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11章 宿屋娘が憧れの先輩と一緒にとろとろえっちになってしまうお話
208:仕事
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その日の夕方のことだった。僕は師匠のアウレリウス様に呼び出されて、彼の執務室じゃなく、普段は誰も入れないギルドの地下深くに、足を踏み入れたんだ。
ひんやりとした石の階段を、いくつも下りていく。空気はだんだん湿り気を帯びてきて、壁の燭台の炎が、僕の影を長く、不気味に揺らしていた。やがて辿り着いたのは、古びた鉄製の扉の前。師匠が、ポケットから取り出した変な形の鍵で錠前を外すと、重い音を立てて、扉が開いた。
「入れ、アル。ちいと、お前に手伝ってもらいてえことがある」
促されるままに足を踏み入れたその部屋は、窓一つない、小さな小部屋だった。壁一面に、まるで蜂の巣みたいに、無数の黒水晶が埋め込まれていて、それぞれが、ぼんやりとした青白い光を放っている。部屋の中央には、複雑な魔術回路が刻まれた巨大な制御盤がどんと構えていて、そこから伸びる無数の魔力伝導線が、壁の黒水晶に繋がっていた。空気は、オゾンと、動き続ける魔導具が発する、独特の熱気でいっぱいだ。
「師匠、ここは……?」
「見ての通り、監視室だ。もっとも、普段は、街の防衛結界の維持管理くらいにしか使っちゃいねえがな」
師匠は、なんてことないみたいにそう言うと、制御盤の前に置かれた椅子に、どかりと腰を下ろした。そして、いくつかの水晶のツマミをいじると、目の前にある、ひときわ大きな黒水晶の表面に、ぼんやりと映像が浮かび上がった。ここは、ギルドの最重要機密の一つ、都市全域を監視下に置くための、遠見魔術の制御室だったんだ。
そこに映し出されたのは、豪華な調度品で飾られた、どこかの屋敷の一室。そして、その部屋の中で、困惑した表情を浮かべる、エレナ先輩とリリア先輩の姿だった。
「これは……!?」
「リリアに通信用と説明して黒水晶を渡した。ありゃあ、ただの通信機じゃねえ。冒険者ギルドの若造が、俺の設計図を元に作った、最新型の監視用魔導具でな。リリアとエレナの周囲の視覚と聴覚を、リアルタイムでここに転送できるってわけだ。」
師匠の言葉に、僕は息を呑んだ。つまり、今、僕たちが見ているこの光景は、領主邸の内部、リリア先輩とエレナ先輩のありのままのお姿だってことなんだ。
「そ、そんな……! お二人の信頼を裏切るような真似は、いけません!」
僕が思わず抗議の声を上げると、師匠は、やれやれって感じで肩をすくめた。
「馬鹿野郎。これは、任務だ。そして、何より、あいつらの安全を守るためだ。死霊術師が、いつ、どこで、牙を剥くか分からねえ。万が一の事態に備えるのは、上に立つ者の、当然の務めだろうが」
その有無を言わさぬ物言いに、僕はぐっと言葉に詰まった。確かに、師匠の言うことにも一理ある。でも、それでも、尊敬する先輩方をこうして盗み見るなんて、すごく罪悪感があった。
その時だった。水晶の中の映像で、部屋の扉が開いて、年配の侍女みたいな女の人が、二着の服を手に、入ってきたんだ。
「エレナ様、リリア様。こちらが、お二人に、本日よりお召しいただく、お仕着せでございます」
侍女が差し出したのは、黒を基調とした、シンプルなデザインのメイド服だった。白いフリルのついたエプロンと、頭に飾るための、可愛らしいヘッドドレスも付いている。
「……これを、わたくしたちが?」
エレナ先輩が、困惑したように眉をひそめる。
「はい。ユーノ坊ちゃまのお世話係として、屋敷の者と同じ格好をしていただくのが、旦那様のご意向でございますので」
侍女は、丁寧だけど、有無を言わせない口調でそう告げると、深々と一礼して、部屋を出ていった。残されたのは、二着のメイド服と、途方に暮れた表情のお二人。
「やれやれ。家庭教師と聞いていたが、まさか、メイドの真似事までさせられるとはな。領主の野郎、一杯食わせやがった」
師匠は、心底楽しそうに、くつくつと喉を鳴らして笑っている。でも、僕の心は、それどころじゃなかった。これから、この水晶の中で、憧れのお二人がメイド服に着替えるっていうんだ。
壁に埋め込まれた黒水晶が映し出す、背徳的な光景。その中で、僕の憧れの先輩方は、ゆっくりと、でも確実に、その身にまとった服を、一枚、また一枚と、脱ぎ捨てていくんだ。僕の心臓は、罪悪感と興奮で、今にも張り裂けそうだった。
「……仕方ありませんわね。これも、任務のうちですもの」
先に動いたのは、エレナ先輩だった。観念したように、ふぅ、と一つ、諦めと、そしてどこか未知の体験への好奇心が入り混じったような、甘いため息をつく。その吐息が、まるでこの監視室の空気まで揺らすように感じられて、僕はごくりと固唾を呑んだ。
彼女はまず、その腰まである美しい茶色の髪を束ねていたリボンを、慣れた手つきで解き始めた。さらり、と解かれた髪が、彼女の背中を、まるで絹の滝みたいに滑り落ちていく。その光景だけで、僕の身体の奥が、ずくりと熱くなった。
白いブラウスの小さなボタンに、エレナ先輩の白魚のような指がかかる。一つ、また一つと、その指が動くたびに、彼女の豊かな胸の谷間が、ゆっくりと露わになっていく。その肌は、まるで上質な乳飲み仔羊の乳から作られたばかりのチーズのように、滑らかで、そして甘美な光を放っていた。
ひんやりとした石の階段を、いくつも下りていく。空気はだんだん湿り気を帯びてきて、壁の燭台の炎が、僕の影を長く、不気味に揺らしていた。やがて辿り着いたのは、古びた鉄製の扉の前。師匠が、ポケットから取り出した変な形の鍵で錠前を外すと、重い音を立てて、扉が開いた。
「入れ、アル。ちいと、お前に手伝ってもらいてえことがある」
促されるままに足を踏み入れたその部屋は、窓一つない、小さな小部屋だった。壁一面に、まるで蜂の巣みたいに、無数の黒水晶が埋め込まれていて、それぞれが、ぼんやりとした青白い光を放っている。部屋の中央には、複雑な魔術回路が刻まれた巨大な制御盤がどんと構えていて、そこから伸びる無数の魔力伝導線が、壁の黒水晶に繋がっていた。空気は、オゾンと、動き続ける魔導具が発する、独特の熱気でいっぱいだ。
「師匠、ここは……?」
「見ての通り、監視室だ。もっとも、普段は、街の防衛結界の維持管理くらいにしか使っちゃいねえがな」
師匠は、なんてことないみたいにそう言うと、制御盤の前に置かれた椅子に、どかりと腰を下ろした。そして、いくつかの水晶のツマミをいじると、目の前にある、ひときわ大きな黒水晶の表面に、ぼんやりと映像が浮かび上がった。ここは、ギルドの最重要機密の一つ、都市全域を監視下に置くための、遠見魔術の制御室だったんだ。
そこに映し出されたのは、豪華な調度品で飾られた、どこかの屋敷の一室。そして、その部屋の中で、困惑した表情を浮かべる、エレナ先輩とリリア先輩の姿だった。
「これは……!?」
「リリアに通信用と説明して黒水晶を渡した。ありゃあ、ただの通信機じゃねえ。冒険者ギルドの若造が、俺の設計図を元に作った、最新型の監視用魔導具でな。リリアとエレナの周囲の視覚と聴覚を、リアルタイムでここに転送できるってわけだ。」
師匠の言葉に、僕は息を呑んだ。つまり、今、僕たちが見ているこの光景は、領主邸の内部、リリア先輩とエレナ先輩のありのままのお姿だってことなんだ。
「そ、そんな……! お二人の信頼を裏切るような真似は、いけません!」
僕が思わず抗議の声を上げると、師匠は、やれやれって感じで肩をすくめた。
「馬鹿野郎。これは、任務だ。そして、何より、あいつらの安全を守るためだ。死霊術師が、いつ、どこで、牙を剥くか分からねえ。万が一の事態に備えるのは、上に立つ者の、当然の務めだろうが」
その有無を言わさぬ物言いに、僕はぐっと言葉に詰まった。確かに、師匠の言うことにも一理ある。でも、それでも、尊敬する先輩方をこうして盗み見るなんて、すごく罪悪感があった。
その時だった。水晶の中の映像で、部屋の扉が開いて、年配の侍女みたいな女の人が、二着の服を手に、入ってきたんだ。
「エレナ様、リリア様。こちらが、お二人に、本日よりお召しいただく、お仕着せでございます」
侍女が差し出したのは、黒を基調とした、シンプルなデザインのメイド服だった。白いフリルのついたエプロンと、頭に飾るための、可愛らしいヘッドドレスも付いている。
「……これを、わたくしたちが?」
エレナ先輩が、困惑したように眉をひそめる。
「はい。ユーノ坊ちゃまのお世話係として、屋敷の者と同じ格好をしていただくのが、旦那様のご意向でございますので」
侍女は、丁寧だけど、有無を言わせない口調でそう告げると、深々と一礼して、部屋を出ていった。残されたのは、二着のメイド服と、途方に暮れた表情のお二人。
「やれやれ。家庭教師と聞いていたが、まさか、メイドの真似事までさせられるとはな。領主の野郎、一杯食わせやがった」
師匠は、心底楽しそうに、くつくつと喉を鳴らして笑っている。でも、僕の心は、それどころじゃなかった。これから、この水晶の中で、憧れのお二人がメイド服に着替えるっていうんだ。
壁に埋め込まれた黒水晶が映し出す、背徳的な光景。その中で、僕の憧れの先輩方は、ゆっくりと、でも確実に、その身にまとった服を、一枚、また一枚と、脱ぎ捨てていくんだ。僕の心臓は、罪悪感と興奮で、今にも張り裂けそうだった。
「……仕方ありませんわね。これも、任務のうちですもの」
先に動いたのは、エレナ先輩だった。観念したように、ふぅ、と一つ、諦めと、そしてどこか未知の体験への好奇心が入り混じったような、甘いため息をつく。その吐息が、まるでこの監視室の空気まで揺らすように感じられて、僕はごくりと固唾を呑んだ。
彼女はまず、その腰まである美しい茶色の髪を束ねていたリボンを、慣れた手つきで解き始めた。さらり、と解かれた髪が、彼女の背中を、まるで絹の滝みたいに滑り落ちていく。その光景だけで、僕の身体の奥が、ずくりと熱くなった。
白いブラウスの小さなボタンに、エレナ先輩の白魚のような指がかかる。一つ、また一つと、その指が動くたびに、彼女の豊かな胸の谷間が、ゆっくりと露わになっていく。その肌は、まるで上質な乳飲み仔羊の乳から作られたばかりのチーズのように、滑らかで、そして甘美な光を放っていた。
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