264 / 370
11章 宿屋娘が憧れの先輩と一緒にとろとろえっちになってしまうお話
214:教育
しおりを挟む
「……ふふ。では、ほんの、一口だけ。味見だけ、させていただきますわね?」
エレナさんは、慈愛に満ちた聖女のような微笑みを浮かべながら、その実、心の中では、悪魔の囁きにそっと耳を傾けておりました。これは、味見。ええ、あくまで、未来の領主様からの、大切なお願いなのですから。任務の一環、と言えなくもありませんわ。
「やったあ!」
ユーノくんは嬉しそうに声を上げると、用意していた小さなクリスタルのグラスに、とくとくと、ルビー色の液体を注ぎます。その光景は、まるで、これから始まる甘美な儀式の、始まりを告げているかのようでした。
エレナさんは、差し出されたグラスを、優雅な仕草で受け取ります。そして、まずはその香りを確かめるように、ゆっくりと鼻を近づけました。ふわり、と鼻腔をくすぐる、濃厚で複雑な甘い香り。それだけで、身体の芯が、とろり、と蕩けてしまいそうです。
「……とても、良い香りですわ。まるで、春の庭園にいるかのよう…」
うっとりとした表情でそう呟くと、彼女は、紅色の液体を、ちびり、と舌に乗せました。
その瞬間、エレナさんの青い瞳が、驚きに見開かれました。
「まあ……!」
口の中に広がったのは、衝撃的なまでの、美味しさの奔流でした。
最初に感じたのは、完熟した葡萄の、凝縮された濃厚な甘み。それが舌の上でとろけたかと思うと、次の瞬間には、木苺を思わせる爽やかな酸味が、味覚のすべてを駆け巡ります。そして、喉を通り過ぎる頃には、蜂蜜のようなまろやかなコクと、微かな花の香りが、官能的な余韻となって鼻腔をくすぐるのでした。ただ美味しいだけではありません。液体そのものに魔力が満ちているのです。一口飲むごとに、体内の魔力が穏やかに活性化し、疲れた身体の隅々まで、温かいエネルギーが満ちていくのを感じます。
「おいしい……。こんなに美味しいお酒、わたくし、生まれて初めていただきましたわ……」
それは、決して誇張ではありませんでした。夫であるニルスと飲む安酒場のエールとも、冒険の祝勝会で飲んだドワーフの火酒とも、そして、師であるアウレリウスに無理やり飲まされた、とても高価な葡萄酒とも、まったく次元が違うのです。それは、もはや飲み物というよりも、魔術によって生み出された、至高の芸術品でした。
「ほんと!? よかったあ!」
自分の作ったものを心から褒められて、ユーノくんは、心の底から嬉しそうに、満面の笑みを浮かべます。そのあまりにも無垢な笑顔に、エレナさんの心は、さらに温かくなるのでした。
「このタルトも、そのお酒に合うように、甘さを少し控えめにして、隠し味に岩塩を少しだけ入れてみたんだ! 一緒に食べると、もっと美味しいよ!」
「まあ、すごい。ユーノ様は、本当にお料理がお上手ですのね。将来は、きっと、たくさんの女性を虜にしてしまいますわ」
「えへへ、そうかな? エレナおねえちゃんが、今夜最初のお客さんだよ!」
そんな、たわいもない会話を交わしながら、エレナさんのグラスは、みるみるうちに空になっていきました。一口だけ、と心に誓ったはずの理性の壁は、この悪魔的な美味しさの前には、あまりにも脆く、はかないものでした。
「おねえちゃん、おかわり、いる?」
「あら、いいのですか? では、もう一杯だけ……♡」
ユーノくんは、エレナさんが美味しそうにお酒を飲む姿が、よほど嬉しいのでしょう。彼女のグラスが空になるのを見計らっては、嬉々として次の杯を注ぎます。エレナさんもまた、その無邪気な好意を無下にはできず、そして何より、この禁断の味の虜になってしまい、断ることができません。
杯を重ねるごとに、エレナさんの身体は、内側からゆっくりと、しかし確実に、熱を帯びていきました。メイド服の下、黒いレースの下着に包まれた肌は、ほんのりと桜色に染まり、じっとりと汗ばみ始めます。黒いドレスの下で、豊かな双丘の先端は、硬く、尖ったまま、絶えず存在を主張していました。
思考は、だんだんと、霧がかかったようにぼんやりとしてきます。目の前で、熱心に地理の教科書の間違い探しをしているユーノくんの、その真剣な横顔が、なんだかとても愛おしく、そして、雄々しく見えてくるのでした。
(まあ……ユーノ様。こんなに小さくて、可愛らしいのに……。こんなに素敵な殿方が、目の前にいらっしゃるなんて……♡)
酔いが回るにつれて、思考はどんどん、あらぬ方向へと滑っていきます。夫ニルスのこと、店の借金のこと、そんな現実的な悩みは、今はもう、頭の片隅にもありません。ただ、この心地よい酩酊感と、目の前の愛らしいご主人様のことだけで、胸がいっぱいになっておりました。
「……おねえちゃん? 顔、まっかだよ? だいじょうぶ?」
心配そうにこちらを覗き込むユーノくんの顔が、やけに近くに見えます。その吐息がかかるほどの距離に、エレナさんの心臓が、どきん、と大きく跳ねました。
「だ、大丈夫ですわよ……♡ わたくし、これでも、お酒には、強い方ですの……ふふっ♡」
呂律が回っていないことにも気づかず、エレナさんは、へにゃり、と蕩けきった笑みを浮かべます。その姿は、もはや威厳ある魔術師ではなく、ただの酔っ払った、男好きのする色っぽい人妻そのものでした。
エレナさんは、慈愛に満ちた聖女のような微笑みを浮かべながら、その実、心の中では、悪魔の囁きにそっと耳を傾けておりました。これは、味見。ええ、あくまで、未来の領主様からの、大切なお願いなのですから。任務の一環、と言えなくもありませんわ。
「やったあ!」
ユーノくんは嬉しそうに声を上げると、用意していた小さなクリスタルのグラスに、とくとくと、ルビー色の液体を注ぎます。その光景は、まるで、これから始まる甘美な儀式の、始まりを告げているかのようでした。
エレナさんは、差し出されたグラスを、優雅な仕草で受け取ります。そして、まずはその香りを確かめるように、ゆっくりと鼻を近づけました。ふわり、と鼻腔をくすぐる、濃厚で複雑な甘い香り。それだけで、身体の芯が、とろり、と蕩けてしまいそうです。
「……とても、良い香りですわ。まるで、春の庭園にいるかのよう…」
うっとりとした表情でそう呟くと、彼女は、紅色の液体を、ちびり、と舌に乗せました。
その瞬間、エレナさんの青い瞳が、驚きに見開かれました。
「まあ……!」
口の中に広がったのは、衝撃的なまでの、美味しさの奔流でした。
最初に感じたのは、完熟した葡萄の、凝縮された濃厚な甘み。それが舌の上でとろけたかと思うと、次の瞬間には、木苺を思わせる爽やかな酸味が、味覚のすべてを駆け巡ります。そして、喉を通り過ぎる頃には、蜂蜜のようなまろやかなコクと、微かな花の香りが、官能的な余韻となって鼻腔をくすぐるのでした。ただ美味しいだけではありません。液体そのものに魔力が満ちているのです。一口飲むごとに、体内の魔力が穏やかに活性化し、疲れた身体の隅々まで、温かいエネルギーが満ちていくのを感じます。
「おいしい……。こんなに美味しいお酒、わたくし、生まれて初めていただきましたわ……」
それは、決して誇張ではありませんでした。夫であるニルスと飲む安酒場のエールとも、冒険の祝勝会で飲んだドワーフの火酒とも、そして、師であるアウレリウスに無理やり飲まされた、とても高価な葡萄酒とも、まったく次元が違うのです。それは、もはや飲み物というよりも、魔術によって生み出された、至高の芸術品でした。
「ほんと!? よかったあ!」
自分の作ったものを心から褒められて、ユーノくんは、心の底から嬉しそうに、満面の笑みを浮かべます。そのあまりにも無垢な笑顔に、エレナさんの心は、さらに温かくなるのでした。
「このタルトも、そのお酒に合うように、甘さを少し控えめにして、隠し味に岩塩を少しだけ入れてみたんだ! 一緒に食べると、もっと美味しいよ!」
「まあ、すごい。ユーノ様は、本当にお料理がお上手ですのね。将来は、きっと、たくさんの女性を虜にしてしまいますわ」
「えへへ、そうかな? エレナおねえちゃんが、今夜最初のお客さんだよ!」
そんな、たわいもない会話を交わしながら、エレナさんのグラスは、みるみるうちに空になっていきました。一口だけ、と心に誓ったはずの理性の壁は、この悪魔的な美味しさの前には、あまりにも脆く、はかないものでした。
「おねえちゃん、おかわり、いる?」
「あら、いいのですか? では、もう一杯だけ……♡」
ユーノくんは、エレナさんが美味しそうにお酒を飲む姿が、よほど嬉しいのでしょう。彼女のグラスが空になるのを見計らっては、嬉々として次の杯を注ぎます。エレナさんもまた、その無邪気な好意を無下にはできず、そして何より、この禁断の味の虜になってしまい、断ることができません。
杯を重ねるごとに、エレナさんの身体は、内側からゆっくりと、しかし確実に、熱を帯びていきました。メイド服の下、黒いレースの下着に包まれた肌は、ほんのりと桜色に染まり、じっとりと汗ばみ始めます。黒いドレスの下で、豊かな双丘の先端は、硬く、尖ったまま、絶えず存在を主張していました。
思考は、だんだんと、霧がかかったようにぼんやりとしてきます。目の前で、熱心に地理の教科書の間違い探しをしているユーノくんの、その真剣な横顔が、なんだかとても愛おしく、そして、雄々しく見えてくるのでした。
(まあ……ユーノ様。こんなに小さくて、可愛らしいのに……。こんなに素敵な殿方が、目の前にいらっしゃるなんて……♡)
酔いが回るにつれて、思考はどんどん、あらぬ方向へと滑っていきます。夫ニルスのこと、店の借金のこと、そんな現実的な悩みは、今はもう、頭の片隅にもありません。ただ、この心地よい酩酊感と、目の前の愛らしいご主人様のことだけで、胸がいっぱいになっておりました。
「……おねえちゃん? 顔、まっかだよ? だいじょうぶ?」
心配そうにこちらを覗き込むユーノくんの顔が、やけに近くに見えます。その吐息がかかるほどの距離に、エレナさんの心臓が、どきん、と大きく跳ねました。
「だ、大丈夫ですわよ……♡ わたくし、これでも、お酒には、強い方ですの……ふふっ♡」
呂律が回っていないことにも気づかず、エレナさんは、へにゃり、と蕩けきった笑みを浮かべます。その姿は、もはや威厳ある魔術師ではなく、ただの酔っ払った、男好きのする色っぽい人妻そのものでした。
0
あなたにおすすめの小説
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる