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14章 ドジっ子くのいち娘が遊郭っぽい施設でたいへんえっちになるおはなし
315:遊郭
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「本日のお相手は、さる大貴族のご子息、ユーゴ様でございます」
今日の客は、一見すればどこにでもいるような、軽薄そうな色男でした。煌びやかな絹のシャツに身を包み、濡れたように艶のある浅黒い髪をオールバックにした、いかにも遊び慣れているといった雰囲気の男です。この街の強力な認識阻害魔法の影響で、その顔は白い靄がかかったようにぼんやりとしていますが、そのすらりとした背格好、そして何より、どこかあどけなさを残しながらも、聞く者の心を蕩かすようなその甘い声の響きは、小雪さんがかつて世話係として仕えた若き領主、ユーノくんを強く彷彿とさせました。思わず、心臓がきゅう、と甘く締め付けられるのを感じます。
「へぇ、これが噂の『黒蝶』さんか。噂に違わず、こりゃあ、たまんねぇや」
ねっとりと絡みつくような視線が、小雪さんの全身を舐めるように這い、男の言葉に、彼女はいつものように完璧な営業用の愛想笑いを浮かべてみせました。
「ようこそ、いらっしゃいました。本日は、わたくしめをご指名くださり、誠にありがとうございます」
男は、小雪さんの奥ゆかしい仕草に満足したように頷くと、懐から一枚の木札を取り出しました。それは、この黒蝶楼で女を指名し、特別な品物を要求するための、黒檀で作られた豪奢な札でした。
「実はな、ユキに似合うと思って、これを持ってきたんだ」
男が差し出した木札を見た同僚が、恭しくそれを受け取り奥の衣装部屋から取り出してきたのは、東方の国でもごく一部の貴族しか手にすることができない、最高級の麻を魔力で織り上げたという、世にも美しい浴衣でした。夜の闇を写し取ったかのような鮮やかな藍色の生地に、純白の牡丹の花が刺繍されており、その花弁の縁には砕いた月光石が縫い込まれ、部屋の魔導灯の光を浴びてチラチラと幻想的な光を放っています。それは、ただの衣服というより、もはや一つの芸術品と呼ぶべき逸品でした。
「わぁ……、なんて素敵なお着物なのでしょう。これを着て、今日はわたくしと逢瀬を?」
「そういうこった。さあ、着替えてくれよ、ユキ。君のために用意したんだからな」
男の言葉に、小雪さんは、これから始まる甘美な地獄を予感しながら、小さく、そして従順に頷きました。
◇◇◇
小雪さんは、別室で男から贈られた浴衣に着替えました。
先ほどまで身に着けていた、深紅の華美な着物を脱ぎ捨て、新しく袖を通す浴衣は、ひんやりと肌に吸い付くようでした。生地は、最高級の麻繊維一本一本に、魔力を通しながら丁寧に織り上げたもので、その滑らかな肌触りは、まるで天女の羽衣のようです。指先でそっと撫でるだけで、その感触にゾクゾクと背筋が震え、身体の芯が熱を帯びていくのが分かりました。
そして、浴衣を着る際には、下着を一切身に着けないのが、この黒蝶楼での「お約束」でした。裸の上に、この涼やかな一枚をただ纏う。その、あまりにも無防備で背徳的な行為が、小雪さんの身体の奥底から込み上げてくる熱を、一層強くしました。
鏡に映る自分の姿は、まるで知らない女のようでした。普段は任務のため、華奢な身体の線を隠すような服ばかり着ていましたが、この浴衣は、彼女の身体の曲線、特に、まだ少女の面影を残しながらも豊かに膨らんだ胸や、きゅっとくびれた腰、そしてそこから続く丸みを帯びた臀部のラインを、まるで芸術品を誇示するかのように、いやらしく、そして美しく強調していました。足が妙に露出しやすく仕立てられているのも、客の視線を、その一番いやらしい場所に釘付けにしたいという、作り手の悪意に満ちているようでした。
鏡の中の自分を、まじまじと見つめます。艶やかな黒髪は、背中の中央まで流れ落ち、浴衣の藍色と、むき出しになったうなじの白い肌との間で、官能的な対比を描いています。いつもの冷徹なシノビとしての表情は、妙薬と度重なる陵辱によって完全に剥がれ落ち、どこか熱に浮かされたように、とろんと潤んだ瞳をしていました。その瞳は、まるでこれから起こるであろう、甘美な地獄を待ち望んでいるかのようです。
きゅううぅん、と下腹部の奥が愛らしく収縮し、秘裂からはもう、止めどなく蜜が溢れ出してきていました。熱く、ねっとりとした粘液が、太ももの内側をゆっくりと伝い、膝の裏を過ぎて、冷たい床にぽたぽたと滴り落ちそうなほどの量でした。
(だ、だめぇ…っ♡ こんなことで、こんなに、興奮しちゃ…♡♡)
心の中で、故郷に残してきた許嫁、早瀬くんのことを思い浮かべます。彼の朴訥で優しい笑顔。自分を大切にしてくれた、あの温かい思い出。しかし、その清らかな思い出は、目の前に広がる淫靡な現実と、それに正直すぎるほど反応してしまう自分の身体のせいで、すぐに色褪せ、霞んでいきました。鋭い針のような罪悪感が、ちくり、と胸を刺します。それでも、身体の奥底からマグマのように突き上げてくる、抗いがたい熱の奔流が、小雪さんの思考を鈍らせ、全身の神経をじゅくじゅくと快楽で満たしていくのでした。
今日の客は、一見すればどこにでもいるような、軽薄そうな色男でした。煌びやかな絹のシャツに身を包み、濡れたように艶のある浅黒い髪をオールバックにした、いかにも遊び慣れているといった雰囲気の男です。この街の強力な認識阻害魔法の影響で、その顔は白い靄がかかったようにぼんやりとしていますが、そのすらりとした背格好、そして何より、どこかあどけなさを残しながらも、聞く者の心を蕩かすようなその甘い声の響きは、小雪さんがかつて世話係として仕えた若き領主、ユーノくんを強く彷彿とさせました。思わず、心臓がきゅう、と甘く締め付けられるのを感じます。
「へぇ、これが噂の『黒蝶』さんか。噂に違わず、こりゃあ、たまんねぇや」
ねっとりと絡みつくような視線が、小雪さんの全身を舐めるように這い、男の言葉に、彼女はいつものように完璧な営業用の愛想笑いを浮かべてみせました。
「ようこそ、いらっしゃいました。本日は、わたくしめをご指名くださり、誠にありがとうございます」
男は、小雪さんの奥ゆかしい仕草に満足したように頷くと、懐から一枚の木札を取り出しました。それは、この黒蝶楼で女を指名し、特別な品物を要求するための、黒檀で作られた豪奢な札でした。
「実はな、ユキに似合うと思って、これを持ってきたんだ」
男が差し出した木札を見た同僚が、恭しくそれを受け取り奥の衣装部屋から取り出してきたのは、東方の国でもごく一部の貴族しか手にすることができない、最高級の麻を魔力で織り上げたという、世にも美しい浴衣でした。夜の闇を写し取ったかのような鮮やかな藍色の生地に、純白の牡丹の花が刺繍されており、その花弁の縁には砕いた月光石が縫い込まれ、部屋の魔導灯の光を浴びてチラチラと幻想的な光を放っています。それは、ただの衣服というより、もはや一つの芸術品と呼ぶべき逸品でした。
「わぁ……、なんて素敵なお着物なのでしょう。これを着て、今日はわたくしと逢瀬を?」
「そういうこった。さあ、着替えてくれよ、ユキ。君のために用意したんだからな」
男の言葉に、小雪さんは、これから始まる甘美な地獄を予感しながら、小さく、そして従順に頷きました。
◇◇◇
小雪さんは、別室で男から贈られた浴衣に着替えました。
先ほどまで身に着けていた、深紅の華美な着物を脱ぎ捨て、新しく袖を通す浴衣は、ひんやりと肌に吸い付くようでした。生地は、最高級の麻繊維一本一本に、魔力を通しながら丁寧に織り上げたもので、その滑らかな肌触りは、まるで天女の羽衣のようです。指先でそっと撫でるだけで、その感触にゾクゾクと背筋が震え、身体の芯が熱を帯びていくのが分かりました。
そして、浴衣を着る際には、下着を一切身に着けないのが、この黒蝶楼での「お約束」でした。裸の上に、この涼やかな一枚をただ纏う。その、あまりにも無防備で背徳的な行為が、小雪さんの身体の奥底から込み上げてくる熱を、一層強くしました。
鏡に映る自分の姿は、まるで知らない女のようでした。普段は任務のため、華奢な身体の線を隠すような服ばかり着ていましたが、この浴衣は、彼女の身体の曲線、特に、まだ少女の面影を残しながらも豊かに膨らんだ胸や、きゅっとくびれた腰、そしてそこから続く丸みを帯びた臀部のラインを、まるで芸術品を誇示するかのように、いやらしく、そして美しく強調していました。足が妙に露出しやすく仕立てられているのも、客の視線を、その一番いやらしい場所に釘付けにしたいという、作り手の悪意に満ちているようでした。
鏡の中の自分を、まじまじと見つめます。艶やかな黒髪は、背中の中央まで流れ落ち、浴衣の藍色と、むき出しになったうなじの白い肌との間で、官能的な対比を描いています。いつもの冷徹なシノビとしての表情は、妙薬と度重なる陵辱によって完全に剥がれ落ち、どこか熱に浮かされたように、とろんと潤んだ瞳をしていました。その瞳は、まるでこれから起こるであろう、甘美な地獄を待ち望んでいるかのようです。
きゅううぅん、と下腹部の奥が愛らしく収縮し、秘裂からはもう、止めどなく蜜が溢れ出してきていました。熱く、ねっとりとした粘液が、太ももの内側をゆっくりと伝い、膝の裏を過ぎて、冷たい床にぽたぽたと滴り落ちそうなほどの量でした。
(だ、だめぇ…っ♡ こんなことで、こんなに、興奮しちゃ…♡♡)
心の中で、故郷に残してきた許嫁、早瀬くんのことを思い浮かべます。彼の朴訥で優しい笑顔。自分を大切にしてくれた、あの温かい思い出。しかし、その清らかな思い出は、目の前に広がる淫靡な現実と、それに正直すぎるほど反応してしまう自分の身体のせいで、すぐに色褪せ、霞んでいきました。鋭い針のような罪悪感が、ちくり、と胸を刺します。それでも、身体の奥底からマグマのように突き上げてくる、抗いがたい熱の奔流が、小雪さんの思考を鈍らせ、全身の神経をじゅくじゅくと快楽で満たしていくのでした。
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