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13章 ボクっ娘魔術師奥様がとろとろえっちの報告をするおはなし
298:依頼
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翌日、森に入ると、文明世界の匂いは完全に途絶えた。湿った土と腐りかけた落ち葉が発する独特の匂いに混じって、ゴブリン特有の、獣の脂と汚物が入り混じったような悪臭が鼻をつく。ボクはローブの裾を気にしながら、ぬかるんだ道を進んだ。一歩先を行くガラハッドの巨大な背中が、まるで動く壁のようだった。
前哨基地は、天然の洞窟を利用した、思った以上に大規模なものだった。入り口で見張りをしていた二匹のゴブリンを、ボクの闇魔術で音もなく意識と命を刈り取って、いよいよ突入さ。中は薄暗くて、壁に突き立てられた松明の炎が岩肌に揺らめいて、無数のゴブリンの歪な影を巨大な化け物のように踊らせていた。
「嬢ちゃんは下がってな。んで、頃合いを見て派手なのを一発、お見舞いしてやれ」
ガラハッドはそう言うと、獣のような雄叫びを上げて、両手持ちの巨大な戦斧を振り回しながら、ゴブリンの群れに突っ込んでいった。まさに蛮勇。でも、その圧倒的な破壊力は、見ていて惚れ惚れするほどだった。戦斧が振り下ろされるたびに、甲高い悲鳴と、肉が裂け、骨が砕ける生々しい音が洞窟に響き渡る。血飛沫が舞い、鉄錆の匂いが濃くなっていく。
ボクは冷静に戦況を見極め、彼の背後から援護した。指先で虚空に魔法陣を描き、魔力の流れを制御しながら、呪文を紡ぐ。
「――来たれ、水神の怒り。敵を穿つは、氷の槍」
ボクの手のひらから放たれた十数本の鋭い氷の槍が、甲高い風切り音を立てて飛翔し、ガラハッドの死角から彼を狙っていた弓兵たちの喉や心臓を次々と正確に貫いていく。彼はちらりとボクを見て、満足そうに口の端を吊り上げた。その瞬間だった。彼の視線が、魔法を放ったことで大きく開いたローブの胸元に、ほんの一瞬だけ、しかし確かな熱量を持って注がれたのをボクは見逃さなかった。
その視線は、まるで彼の無骨な指みたいに、ボクの肌を直接撫でるような……ねっとりとしたいやらしさがあった。汗で張り付いたブラの下で、乳首がツンと硬く尖っていくのが自分でも分かった。
「あ゛ッ♡んんっ……♡」
まずい、と思った。こんな戦闘の真っ最中に、感じちゃうなんて。でも、彼の猛々しい戦いぶりと、時折向けられる剥き出しの欲望の視線が、ボクの身体をどんどんおかしくしていく。
「はぁ…っ、はぁ…♡だ、めぇ……♡」
乱れる呼吸を整えながら、ボクは洞窟の奥で何やら呪文を唱え始めているゴブリンシャーマンに狙いを定めた。あれが親玉だ。
「――轟け、雷帝の槌。万物を砕く、紫電の光」
ボクの渾身の魔力を込めた、雷魔術。洞窟全体が昼間のように白く輝く閃光に包まれ、鼓膜を破るほどの轟音と共に、紫色の電撃がシャーマンを直撃し、一瞬で黒焦げの肉塊に変えた。オゾンの焼けた匂いが、血の匂いに混じって鼻腔を刺激する。
戦闘が終わった時、ボクたちはゴブリンの緑色の血と、返り血でぐしょぐしょだった。鉄臭い匂いと、アドレナリンの余韻で、頭がくらくらする。静寂を取り戻した洞窟に、ボクたちの荒い息遣いだけが響いていた。
「……やるじゃねえか、嬢ちゃん」
ガラハッドが、汗に濡れた顔で笑う。その笑顔が、なぜかすごく……雄々しく、頼もしく見えた。彼の全身から立ち上る汗と血の匂いが、ボクの理性を麻痺させていく。
「あなたこそ。まるで暴風みたいでしたよ」
軽口を叩きながらも、ボクの声が少し上ずっているのが自分でも分かった。彼の、雄としての圧倒的な存在感に、身体の奥がじんじんと痺れていたんだ。
その日は掃討した洞窟で夜を明かし、翌日、丸一日かけてアストリナへと帰還した。ギルドに戻って、ずしりと重い報酬の金貨の袋を受け取ると、ガラハッドが言った。
「祝杯といくか。今夜は俺の奢りだぜ」
「それなら、ボク、いいお店を知ってますよ」
ボクは、悪戯っぽく微笑んで、こう提案したんだ。
「『眠れる海竜亭』っていうんですけど……ご存知ですか?」
その名前を聞いた瞬間、ガラハッドの目がギラリと光ったのを、ボクは見逃さなかった。あの宿が、客の密会のために分厚い壁と『静寂のルーン』で守られ、どんな目的で使われることが多いのか、彼も知っていたんだ。
「……へっ、そいつはいい。行こうぜ」
彼の低い声には、これから始まる第二ラウンドへの期待が、あからさまに滲んでいた。ギルドを出て、夕暮れの雑踏の中を並んで歩く。隣から香る、汗と血と……それから、雄の匂い。その濃厚な匂いを吸い込むだけで、ボクの身体の奥は、もうじくじくと熱を持って、とろとろに蕩け始めていたんだよ……。
前哨基地は、天然の洞窟を利用した、思った以上に大規模なものだった。入り口で見張りをしていた二匹のゴブリンを、ボクの闇魔術で音もなく意識と命を刈り取って、いよいよ突入さ。中は薄暗くて、壁に突き立てられた松明の炎が岩肌に揺らめいて、無数のゴブリンの歪な影を巨大な化け物のように踊らせていた。
「嬢ちゃんは下がってな。んで、頃合いを見て派手なのを一発、お見舞いしてやれ」
ガラハッドはそう言うと、獣のような雄叫びを上げて、両手持ちの巨大な戦斧を振り回しながら、ゴブリンの群れに突っ込んでいった。まさに蛮勇。でも、その圧倒的な破壊力は、見ていて惚れ惚れするほどだった。戦斧が振り下ろされるたびに、甲高い悲鳴と、肉が裂け、骨が砕ける生々しい音が洞窟に響き渡る。血飛沫が舞い、鉄錆の匂いが濃くなっていく。
ボクは冷静に戦況を見極め、彼の背後から援護した。指先で虚空に魔法陣を描き、魔力の流れを制御しながら、呪文を紡ぐ。
「――来たれ、水神の怒り。敵を穿つは、氷の槍」
ボクの手のひらから放たれた十数本の鋭い氷の槍が、甲高い風切り音を立てて飛翔し、ガラハッドの死角から彼を狙っていた弓兵たちの喉や心臓を次々と正確に貫いていく。彼はちらりとボクを見て、満足そうに口の端を吊り上げた。その瞬間だった。彼の視線が、魔法を放ったことで大きく開いたローブの胸元に、ほんの一瞬だけ、しかし確かな熱量を持って注がれたのをボクは見逃さなかった。
その視線は、まるで彼の無骨な指みたいに、ボクの肌を直接撫でるような……ねっとりとしたいやらしさがあった。汗で張り付いたブラの下で、乳首がツンと硬く尖っていくのが自分でも分かった。
「あ゛ッ♡んんっ……♡」
まずい、と思った。こんな戦闘の真っ最中に、感じちゃうなんて。でも、彼の猛々しい戦いぶりと、時折向けられる剥き出しの欲望の視線が、ボクの身体をどんどんおかしくしていく。
「はぁ…っ、はぁ…♡だ、めぇ……♡」
乱れる呼吸を整えながら、ボクは洞窟の奥で何やら呪文を唱え始めているゴブリンシャーマンに狙いを定めた。あれが親玉だ。
「――轟け、雷帝の槌。万物を砕く、紫電の光」
ボクの渾身の魔力を込めた、雷魔術。洞窟全体が昼間のように白く輝く閃光に包まれ、鼓膜を破るほどの轟音と共に、紫色の電撃がシャーマンを直撃し、一瞬で黒焦げの肉塊に変えた。オゾンの焼けた匂いが、血の匂いに混じって鼻腔を刺激する。
戦闘が終わった時、ボクたちはゴブリンの緑色の血と、返り血でぐしょぐしょだった。鉄臭い匂いと、アドレナリンの余韻で、頭がくらくらする。静寂を取り戻した洞窟に、ボクたちの荒い息遣いだけが響いていた。
「……やるじゃねえか、嬢ちゃん」
ガラハッドが、汗に濡れた顔で笑う。その笑顔が、なぜかすごく……雄々しく、頼もしく見えた。彼の全身から立ち上る汗と血の匂いが、ボクの理性を麻痺させていく。
「あなたこそ。まるで暴風みたいでしたよ」
軽口を叩きながらも、ボクの声が少し上ずっているのが自分でも分かった。彼の、雄としての圧倒的な存在感に、身体の奥がじんじんと痺れていたんだ。
その日は掃討した洞窟で夜を明かし、翌日、丸一日かけてアストリナへと帰還した。ギルドに戻って、ずしりと重い報酬の金貨の袋を受け取ると、ガラハッドが言った。
「祝杯といくか。今夜は俺の奢りだぜ」
「それなら、ボク、いいお店を知ってますよ」
ボクは、悪戯っぽく微笑んで、こう提案したんだ。
「『眠れる海竜亭』っていうんですけど……ご存知ですか?」
その名前を聞いた瞬間、ガラハッドの目がギラリと光ったのを、ボクは見逃さなかった。あの宿が、客の密会のために分厚い壁と『静寂のルーン』で守られ、どんな目的で使われることが多いのか、彼も知っていたんだ。
「……へっ、そいつはいい。行こうぜ」
彼の低い声には、これから始まる第二ラウンドへの期待が、あからさまに滲んでいた。ギルドを出て、夕暮れの雑踏の中を並んで歩く。隣から香る、汗と血と……それから、雄の匂い。その濃厚な匂いを吸い込むだけで、ボクの身体の奥は、もうじくじくと熱を持って、とろとろに蕩け始めていたんだよ……。
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