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その他短編
二人は別の世界から来ました。こんなおっきなトカゲいるんだね
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緑溢れる森の中。一人の男の子と一人の女の子がいた。男の子は茶髪、女の子は紺色の髪をしている。女の子よりも男の子の方が大きい。男の子はキリッとした眉に力強い目を、女の子は柔らかな細い眉に大きな目をしていた。二人は顔を見合わせている。
「おい、チー。やばいぞ」
「ねぇ、ムーやばいね」
「に、にげろーー!!!」
「に、にげるーー!!!」
掛け声を合図に二人は素早く走る。その後を追いかけるのはドスドスと音を立てて移動している大きなトカゲ。目はギョロギョロと、細長い舌はチロチロと動いている。土埃が舞う。トカゲは森の木を薙ぎ倒しながら進んでいる。そのため、倒れてくる木に巻き込まれたら大変なことになるだろう。
「ぎゃーーー!?!? 気持ち悪いっ!! もう、ムーのせいだからね!?」
「うるせー!! 振り返る暇があるなら走れ!! てか、俺のせいじゃねーから」
「何言ってるのよ! あの大きなトカゲにちょっかい出したのムーでしょ!!」
「いや、チーも面白がってただろ!! ただちょっとトカゲの手を叩いただけじゃないか」
「叩いたんじゃなくて!! 突き刺したのよ!!」
男の子はムーと呼ばれており、女の子はチーと呼ばれていた。二人の会話はテンポ良く進む。その間にも二人は足を止めてはいない。ひたすら前に向かって走っている。だが、そんな必死な二人に大きなトカゲは迫っている。トカゲと二人の距離は縮まっているようだ。走っている二人より早く、体格もずっしりとしているトカゲ。彼らに追いついてもおかしくはない。どうやら彼らはトカゲにちょっかいを出したらしい。
「しょーがねーだろ!! あんなでっかいトカゲ見るの初めてなんだからよ~。十メートルはあるぜ」
「今大きさなんて考えてる場合じゃないでしょ!! どーすんのよ!!」
「もう迎え撃つしかねーよ。ここは俺たちがいた世界とは違うんだぜ?」
「そーだった!! 悪いのはムーだから、ね!!」
手ぶらだったはずなのに、女の子の手には弓と矢が現れた。女の子は立ち止まり後ろを向く。弓矢を構える。矢にはぼうっと炎が出てきた。弦をギリギリまで引き、トカゲに放つ。一つだった矢は五つくらいに数が増え、トカゲに当たった。モクモクと煙が上がる。
「的がでかい分当てやすいな。……って、おいバカーー!! 森の中で炎なんか出したら火事になるだろーー!!!」
「あっ」
「あっ、じゃねーよ。くそっ! アクア!!」
男の子に呼ばれて出てきたのは、小さな人の形をした何か。透き通った青色をしている。男の子の肩の近くにふよふよと浮かんでいた。
「アクア。木に飛んだ火を消せ。水の精であるお前ならできる。頼んだ」
アクアと呼ばれた者は男の子の声にコクリと頷いた。木に飛び散った火の粉が突然現れた水によって小さくなって消えていく。これで心配なくなったと思われたが、そんなことはなかったようだ。煙が上がっていき、トカゲが見えるようになる。それはピンピンしていた。それどころか、今までよりも元気になっているように見える。
「嘘!! 当たったのに。火炙りにされてない。全然攻撃きいてないってどういうこと? 当たったよね!?」
「チー様、ムー様。興奮状態のモンスターに攻撃を当てても動きを止めることはできません。むしろ、ムキになって突っ込んできますよ? チー様の矢が当たっていますし尚更」
「アクア、戻れ! ウィン! 俺たちを連れて逃げろ!!」
「了解した。じゃあ、動くなよ。動いたら落とすからな」
今度は緑の人の形をした何かが男の子の肩付近に現れた。ウィンと呼ばれた者は男の子と女の子の二人を浮かび上がらせた。そのまま上空へ飛び、トカゲから離れようとする。
「そ、空ー!! 空飛んでるぅぅぅぅぅう!! いやーー!!」
「ムー。こいつ落としていいか?」
「だめだ。早くここから離れるぞ!!」
「そうしたいところだが、あれを見ろ」
ウィンはトカゲの方を見るように言った。二人は振り返る。トカゲの口元には光る玉があった。
「ねぇ、あれ、なに??」
「お、おい……あれ、なんだよ??」
「え? モンスターが力を溜めたものだよ。あれを僕達に向けて放とうとしてるんだろうね」
「なんでそんなに冷静なのーー!! 早くここから離れて!!」
「ウィン、俺たちを安全なところへ運べ!」
「ムー。残念だけど、風の精である僕を縛るのは難しいことなのさ。だから、じゃあねー!」
「えっ?」
「はっ?」
ポンっと音を立てて消えるウィン。二人は真っ逆さまに落ちていく。
「いやーーーーーーーー!!!!」
「うわーーーーーーーー!!!!」
巨大な力が二人の上を通った。
※※※(おまけ)※※※
森の空いた空間に大きなトカゲがぐっすりと眠っていた。それを男の子と女の子は見つける。
「おい、このトカゲでかいな。これで刺しても痛くないのかな?」
「ね、こんなおっきなトカゲ見たことない。さあ? でも、チクッてするだけだと思う」
「じゃあ、やってみるか!!」
「やるのはいいけど何してるの?」
「もう少し先を尖らせようと思ってさ」
男の子は木の棒をナイフで削っていく。もともと先端が尖っていたそれがさらに鋭くなった。
「よし、じゃあ付与効果貫通にして……」
「え、ムー。それはやばいって! 待って!!」
「待つわけねーだろ。いくぞ!」
木の棒を振り上げる。トカゲの手にグサッと刺さった。男の子はすぐさまそれを引き抜いた。
「……ほら、なんともなかっただろ?」
「ムー。後ろ、後ろ見て」
「あ? 別になんとも……」
恐る恐るトカゲを指差す女の子を見て、男の子は勢いよく振り向いた。そこには目を閉じて眠っていたはずのトカゲがパチリと目を開いている姿があった。トカゲは男の子を見下ろしている。じーっと見つめるそれに良くないものを二人は感じたのだろう。どちらかともなく声を出す。
「おい、チー。やばいぞ」
「ねぇ、ムーやばいね」
「に、にげろーー!!!」
「に、にげるーー!!!」
それを合図に急いで走り出した。
「おい、チー。やばいぞ」
「ねぇ、ムーやばいね」
「に、にげろーー!!!」
「に、にげるーー!!!」
掛け声を合図に二人は素早く走る。その後を追いかけるのはドスドスと音を立てて移動している大きなトカゲ。目はギョロギョロと、細長い舌はチロチロと動いている。土埃が舞う。トカゲは森の木を薙ぎ倒しながら進んでいる。そのため、倒れてくる木に巻き込まれたら大変なことになるだろう。
「ぎゃーーー!?!? 気持ち悪いっ!! もう、ムーのせいだからね!?」
「うるせー!! 振り返る暇があるなら走れ!! てか、俺のせいじゃねーから」
「何言ってるのよ! あの大きなトカゲにちょっかい出したのムーでしょ!!」
「いや、チーも面白がってただろ!! ただちょっとトカゲの手を叩いただけじゃないか」
「叩いたんじゃなくて!! 突き刺したのよ!!」
男の子はムーと呼ばれており、女の子はチーと呼ばれていた。二人の会話はテンポ良く進む。その間にも二人は足を止めてはいない。ひたすら前に向かって走っている。だが、そんな必死な二人に大きなトカゲは迫っている。トカゲと二人の距離は縮まっているようだ。走っている二人より早く、体格もずっしりとしているトカゲ。彼らに追いついてもおかしくはない。どうやら彼らはトカゲにちょっかいを出したらしい。
「しょーがねーだろ!! あんなでっかいトカゲ見るの初めてなんだからよ~。十メートルはあるぜ」
「今大きさなんて考えてる場合じゃないでしょ!! どーすんのよ!!」
「もう迎え撃つしかねーよ。ここは俺たちがいた世界とは違うんだぜ?」
「そーだった!! 悪いのはムーだから、ね!!」
手ぶらだったはずなのに、女の子の手には弓と矢が現れた。女の子は立ち止まり後ろを向く。弓矢を構える。矢にはぼうっと炎が出てきた。弦をギリギリまで引き、トカゲに放つ。一つだった矢は五つくらいに数が増え、トカゲに当たった。モクモクと煙が上がる。
「的がでかい分当てやすいな。……って、おいバカーー!! 森の中で炎なんか出したら火事になるだろーー!!!」
「あっ」
「あっ、じゃねーよ。くそっ! アクア!!」
男の子に呼ばれて出てきたのは、小さな人の形をした何か。透き通った青色をしている。男の子の肩の近くにふよふよと浮かんでいた。
「アクア。木に飛んだ火を消せ。水の精であるお前ならできる。頼んだ」
アクアと呼ばれた者は男の子の声にコクリと頷いた。木に飛び散った火の粉が突然現れた水によって小さくなって消えていく。これで心配なくなったと思われたが、そんなことはなかったようだ。煙が上がっていき、トカゲが見えるようになる。それはピンピンしていた。それどころか、今までよりも元気になっているように見える。
「嘘!! 当たったのに。火炙りにされてない。全然攻撃きいてないってどういうこと? 当たったよね!?」
「チー様、ムー様。興奮状態のモンスターに攻撃を当てても動きを止めることはできません。むしろ、ムキになって突っ込んできますよ? チー様の矢が当たっていますし尚更」
「アクア、戻れ! ウィン! 俺たちを連れて逃げろ!!」
「了解した。じゃあ、動くなよ。動いたら落とすからな」
今度は緑の人の形をした何かが男の子の肩付近に現れた。ウィンと呼ばれた者は男の子と女の子の二人を浮かび上がらせた。そのまま上空へ飛び、トカゲから離れようとする。
「そ、空ー!! 空飛んでるぅぅぅぅぅう!! いやーー!!」
「ムー。こいつ落としていいか?」
「だめだ。早くここから離れるぞ!!」
「そうしたいところだが、あれを見ろ」
ウィンはトカゲの方を見るように言った。二人は振り返る。トカゲの口元には光る玉があった。
「ねぇ、あれ、なに??」
「お、おい……あれ、なんだよ??」
「え? モンスターが力を溜めたものだよ。あれを僕達に向けて放とうとしてるんだろうね」
「なんでそんなに冷静なのーー!! 早くここから離れて!!」
「ウィン、俺たちを安全なところへ運べ!」
「ムー。残念だけど、風の精である僕を縛るのは難しいことなのさ。だから、じゃあねー!」
「えっ?」
「はっ?」
ポンっと音を立てて消えるウィン。二人は真っ逆さまに落ちていく。
「いやーーーーーーーー!!!!」
「うわーーーーーーーー!!!!」
巨大な力が二人の上を通った。
※※※(おまけ)※※※
森の空いた空間に大きなトカゲがぐっすりと眠っていた。それを男の子と女の子は見つける。
「おい、このトカゲでかいな。これで刺しても痛くないのかな?」
「ね、こんなおっきなトカゲ見たことない。さあ? でも、チクッてするだけだと思う」
「じゃあ、やってみるか!!」
「やるのはいいけど何してるの?」
「もう少し先を尖らせようと思ってさ」
男の子は木の棒をナイフで削っていく。もともと先端が尖っていたそれがさらに鋭くなった。
「よし、じゃあ付与効果貫通にして……」
「え、ムー。それはやばいって! 待って!!」
「待つわけねーだろ。いくぞ!」
木の棒を振り上げる。トカゲの手にグサッと刺さった。男の子はすぐさまそれを引き抜いた。
「……ほら、なんともなかっただろ?」
「ムー。後ろ、後ろ見て」
「あ? 別になんとも……」
恐る恐るトカゲを指差す女の子を見て、男の子は勢いよく振り向いた。そこには目を閉じて眠っていたはずのトカゲがパチリと目を開いている姿があった。トカゲは男の子を見下ろしている。じーっと見つめるそれに良くないものを二人は感じたのだろう。どちらかともなく声を出す。
「おい、チー。やばいぞ」
「ねぇ、ムーやばいね」
「に、にげろーー!!!」
「に、にげるーー!!!」
それを合図に急いで走り出した。
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前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
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