私と彼を繋いでいたのは夢でした―放課後の目覚めと眠り―

月詠世理

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終わり(10話)

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 唇を奪われたと気づいた時には、暁心は私の脚に乗っていた。呑気に寝ている。赤くなっているだろう姿を見られなくて良かったと思うと同時に私の心情を知らずに気持ち良さそうに寝やがってと憎たらしい思いもあった。意趣返しとして鼻を摘んだ。息苦しそうにしていたところを見てら手を離す。起きると思ったけれど、起きる気配はなかった。本当に良く眠っている。少々時間が経ち、息苦しさがなくなるとまた気持ち良さそうにしていた。私は頭を撫でる。サラサラした髪が指の隙間をスルリと抜けていった。

 結局、暁心は購入した炭酸を飲まなかった。暁人に対する嫌がらせとして買ったのかもしれない。暁心自分はいなくなってしまうから、暁心のままではいられないから、少しの意地悪を残していったのだろう。最後まで、私のボトルで飲んでたし。そのせいで私の飲み物は見事にすっからかん。炭酸を飲みたい気分ではなかったので、開栓せずにとっておいた。生チョコクレープはだめになったらまずいから食べた。とろけたチョコとチップスのチョコがあって食感も良くて美味しいかったけど、甘かった。

 日が落ちてきた。瞼が震えて目覚めそうだと思った。ゆっくりと目が開く。そこに映ったのは青色はではなく、黒色。暁心ではなく、暁人だった。

「あれ? 僕?」
「早くどいてくれない?」
「うわー!!」

 膝枕されていることに気づいた暁人がテンパって悲鳴を上げた。サッと起き上がる。

「な、なんで僕……」
「早く帰ろう、と言いたいところだけど、足が痺れたから少し待って」
「ご、ごめん」
「気にしてないから」

 私はいまいち状況を把握できていなくて戸惑っている暁人に寄りかかって、目を閉じた。足の痺れが和らぐまで。
 この日を境に水に沈む男の子の夢は見なくなった。

***

 私が暁心と会ったあの日から暁人は誰かを探す様子を見せることはなかった。暁心が暁人の中にいるのだから、その必要はなくなったというか、ピッタリとバズルのピースがはまったからか、違和感を感じなくなったのかもしれない。ただ変わったことはあった。スキンシップが少々激しくなったように思う。抱きついたり、手を握ってきたり、私の顔を見て綻ぶような表情を見せるようになったりなどがあった。たまに、熱がこもった視線を送ってくるのもその一つだ。暁心の影響を受けているのかもしれない、と思った。

「僕、ずっーーーーと想ってたけど、琴音のことが好きだよ」

 突然の告白。影響を受けているのか、それともそういう意味で本当に暁人自身の本音なのか、戸惑う未来があるとわたしはまだ知らない。

***

 僕の中には、僕ではない僕がいたらしい。寄り道なんてする予定がなかったその日、寄ったはずのない公園へ琴音と一緒にいた。そのことについて、後に情報が流れ込んできた。あの時は戸惑ったけど、そういうことだったのかと思った。僕の中で眠っているところを琴音が夢に見て。誰も気づいてくれなかったけど、一人の女の子がボクを見つけた。それがあって、ボクは目覚めることにしたのだろう。君に会いたいと思って。それが別れるしかないことになると知っていても琴音に会いたかったんだと思う。一人は寂しいから。
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