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14章 ドジっ子くのいち娘が遊郭っぽい施設でたいへんえっちになるおはなし
314:遊郭
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エンブレスに到着して、早くも二週間が過ぎようとしていました。
漆黒の火山岩で築かれた遊郭「黒蝶楼」での生活は、小雪さんがこれまでシノビとして訓練を積んできた人生とは、あまりにもかけ離れたものでした。この二週間で、彼女は五人の男にその身を売りました。客は皆、大陸に名を馳せる大商人や、その素性を隠した貴族ばかり。彼らは一様に、小雪さんの異国情緒あふれる美貌と、決して媚びを売ろうとしない、氷のような態度に強く惹かれ、そのプライドを金と力で蹂躙することに、この上ない悦びを見出しているようでした。夜ごと繰り返される交合は、常に彼女の肉体と精神の限界を試すかのように、夜が明けるまで執拗に続きました。
しかし、彼女が身にまとう、肌の白さを悪意をもって強調するかのような淫靡な浴衣や、客の前で見せる、全てを諦めたかのような奥ゆかしい微笑みは、男たちの歪んだ支配欲と独占欲をさらに煽り、彼女の「商品価値」は、この背徳の街で天井知らずに上がっていく一方だったのです。
不思議なことに、黒蝶楼では、客がいない日は完全に自由時間でした。小雪さんは、その時間を使い、「散策」と称してエンブレスの街をくまなく探索していました。湯気が立ち込める歓楽街の裏路地にある、賭場を兼ねた薄汚れた酒場で、それとなく他の遊女やごろつきから情報を集める。複雑に入り組んだ街の構造と、地下に張り巡らされたという秘密の通路の存在を、その記憶に寸分の狂いもなく叩き込む。そして、この街を牛耳る人身売買組織の情報を、慎重に、そして粘り強く探る。それこそが、彼女に課せられた、シノビとしての本来の任務でした。
幸いなことに、若き主君ユーノくんが作り出した妙薬「ちゃんとげんきになるぽーしょん」は、彼女の生命力を根源から活性化させ、その魔力循環を常に限界まで活性化した状態に保っていました。そのため、どれほど激しく蹂躙された夜の後でも、翌朝には身体の疲労は嘘のように消え去り、任務を続行することができたのです。しかし、その恩恵には、あまりにも甘く、そして呪わしい代償が伴いました。
エンブレスの街全体に漂う、温泉の硫黄の匂いに混じった、むせ返るような淫靡な空気。それは、媚薬に蝕まれた小雪さんの身体には、あまりにも刺激が強すぎました。男たちの欲望の魔力が、湯気と共に肌を撫でるたび、妙薬の効果はさらに増幅され、任務中であるにもかかわらず、彼女の身体はふとした瞬間にじわりと熱を帯び、下腹部の奥がきゅう、と甘く疼いてしまうのです。しかし、そんな身体の変化も、もはや彼女にとっては、受け入れるしかない日常の一部分となりつつありました。
「ユキちゃん、今日のお客さまは、どこかの大貴族のお坊っちゃまだって! ずっと前からユキちゃんのこと、お噂で聞いてて、すごく楽しみにしていたみたいよ?」
お世辞にも上品とは言えない、しかし金糸銀糸がふんだんに使われた華美な意匠の部屋で、小雪さんが鏡の前に座っていると、着付けを手伝ってくれていた同僚の女性が、きゃっきゃっと弾むような明るい声で話しかけてきました。
「まぁ、そうですか。それは光栄ですわ。でも、サキさん。この着物、少し丈が短いように思いますけれど、これで本当にあっているんでしょうか?」
小雪さんは、胸元がはだけるのを気にするように、深紅の地に金色の蝶が舞う、美しい浴衣の襟元をそっと押さえながら、同僚に問いかけます。その生地は、東方の国で最高級とされる正絹にも劣らない滑らかさでしたが、裾は太ももが半分以上も露わになるほど短く、袖もまた、動くたびに白い腕が覗くように、わざと短く仕立てられていました。それは、故郷の国では決して見ることのない、ただ男の欲望を煽るためだけに作られた、あまりにも扇情的な意匠だったのです。
「ええ、もちろんよ! ユキちゃんのその、雪みたいに白い肌と、綺麗な胸の谷間が、ちらちらって見えるようにって、親方様がこの街一番の衣装屋に作らせた、特別な一点物なんですもの。それに、この深紅の色は、ユキちゃんの艶やかな黒髪に、とってもよく似合っているわ!」
サキと呼ばれた同僚は、にこにこと無邪気に答えました。彼女もまた、この街に「商品」として連れてこられた一人のはずでした。しかし、この街の女性たちは皆、まるで悪夢の中にいることさえ忘れ、ただ目の前の刹那的な幸福だけを追い求めるかのように、いつも幸せそうに笑っているのでした。
その無邪気な笑顔の奥に、いつか自分もどこかへ「出荷」されるのだという、漠然とした恐怖が隠されていることを、小雪さんは知っていました。自分もいつか、この街を出て、任務を再開できる日が来るのだろうか。その、あまりにもかすかな希望だけが、かろうじて彼女の心をこの場所に繋ぎとめていました。
客を待つ焦燥感と、今日はいったいどんな陵辱を受けるのだろうかという倒錯した期待。そして、故郷に残した許嫁への、消えることのない罪悪感。それらの感情が、小雪さんの心を激しく掻き乱し、鏡に映る自分の顔が、まるで知らない女のもののように見えました。
漆黒の火山岩で築かれた遊郭「黒蝶楼」での生活は、小雪さんがこれまでシノビとして訓練を積んできた人生とは、あまりにもかけ離れたものでした。この二週間で、彼女は五人の男にその身を売りました。客は皆、大陸に名を馳せる大商人や、その素性を隠した貴族ばかり。彼らは一様に、小雪さんの異国情緒あふれる美貌と、決して媚びを売ろうとしない、氷のような態度に強く惹かれ、そのプライドを金と力で蹂躙することに、この上ない悦びを見出しているようでした。夜ごと繰り返される交合は、常に彼女の肉体と精神の限界を試すかのように、夜が明けるまで執拗に続きました。
しかし、彼女が身にまとう、肌の白さを悪意をもって強調するかのような淫靡な浴衣や、客の前で見せる、全てを諦めたかのような奥ゆかしい微笑みは、男たちの歪んだ支配欲と独占欲をさらに煽り、彼女の「商品価値」は、この背徳の街で天井知らずに上がっていく一方だったのです。
不思議なことに、黒蝶楼では、客がいない日は完全に自由時間でした。小雪さんは、その時間を使い、「散策」と称してエンブレスの街をくまなく探索していました。湯気が立ち込める歓楽街の裏路地にある、賭場を兼ねた薄汚れた酒場で、それとなく他の遊女やごろつきから情報を集める。複雑に入り組んだ街の構造と、地下に張り巡らされたという秘密の通路の存在を、その記憶に寸分の狂いもなく叩き込む。そして、この街を牛耳る人身売買組織の情報を、慎重に、そして粘り強く探る。それこそが、彼女に課せられた、シノビとしての本来の任務でした。
幸いなことに、若き主君ユーノくんが作り出した妙薬「ちゃんとげんきになるぽーしょん」は、彼女の生命力を根源から活性化させ、その魔力循環を常に限界まで活性化した状態に保っていました。そのため、どれほど激しく蹂躙された夜の後でも、翌朝には身体の疲労は嘘のように消え去り、任務を続行することができたのです。しかし、その恩恵には、あまりにも甘く、そして呪わしい代償が伴いました。
エンブレスの街全体に漂う、温泉の硫黄の匂いに混じった、むせ返るような淫靡な空気。それは、媚薬に蝕まれた小雪さんの身体には、あまりにも刺激が強すぎました。男たちの欲望の魔力が、湯気と共に肌を撫でるたび、妙薬の効果はさらに増幅され、任務中であるにもかかわらず、彼女の身体はふとした瞬間にじわりと熱を帯び、下腹部の奥がきゅう、と甘く疼いてしまうのです。しかし、そんな身体の変化も、もはや彼女にとっては、受け入れるしかない日常の一部分となりつつありました。
「ユキちゃん、今日のお客さまは、どこかの大貴族のお坊っちゃまだって! ずっと前からユキちゃんのこと、お噂で聞いてて、すごく楽しみにしていたみたいよ?」
お世辞にも上品とは言えない、しかし金糸銀糸がふんだんに使われた華美な意匠の部屋で、小雪さんが鏡の前に座っていると、着付けを手伝ってくれていた同僚の女性が、きゃっきゃっと弾むような明るい声で話しかけてきました。
「まぁ、そうですか。それは光栄ですわ。でも、サキさん。この着物、少し丈が短いように思いますけれど、これで本当にあっているんでしょうか?」
小雪さんは、胸元がはだけるのを気にするように、深紅の地に金色の蝶が舞う、美しい浴衣の襟元をそっと押さえながら、同僚に問いかけます。その生地は、東方の国で最高級とされる正絹にも劣らない滑らかさでしたが、裾は太ももが半分以上も露わになるほど短く、袖もまた、動くたびに白い腕が覗くように、わざと短く仕立てられていました。それは、故郷の国では決して見ることのない、ただ男の欲望を煽るためだけに作られた、あまりにも扇情的な意匠だったのです。
「ええ、もちろんよ! ユキちゃんのその、雪みたいに白い肌と、綺麗な胸の谷間が、ちらちらって見えるようにって、親方様がこの街一番の衣装屋に作らせた、特別な一点物なんですもの。それに、この深紅の色は、ユキちゃんの艶やかな黒髪に、とってもよく似合っているわ!」
サキと呼ばれた同僚は、にこにこと無邪気に答えました。彼女もまた、この街に「商品」として連れてこられた一人のはずでした。しかし、この街の女性たちは皆、まるで悪夢の中にいることさえ忘れ、ただ目の前の刹那的な幸福だけを追い求めるかのように、いつも幸せそうに笑っているのでした。
その無邪気な笑顔の奥に、いつか自分もどこかへ「出荷」されるのだという、漠然とした恐怖が隠されていることを、小雪さんは知っていました。自分もいつか、この街を出て、任務を再開できる日が来るのだろうか。その、あまりにもかすかな希望だけが、かろうじて彼女の心をこの場所に繋ぎとめていました。
客を待つ焦燥感と、今日はいったいどんな陵辱を受けるのだろうかという倒錯した期待。そして、故郷に残した許嫁への、消えることのない罪悪感。それらの感情が、小雪さんの心を激しく掻き乱し、鏡に映る自分の顔が、まるで知らない女のもののように見えました。
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