剣と魔法の世界で冒険はそこそこにして色々なお仕事の女の子達がはちゃめちゃにえっちなことになるお話

アレ

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15章 宿屋娘が憧れの先輩と一緒にどろどろえっちになってしまうお話

358:死者

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部屋の隅の椅子では、ご主人様であるユーノくんが、何事もなかったかのように、分厚い魔導書を熱心に読みふけっておりました。二人が身じろぎしたことに気づくと、彼はぱたんと本を閉じ、とたとたと可愛らしい足音を立てて駆け寄ってきます。その小さな手には、緑色に輝く液体で満たされたポーションの小瓶が二本、握られておりました。

「あ、おねえちゃんたち、おはよ! すごく頑張ってくれたから、疲れちゃったでしょ? これ、飲んでね」

差し出されたのは、どうやら普通の、しかし極めて品質の高い治癒のポーションのようでした。二人は、まだ夢現つの頭でそれを受け取ると、こくこくと一気に飲み干し、ようやく一つ、安堵のため息をついたのでした。

「……それにしても、ユーノ様」

しばらくして、落ち着きを取り戻したエレナさんが、少し考え込むようにして、口火を切りました。

「わたくしから提案しておいて、なんといいますか、ユーノ様の、その、夜間の付き添いというのは、少々、無理があるように思いますわ。あなた様はあまりお気になさっていないようですが、このままでは、わたくしたち、本当に懐妊してしまいます。…ですが、あの死霊魔術の気配も、やはり無視することはできません」

「だから、お願いです。教えていただけませんか? あの、冷たくて、知的な魔力の気配の、本当の原因を」

真剣な眼差しでそう問いかけるエレナさんに、ユーノくんは、こてん、と不思議そうに首を傾げました。

「だから、あれはやっぱり、夢の中のひいじいちゃんの、特訓なんだってば!」

納得しない二人の様子に、ユーノくんは、やれやれ、とでも言うように、しかたないなぁ、と呟きました。そして、部屋の中央に立つと、すう、と息を吸い込んで魔力を集中させ、まるで近所のおじいちゃんを呼ぶかのように、天井に向かって呼びかけたのです。

「おーい、ひいじいちゃーん! ちょっと、出てきてよー!」

その瞬間、部屋の空気が、まるで真冬の氷のように、一瞬で凍りつきました。床、壁、天井の至る所に、エレナさんですら見たこともない、古代帝国の紋様を思わせる、禍々しくも美しい幾何学模様の魔法陣が、紫色の燐光を放ちながら次々と浮かび上がります。濃厚な、墓所の奥から漂ってくるような死の匂いと、圧倒的な魔力の圧力が、二人の柔肌をひりひりと刺しました。やがて、魔法陣の中心から、まるで闇そのものが人の形をとったかのように、一体のアンデッドが、ゆっくりと姿を現したのです。それは、かつて「アストリナの怪物」と恐れられた、リッチと化した先々代領主、その人でした。

「やかましいわ、ユーノ! 何度言ったらわかるんじゃ! 昼間に儂を呼び出すなと! ただでさえ無駄に魔力を使うというのに! どうしてもと言うなら、そこの女どもとの子作りが終わった、夜に呼べと言っておるじゃろうが!」

開口一番、先々代領主は、ひ孫であるユーノくんに、がみがみと小言を垂れ始めました。その、あまりにも俗物的な物言いに、エレナさんとリリアさんは、ただあっけにとられて、声も出せないのでした。

「ごめんごめん。でも、このおねえちゃんたちが、ひいじいちゃんに用事があるみたいなんだ」
「ほう? 儂にか? ……なるほどのう。お主ら、ユーノの側室になったのか。よかろう。儂に頼み事があるなら聞くが、どうせ不死化でもしてほしいのじゃろう? よいよい、そのくらい、訳はないわ」

そう言って、リッチはカカカ、と骨の顎を鳴らして笑いました。

その言葉で、エレナさんとリリアさんは、すべてを理解いたしました。ユーノくんに、あの悪魔的な古代魔術の知識を授けていたのは、このリッチと化した先々代領主だったのです。死霊魔術の気配は、彼の指導に伴うものだったのでございましょう。幸い、彼らに世界をどうこうしようというような、邪悪な意図はなさそうです。二人に課せられた本来の任務は、これで一応、完了したことになります。

エレナさんは、そっとリリアさんへと視線を送りました。リリアさんもまた、眼鏡の奥の潤んだ瞳で、静かに先輩を見つめ返します。言葉はなくとも、二人の心は通じ合っておりました。本来の任務は終わった。しかし、この城を去るという選択肢は、もはやどちらの心にも存在しない。互いの瞳に、同じ背徳的な決意の色と、若きご主人様への抗いがたい思慕の光が宿っているのを確認すると、二人はどちらからともなく、小さく、しかし確かな頷きを交わしたのでした。共犯者としての、新たな、そしてより深い絆が結ばれた瞬間でございました。

幸い家庭教師という大義名分は、まだまだ使うことができます。死霊魔術の気配の理由は、魔術師ギルドマスターアウレリウスには「不明のまま」と報告し、この甘美で背徳的な日常を、もう少しだけ続けることにしたのでした。
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