室に響いた。声からして暁人のようだ。それに、扉から顔を出して、こちらを伺っているため、暁人だとわかった。

「今行く!」

 私は扉の方へ向かってそう言った。

「なーんだ。お迎えされる側だったってことね。つまらん。よし、皆かいさーん!!」

 私たちの様子を見ていた人たちは、サッと目を逸らした。颯爽と動き、散り散りになっていく。帰る者は扉へと進んで教室の外へ。

「あのさー、一緒に帰らない日だってあるから。皆大袈裟に反応しすぎ。困るというか迷惑というか……」
「それだけ心配したってことだよ。珍しいことだったし。まあ、仲良く気をつけて帰りなさいよー。あ、あと、上手くいくように応援してるから!!」

 ヒラヒラと手を振って教室から出ていった友達。最後まで言ってることがよくわからなかったし、心配するよりは楽しんでいるな、と思った。足止めがなくなったため、鞄を持って暁人のもとへ向かう。

「ごめん。待たせた」
「別に気にしてないよ。どんな話してたのかは気になるけど」
「暁人が知る必要はないことだよ」
「聞かれたくない子ってさ、どうしても聞きたくなるよね。で、どんな話してたの?」

 意地が悪い。聞かれたくないことだというのを察しているくせに尋ねてくるなんて。私はどうにかしてそこから意識を逸らすことにする。

「じゃあ、いつも暁人が揶揄われてること」
「じゃあって何!? じゃあって違うことだし、全く話す気ないのが伝わってくる」

 内容をはぐらかされているためか、不機嫌そうであった。あながち、間違ってはいないと思っている。暁人が私と同じように幼馴染のことで揶揄われているかは知らないけど。
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