猫は恋したので、カフェに行く(仮)

月詠世理

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2人で話し合うのは難しそう(36話)

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「……して……な。……おい!! おいっっっっ!!」

 突然の大きな声に肩が跳ねる。考え事をしていて、ぼーっとしていたらしい。

「あ、ごめん。なんの話してたの?」
「はぁ、お前誰かと組んでるかって聞いてるんだけど」

 全く内容が耳に入っていなかったため、もう1度尋ねると、不機嫌そうな声が返ってきた。

「誰かと組む? なんのこと??」

 首を傾げた私に、夕羽はギロリッと睨んでくる。

「あいかわらず、マヌケ面してるな。ちゃんと話聞いとけっつーの」
「まあまあ、夕羽、落ち着きなよ。それに女の子にそんなこと言うものじゃないよ」

 私がぼけっとしていたことが原因のため、指摘されるのはおかしなことではない。しかし、悪口と悪態にムッとした。言い方があると思う。柔らかく言うだけで雰囲気が変わってくるだろうに。

「こいつが悪い」
「あ、拗ねてるのか」
「拗ねてない!! おいっ、実技授業のメンバー決まってんのか??」

 奥村先輩に突っかかっていた夕羽は、旗色が悪くなったからか、急に話題転換してきた。それに驚きながらも、私が話しかったことと重なっていたこともあり、戸惑いつつ、言葉をこぼす。

「えーと? まだかな? でも……」
「もしかして、もう組んでるやつがいるとかじゃねーだろうな?」
「いや、組もうって言ってくれた子はいるけど」
「はぁ!? 断れ!!」
「いや、無理」
「無理なことなんてない。命令だ。断れ!!」
「だから、無理だって。それにそんな理不尽なこと聞けないって」

 舞凛ちゃんの誘いを断ることは絶対にできない。もしそんなことしたらあとが怖い。どうにかして相手を納得させようと言い合いを続ける私たちがいた。

「夕羽 、いい加減にしなよ。全然話が進まないじゃないか」
「な、んで! 俺だけなんだよ。コイツにも非はあるだろ!?」
「確かにそうではあるけど、いちいち吠えて噛み付いてる夕羽が7割悪い」
「俺、犬じゃないんだけどっ!!」
「そうだね。まあ、はじめにぼーっとしてたかえでちゃんも悪いところはあったし、2人でごめんなさいしようか?」

 夕羽の発言は華麗に流された。今の奥村先輩はニッコリ笑っているけれど、圧が強い気がしてならない。黒い雰囲気というか、ちょっと怒ってる感じがする。いつまでも話が途切れて、騒いでいたら、嫌な気分になるよね。ちっとも話が進んでないのは私のせいでもあるし、ムキになって誰と組んでるかを伝えなかったところも問題だろうし――。

「ごめんなさい」
「ちっ!」

 謝罪が気に食わないのか、舌打ちが返ってきた。それを「夕羽」と名前を呼び、奥村先輩が咎めるが、プイッとそっぽを向くアイツがいた。いつもなら、舌打ちされたことに腹が立っていただろう。しかし、私は私で、熱くなりすぎて、先輩が見ていたことが頭からすっぽり抜けていたのを悔やんでいたため、それに反応することはなかった。

「ふてくされてる夕羽は放っておこう。夕羽とかえでちゃんは相性が良くないみたいだし、僕たちで話を進めよう。それで、かえでちゃんが今組んでる人って何人なのかな??」

 奥村先輩がいなかったら永遠に言い合いが続いていたに違いない。
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