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目と目で語り合っている??(37話)
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あの後、奥村先輩と夕羽がチームを組むことになっていることを聞いた。私も舞凛ちゃんという友達と組むことになっていると話した。現状二人組であることも。そこで、舞凛ちゃんと会ってからチームを組むか組まないかを決めることになった。夕羽は「はじめからまだ四人集まってないとか二人であるとか言えよな」などと拗ねた態度をしていた。私は話そうとしたところを遮ったのは夕羽だと思ったが、まだ言い合いになる可能性があるため、口を出すことは控えた。奥村先輩に迷惑をかけるのは嫌だからね。話が終わったところで解散となり、私たちは帰ったのである。私は寮の自室に戻った時、二人が舞凛ちゃんに会ってからチームを組むのかを決めるということを本人に伝えたところ。
「了解。相性とかあるし、会って話して決めるのは当然だよね。それでどこ行けば会えるわけ? さすがにあのバカ騒ぎしてる勧誘の中に突っ込んでいって当日この場所てまなんてことはないわよね??」
そう舞凛ちゃんは言った。私はそれに対して「あははは~。あとで連絡くるらしいよ」と愛想笑いと嘘で乗り切るしかなかった。まだ集合する場所は聞いてなかったし、眼光鋭いところを見ちゃって怖かったからしょうがないよ。たぶん、あとで連絡くるよね? くるよね?? いや、たぶんじゃだめだ。連絡来てくれないと困る。私は電子端末を思い浮かべた。このようなことがあった次の日に連絡は来たからほっとした。舞凛ちゃんに勧誘している人々の群れの中に放り込まれてボロボロになることは回避されたもの。連絡来なかったらそんな未来もありえただろうと思うと体が震えるよ。
――お昼休憩の時間。
休み時間の時に、ある空き教室に集合という連絡をもらった。そのため、授業終了と同時に荷物を持って目的地まで移動してきたところである。
「それで? ここであってるの?」
「うん。ミッチーシメたところってあるから」
「ミッチー、誰それ?」
「ミッチーは石英さんっていう先輩?」
「いや、だから誰よ? それに、かえでもわかってないならわかるわけなくない?」
「私は知ってるけど、説明はしにくい」
舞凛ちゃんに返事をしながら、扉を確認してみるが、「ミッチーシメたところ」の教室で当たっているかの自信は正直ない。なぜなら、私は猫になっていて、抱えられて移動していたのだから。人間の時と視野が違うし、不本意ながらも運ばれてたし、猫だった時のことを考えてもどうしようもないんだよね。ただ、教室の場所が曖昧だからハッキリとココだよって言えない。間違っていたら悲惨だもの。一番端にあった教室だから合っているはずだ。
「まあいいや。ミッチーだかセッチーだか知らないことは。とりあえず、開けるわよ」
舞凛ちゃんが扉に手をかけたその時。
「お前、何してんの?」
背後から声をかけられたとともに肩に触れる手があった。私は驚きのあまり、肩が跳ねた。舞凛ちゃんは扉にかけていた手を離して、振り返り、何もしてませんよ、という雰囲気を装っている。私はその様子を見ながら、恐る恐る振り返る。視線の先には夕羽がいた。
「ちょ、ちょっと! 急に声かけないでよ。びっくりした!!」
「あのさ、こっちがびっくりだよ。ミッチーシメたとこ、ここじゃなくてあっちの教室な。ほら」
示された先にあったのはもう一つの教室。
「え? だって。え???」
「意識してないと見つけにくいからな。だから、迎え」
舞凛ちゃんに冷ややかな視線を送られていたため、気まずくなった。私は舞凛ちゃんと目を合わせないように視線を動かした。
「ノックもせずに開けてしまうところでした。他の方々が使用していたらと思うと……。開ける前に声をかけてくださってありがとうございます。お迎えに来ていただけて助かりますよ」
「ふーん。あんたがコイツの友達……ね」
舞凛ちゃんと夕羽が見つめ合う。ピンっと張り詰めた空気に変わった。お互いが視線で語り合っているように見えるが気のせい、だろう。そうであると思いたい。
「舞凛ちゃんのことをマジマジと見つめるな、バカ。失礼!!」
私は場を納めようと、舞凛ちゃんと夕羽の間に入り込んだ。
「はぁ、お前が間違えなきゃこんなことになってねーよアホ。こんなところでうだうだしててもどうにもならねーし、さっさと行くぞ」
指定されていた教室が違っていたのは本当だから、そう言われたら返す言葉はない。ただむっとはするが。私は踵を返した夕羽についていく。すぐ隣であるから少し歩くだけであるけれど。
私は舞凛ちゃんからの強い視線を背後に感じながら、足を進めた。
「ああ、別にそこの扉開けようとしても問題なかったぜ? その場合、俺たちもあんたたちも悪戯に時間を過ごすことになっていたのは確かだろうが、その教室は誰も使ってないしな。つーか、鍵かかってるから開けないと開かないのもある」
夕羽が集合場所である教室の扉を開けた。入るように促される。私たちはそれに従って入室した。それと同時に扉は閉められ、対策がなされた。
「了解。相性とかあるし、会って話して決めるのは当然だよね。それでどこ行けば会えるわけ? さすがにあのバカ騒ぎしてる勧誘の中に突っ込んでいって当日この場所てまなんてことはないわよね??」
そう舞凛ちゃんは言った。私はそれに対して「あははは~。あとで連絡くるらしいよ」と愛想笑いと嘘で乗り切るしかなかった。まだ集合する場所は聞いてなかったし、眼光鋭いところを見ちゃって怖かったからしょうがないよ。たぶん、あとで連絡くるよね? くるよね?? いや、たぶんじゃだめだ。連絡来てくれないと困る。私は電子端末を思い浮かべた。このようなことがあった次の日に連絡は来たからほっとした。舞凛ちゃんに勧誘している人々の群れの中に放り込まれてボロボロになることは回避されたもの。連絡来なかったらそんな未来もありえただろうと思うと体が震えるよ。
――お昼休憩の時間。
休み時間の時に、ある空き教室に集合という連絡をもらった。そのため、授業終了と同時に荷物を持って目的地まで移動してきたところである。
「それで? ここであってるの?」
「うん。ミッチーシメたところってあるから」
「ミッチー、誰それ?」
「ミッチーは石英さんっていう先輩?」
「いや、だから誰よ? それに、かえでもわかってないならわかるわけなくない?」
「私は知ってるけど、説明はしにくい」
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「まあいいや。ミッチーだかセッチーだか知らないことは。とりあえず、開けるわよ」
舞凛ちゃんが扉に手をかけたその時。
「お前、何してんの?」
背後から声をかけられたとともに肩に触れる手があった。私は驚きのあまり、肩が跳ねた。舞凛ちゃんは扉にかけていた手を離して、振り返り、何もしてませんよ、という雰囲気を装っている。私はその様子を見ながら、恐る恐る振り返る。視線の先には夕羽がいた。
「ちょ、ちょっと! 急に声かけないでよ。びっくりした!!」
「あのさ、こっちがびっくりだよ。ミッチーシメたとこ、ここじゃなくてあっちの教室な。ほら」
示された先にあったのはもう一つの教室。
「え? だって。え???」
「意識してないと見つけにくいからな。だから、迎え」
舞凛ちゃんに冷ややかな視線を送られていたため、気まずくなった。私は舞凛ちゃんと目を合わせないように視線を動かした。
「ノックもせずに開けてしまうところでした。他の方々が使用していたらと思うと……。開ける前に声をかけてくださってありがとうございます。お迎えに来ていただけて助かりますよ」
「ふーん。あんたがコイツの友達……ね」
舞凛ちゃんと夕羽が見つめ合う。ピンっと張り詰めた空気に変わった。お互いが視線で語り合っているように見えるが気のせい、だろう。そうであると思いたい。
「舞凛ちゃんのことをマジマジと見つめるな、バカ。失礼!!」
私は場を納めようと、舞凛ちゃんと夕羽の間に入り込んだ。
「はぁ、お前が間違えなきゃこんなことになってねーよアホ。こんなところでうだうだしててもどうにもならねーし、さっさと行くぞ」
指定されていた教室が違っていたのは本当だから、そう言われたら返す言葉はない。ただむっとはするが。私は踵を返した夕羽についていく。すぐ隣であるから少し歩くだけであるけれど。
私は舞凛ちゃんからの強い視線を背後に感じながら、足を進めた。
「ああ、別にそこの扉開けようとしても問題なかったぜ? その場合、俺たちもあんたたちも悪戯に時間を過ごすことになっていたのは確かだろうが、その教室は誰も使ってないしな。つーか、鍵かかってるから開けないと開かないのもある」
夕羽が集合場所である教室の扉を開けた。入るように促される。私たちはそれに従って入室した。それと同時に扉は閉められ、対策がなされた。
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