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11章 宿屋娘が憧れの先輩と一緒にとろとろえっちになってしまうお話
207:仕事
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「それから、エレナ。一番、大事なことを言っておく」
不意に、師の口調が、真剣なものに変わります。
「――この任務の間、絶対に、酒を飲むんじゃねえぞ」
「……え?」
「とぼけるな。お前の酒癖の悪さは、俺が一番よく知っている。一度、酒が入ると、理性の箍が外れて、手がつけられなくなるからな。今回の任務は、ちいと、裏が深い。万が一のことがあっては、ならねえ。分かったな?」
その真剣な眼差しに、エレナは、思わず視線を逸らしてしまいました。
「……も、もちろんですわ。心得ております」
口ではそう答えながらも、エレナさんは、(まあ、任務が無事に終わった後の、祝杯くらいは、許してくださるわよね……♡)なんて、都合のいいことを考えています。高額な報酬で、どんなに美味しい葡萄酒が飲めることでしょう。その芳醇な香りと、喉を焼くような熱い感覚を想像しただけで、エレナさんの太腿の付け根が、じわりと熱を帯びていくのを感じます。
「……やれやれ。本当に分かってんだか」
師は、エレナの心を見透かしたように、やれやれと肩をすくめると、「ちいと、奥で待ってろ」と言い、執務室から追い出しました。
一人追いやられた隣室で、エレナさんは、これから始まる未知の任務に、そして、まだ見ぬ後輩との出会いに、胸を高鳴らせています。手のかからない、素直で可愛らしい子だといいのですけれど。
そんなことを考えていますと、再び執務室の扉が開き、師に促されて、一人の少女が、おずおずと入ってきました。
肩までかかる、艶やかな茶色のストレートヘア。知性を感じさせる、黒縁の眼鏡。そして、その見習いの身分を示す、簡素な灰色のブレザーと茶色のスカート。しかし、そんな初々しい装いとは不釣り合いなほどに、彼女の胸元は、はち切れんばかりに豊満な膨らみを見せつけています。
(まあ……。可愛らしい方。でも、なんて、大きなお胸……)
エレナさんは、同性ながら、思わず、その一点に視線を奪われてしまいます。
その少女こそ、エレナさんの新たなパートナーとなる、リリア・フローライト。
そして、この出会いが、彼女たち二人を、逃れようのない、甘美で背徳的な運命の渦へと巻き込んでいくことになるのを、この時のエレナさんは、まだ知る由もなかったのです。
◇◇◇
秋の空は高くて、どこまでも澄み渡っていた。港湾要塞都市アストリナに吹きつける風は、日に日に冷たさを増して、魔術師ギルドが誇る「星見の塔」の尖塔を撫でて、中庭の薬草の葉をかすかに揺らしてる。
「…いってらっしゃいませ、エレナ先輩、リリア先輩!」
僕は、アル・クーパー。魔術師ギルドの片隅で、偉大なる師匠、アウレリウス様の指導のもと、魔術の深淵を覗き込もうとしてる、しがない見習い魔術師の一人だ。そばかすだらけのこの顔と、まだ頼りないこの身体。いつか大陸に名を馳せる大魔術師になって、田舎で暮らす貧しい両親に楽をさせてあげるのが、僕のささやかな夢なんだ。
そんな僕にとって、今、目の前に立つお二人は、まさに天上の星みたいな存在。
一人は、エレナ・シュミット先輩。腰まである艶やかな茶色の髪を風に揺らし、白いブラウスとスリットの深い濃紺のスカートっていう、いつもの格好なのに、その身から放たれるのは、ただの魔術師とは思えないほどの、熟れた果実みたいな甘い色香。その柔和な微笑みは、僕みたいな見習いの緊張さえも、優しく解きほぐしてくれる。ギルドの見習いの中では伝説的な先輩魔術師として、僕が心から尊敬している、雲の上の存在なんだ。
そして、もう一人。僕の、すぐ一つ上の先輩である、リリア・フローライト先輩。肩までかかる知的なストレートヘアに、黒縁の眼鏡。見習いの身分を示す、簡素な灰色のブレザーと茶色のスカート。その理知的な佇まいとは裏腹に、ブレザーの胸元は、はち切れんばかりの豊かな膨らみで、今にもボタンが弾け飛んでしまいそう。書庫の片隅で、難しい魔導書に真剣な眼差しを落とすその横顔を、僕は、何度、盗み見たことだろう。彼女のその知的な美しさと、似合わないくらい豊満な身体つきは、僕の心を捉えて離さないんだ。
そんな憧れのお二人が、今、領主様直々の特命を受けて、旅立とうとしている。なんでも、領主家のご子息、ユーノ様の家庭教師として。でも、その裏には、このアストリナに迫る、死霊魔術の影があるんだって、師匠のアウレリウス様は言っていた。
「ええ、行ってまいりますわ、アルくん。ギルドのことは、よろしくね」
エレナ先輩が、優雅に微笑みながら、僕の肩をぽん、と軽く叩いてくれた。その指先から伝わる柔らかな感触と、ふわりと香る甘い匂いに、僕の心臓はどきりと大きく跳ね上がった。
「アルくんも、あまり根を詰めすぎてはだめですよ。たまには、しっかり休息をとってくださいね」
リリア先輩もまた、眼鏡の奥の瞳を優しく細めて、僕を気遣う言葉をかけてくれた。ああ、なんて優しいお方なんだろう。その知的な美貌と、豊満な身体つきのギャップ。そのすべてが、僕の心をどうしようもなく掻き乱すんだ。
お二人は、僕に別れを告げると、ギルドの門番に用意させた、質素だけど頑丈そうな馬車へと、静かに乗り込んでいった。その姿が見えなくなるまで、僕はただその場に立ち尽くして、手を振り続けることしかできなかった。どうか、ご無事で。僕の祈りが天に届きますようにって、そう願いながら。
不意に、師の口調が、真剣なものに変わります。
「――この任務の間、絶対に、酒を飲むんじゃねえぞ」
「……え?」
「とぼけるな。お前の酒癖の悪さは、俺が一番よく知っている。一度、酒が入ると、理性の箍が外れて、手がつけられなくなるからな。今回の任務は、ちいと、裏が深い。万が一のことがあっては、ならねえ。分かったな?」
その真剣な眼差しに、エレナは、思わず視線を逸らしてしまいました。
「……も、もちろんですわ。心得ております」
口ではそう答えながらも、エレナさんは、(まあ、任務が無事に終わった後の、祝杯くらいは、許してくださるわよね……♡)なんて、都合のいいことを考えています。高額な報酬で、どんなに美味しい葡萄酒が飲めることでしょう。その芳醇な香りと、喉を焼くような熱い感覚を想像しただけで、エレナさんの太腿の付け根が、じわりと熱を帯びていくのを感じます。
「……やれやれ。本当に分かってんだか」
師は、エレナの心を見透かしたように、やれやれと肩をすくめると、「ちいと、奥で待ってろ」と言い、執務室から追い出しました。
一人追いやられた隣室で、エレナさんは、これから始まる未知の任務に、そして、まだ見ぬ後輩との出会いに、胸を高鳴らせています。手のかからない、素直で可愛らしい子だといいのですけれど。
そんなことを考えていますと、再び執務室の扉が開き、師に促されて、一人の少女が、おずおずと入ってきました。
肩までかかる、艶やかな茶色のストレートヘア。知性を感じさせる、黒縁の眼鏡。そして、その見習いの身分を示す、簡素な灰色のブレザーと茶色のスカート。しかし、そんな初々しい装いとは不釣り合いなほどに、彼女の胸元は、はち切れんばかりに豊満な膨らみを見せつけています。
(まあ……。可愛らしい方。でも、なんて、大きなお胸……)
エレナさんは、同性ながら、思わず、その一点に視線を奪われてしまいます。
その少女こそ、エレナさんの新たなパートナーとなる、リリア・フローライト。
そして、この出会いが、彼女たち二人を、逃れようのない、甘美で背徳的な運命の渦へと巻き込んでいくことになるのを、この時のエレナさんは、まだ知る由もなかったのです。
◇◇◇
秋の空は高くて、どこまでも澄み渡っていた。港湾要塞都市アストリナに吹きつける風は、日に日に冷たさを増して、魔術師ギルドが誇る「星見の塔」の尖塔を撫でて、中庭の薬草の葉をかすかに揺らしてる。
「…いってらっしゃいませ、エレナ先輩、リリア先輩!」
僕は、アル・クーパー。魔術師ギルドの片隅で、偉大なる師匠、アウレリウス様の指導のもと、魔術の深淵を覗き込もうとしてる、しがない見習い魔術師の一人だ。そばかすだらけのこの顔と、まだ頼りないこの身体。いつか大陸に名を馳せる大魔術師になって、田舎で暮らす貧しい両親に楽をさせてあげるのが、僕のささやかな夢なんだ。
そんな僕にとって、今、目の前に立つお二人は、まさに天上の星みたいな存在。
一人は、エレナ・シュミット先輩。腰まである艶やかな茶色の髪を風に揺らし、白いブラウスとスリットの深い濃紺のスカートっていう、いつもの格好なのに、その身から放たれるのは、ただの魔術師とは思えないほどの、熟れた果実みたいな甘い色香。その柔和な微笑みは、僕みたいな見習いの緊張さえも、優しく解きほぐしてくれる。ギルドの見習いの中では伝説的な先輩魔術師として、僕が心から尊敬している、雲の上の存在なんだ。
そして、もう一人。僕の、すぐ一つ上の先輩である、リリア・フローライト先輩。肩までかかる知的なストレートヘアに、黒縁の眼鏡。見習いの身分を示す、簡素な灰色のブレザーと茶色のスカート。その理知的な佇まいとは裏腹に、ブレザーの胸元は、はち切れんばかりの豊かな膨らみで、今にもボタンが弾け飛んでしまいそう。書庫の片隅で、難しい魔導書に真剣な眼差しを落とすその横顔を、僕は、何度、盗み見たことだろう。彼女のその知的な美しさと、似合わないくらい豊満な身体つきは、僕の心を捉えて離さないんだ。
そんな憧れのお二人が、今、領主様直々の特命を受けて、旅立とうとしている。なんでも、領主家のご子息、ユーノ様の家庭教師として。でも、その裏には、このアストリナに迫る、死霊魔術の影があるんだって、師匠のアウレリウス様は言っていた。
「ええ、行ってまいりますわ、アルくん。ギルドのことは、よろしくね」
エレナ先輩が、優雅に微笑みながら、僕の肩をぽん、と軽く叩いてくれた。その指先から伝わる柔らかな感触と、ふわりと香る甘い匂いに、僕の心臓はどきりと大きく跳ね上がった。
「アルくんも、あまり根を詰めすぎてはだめですよ。たまには、しっかり休息をとってくださいね」
リリア先輩もまた、眼鏡の奥の瞳を優しく細めて、僕を気遣う言葉をかけてくれた。ああ、なんて優しいお方なんだろう。その知的な美貌と、豊満な身体つきのギャップ。そのすべてが、僕の心をどうしようもなく掻き乱すんだ。
お二人は、僕に別れを告げると、ギルドの門番に用意させた、質素だけど頑丈そうな馬車へと、静かに乗り込んでいった。その姿が見えなくなるまで、僕はただその場に立ち尽くして、手を振り続けることしかできなかった。どうか、ご無事で。僕の祈りが天に届きますようにって、そう願いながら。
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