私と彼を繋いでいたのは夢でした―放課後の目覚めと眠り―

月詠世理

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私と幼馴染と彼(8話)

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 公園に到着した。ブランコや滑り台、砂場、鉄棒などがあった。私たちは茶色のベンチに腰をかける。私と暁心の間には買い物袋が置かれた。走ったことで無駄に体力を消耗した気がする。飲み物を口にいれようと思い、袋から取り出そうとする。

「へぇー、桃の味がするね。すごー」

 何故か暁心の手に私の飲み物があった。

「それ私のなんだけど。何平然と飲んでるの?」
「知ってるけど、どんなのか気になったから一口いただきました。勝手にごめんよ」

 顔を伏せてしょんぼりした風で謝罪しているが、それが軽いものに見えてならなかった。それと、幼馴染(そう判断していいものか疑問はある)とはいえ、他の人が口をつけたものを飲むのには抵抗があった。喉が渇いているのも事実で。私はゆっくりとボトルを傾けた。口に流し込む。

「琴音ちゃんと間接キスできた。嬉しい!!」

 これを狙っていたのか。確信犯だ。私はニマニマと緩んだ笑みを浮かべている暁心を叩いた。

「そんなに怒らなくても……」
「――怒ってない! それで? 暁人はどこにいるの?」
「えー、もう琴音ちゃん暁人のことばかり。少しはボクのことも考えてよ。ボクがボクであれる時間は少ないんだ。その時間を君と過ごしたい。お願いだ、ボクを拒まないで」

 まっすぐに私を見つめてくる。それは断るのが難しいと思うほどの純粋な願いだった。

「それにさ、ボクが暁人になるんだし、気にすることないよ」
「どういうこと?」

 次に続いた言葉に彼の想いを受け入れられるか怪しくなった。
 語った内容は嘘だったのだろうか。暁心でいられる時間は少ないと言っていたが、暁心が暁人になるということになるのだろうか。

「怖い顔だね。はい、ロールケーキ。甘い物食べてリラックス、リラックス」

 クスリッと笑った暁心をギロリッと睨んだ。その時、口にロールケーキを突っ込まれた。むせそうになったのを我慢した。今、ぶすくれた表情になっていそうだ。私は口の中にあるものを飲み込むために、繰り返し噛んでいる。

「琴音ちゃんはさ、暁人が何かを探していたことに気づいてたよね? それがボクなんだよ。見つけようと思って、外を探したところで見つけることなんてできない。見つけられるわけがない。だって、暁人が探していたボクは――」
「なんで暁人が暁心を探すの?」

 話を遮ってしまったようだ。なんとかロールケーキを飲み込むと、この疑問が口から出ていた。暁人と暁心がやはり無関係でないことは彼の口ぶりからしてわかった。知りたいような、知りたくないような、でも知らないといけないような、そんなごちゃまぜの気持ちになる。私は暁心の言葉を待つ。

「琴音ちゃんはボクにとっての特別だから教えてあげるよ。琴音ちゃんはさ、ボクが暁人ではない別人だと言ったけど、ホントはボクも暁人なんだよね。でも、琴音ちゃんが言ったことに間違いはないんだ」

 唇を結んでは解いて、唇を結んでは解いての繰り返し。キラリッと輝く青の瞳。優しい眼差しが向けられ、やっとのことで音が紡がれた。浮かび上がったのは疑問。一体どういうことなのか、と。暁心は暁人なのに暁人ではないと言われても混乱するだけである。困惑した表情が出ているのだろう。ニッコリと意味深な笑みが向けられた。

「そうだなー。実は実はボクたちは双子だったのです!」
「はっ?」

 先程の柔らかな雰囲気が収まり、おちゃらけた感じがにじみ出た。
 暁人は一人っ子だし、双子のはずがない。もし双子であるのなら、もう一人生まれているはずだ。暁心という存在が。

「うんうん、その意味わかんないって言うのがさ普通の反応だよね。でも事実だよ。ボクたちは本来なら兄弟であるはずだったんだけど、楪という家系で双子が生まれることはない。それはなぜか?」

 考えても考えても答えは出なかった。子どもたちの遊ぶ元気いっぱいの声が遠くなって、静かになったように感じる。じれったくて仕方がない。語られる真実は何かと気になり、引き込まれていく。

「あはっ! 真面目に話を聴いてくれるのはとっても嬉しいけど、実はボクもわからないんだよね」
「えっ?」

 すっとんきょうな声が出てしまった。知っている感じで話してたのに、知らないのかいと思った。
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