剣と魔法の世界で冒険はそこそこにして色々なお仕事の女の子達がはちゃめちゃにえっちなことになるお話

アレ

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15章 宿屋娘が憧れの先輩と一緒にどろどろえっちになってしまうお話

359:死者

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「ところでさ、リリアお姉ちゃん」

話が一段落したところで、ユーノくんは思い出したようにリリアさんの方を向きました。

「遠見の魔術で、探してほしい人がいるんだけど、お願いできるかな?」
「ええ、もちろんですわ、ユーノ様。その方の、髪の毛や爪の先など、身体の一部がございましたら、たとえ大陸の果てにいらっしゃろうとも、探し出すことが可能ですわ」

その言葉を聞いたユーノくんは、ぱあっと顔を輝かせると、自室の奥から、大切そうに一つの小瓶を持ってきました。中には、夜の闇を溶かし込んだかのような、一本の艶やかな黒髪が、まるで守られているかのように、静かに納まっています。それは間違いなく、もう一人の、彼の大切なお嫁様である、黒羽・小雪さんのものでした。

「よかった! じゃあ、小雪おねえちゃんを探しに行こうと思うから、二人とも、手伝ってね!」

にっこりと、満面の笑みを浮かべるユーノくん。
「やれやれ、人使いの荒いひ孫じゃわい」と、どこか楽しそうに笑う先々代領主。
そして、これから始まるであろう、新たなトラブルの予感に、思わず二人で顔を見合わせ、深いため息をつくエレナさんとリリアさん。

三人の美しき獲物を手に入れた、若きご主人様の、次なる冒険が、今まさに、始まろうとしていたのです。

◇◇◇

港湾要塞都市アストリナの富裕層が住まう丘陵地区。その一角に、夜空の星々を観測するために建てられたという黒曜石造りの巨大な塔「星見の塔」が、陽光を浴びて冷たく輝いています。そしてアストリナ魔術師ギルドの本拠地であるその塔の、最も深く、そして最も冷たい場所。地下特別書庫室は、まさに知の墓所と呼ぶにふさわしい場所でした。

ひんやりとした空気に満たされたその部屋には、鞣された人皮の装丁が施された禁断の魔導書や、得体の知れない生物の臓器が浮かぶ保存液の瓶、古代遺跡から発掘されたまま鑑定もされずに打ち捨てられた呪具の類が、無秩序に、しかしある種の法則性をもって山と積まれています。空気は、乾燥した羊皮紙の匂いと、錬金術の失敗作が放つ微かな硫黄の香り、そして壁を伝う地下水が運んでくる湿った土の匂いが混じり合い、独特の陰鬱な雰囲気を醸し出しているのでした。

そんな、訪れる者の正気さえも蝕みかねない混沌の中心で、二人の男が、卓上に浮かぶ一つの水晶玉を、静かに見つめておりました。

一人は、この魔術師ギルドの主、アウレリウス・フォン・リーゼンフェルト。百歳を超える齢を魔術で壮年の頃のままに留めた大魔術師は、スラムのチンピラのようなぼろぼろの衣服をまとい、悪趣味な銀のアクセサリーをじゃらじゃらと鳴らしながら、安物の椅子に深く腰掛けています。

そしてもう一人は、冒険者ギルドの主、ディーチェ・アシュワース。恰幅の良いその身体を高級な絹の衣服に包み、抜け目のない瞳で水晶玉の光景を見つめるその姿は、ギルドマスターというよりは、むしろ老獪な大商人のようです。

水晶玉に映し出されていたのは、ほんの少し前まで領主邸の一室で繰り広げられていた、あまりにも常軌を逸した光景の顛末でした。若き領主ユーノくんと、二人の美しき家庭教師。そして、突如としてその場に召喚された、リッチと化した先々代領主。その、喜劇とも悲劇ともつかぬやり取りのすべてを、二人のギルドマスターは、この地下室から「遠見の水晶」を介して、一部始終、観察していたのです。

やがて、水晶玉の中で物語が一つの区切りを迎え、ユーノくんが新たな冒険への決意を口にしたところで、アウレリウスが、ふう、と紫煙を燻らせながら、重い沈黙を破りました。

「……おい、若造。てめえ、知ってただろ」

その声は、非難というよりは、むしろ呆れと諦めが混じった、ひどく疲れた色を帯びておりました。アウレリウスの切れ長の目が、侮蔑するようにアシュワースに向けられます。

「先々代のジジイが、お前の師匠だったことは俺も知ってる。あそこまで高位の死霊術の気配だ。あのおぞましい魔力の波長は、間違いなくあのジジイのものだ。てめえが知らねえわけがねえんだよ」

アウレリウスの言葉には、確信がありました。死霊術は、術者の魂の波長、いわば「魔力の指紋」とも言うべきものが色濃く残ります。遠くアストール家の血を引くアシュワースが、自らの師の魔力に気づかぬはずがないのです。

その、有無を言わせぬ指摘に対し、アシュワースは、やれやれ、とでも言うように肩をすくめると、その恰幅の良い顔に、苦笑ともとれる笑みを浮かべました。

「まあ、何となくは想像していがね。あの規格外の魔術的才能なら死霊術だろうと習得できるだろう。普通の人間が独学でどうこうできるレベルではない。師が道楽で、血の繋がったひ孫に目をかけたんだろうさ」
そう言うと、彼は楽しそうに続けます。
「しかし、いやはや、見事なもんだな。アウレリウス。エレナ君もリリア君も、ものの見事にあの若君に食われてしまったと見える。これで、あんたの可愛い弟子も、とうとう年貢の納め時ですかな? 教授?」

アシュワースの言葉には、からかいの色が滲んでおりました。彼が、アウレリウスとエレナの、師弟以上の関係を知っていることは明らかでした。酔った彼女を介抱するふりをして、その豊満な肉体を時折慰みものにしている、アウレリウスの悪癖を。

「……さて、どうするつもりだね? あの若様を、このまま野放しにしておくつもりかな?」
アシュワースの問いかけに、アウレリウスは、ちっ、と忌々しげに舌打ちをすると、興味がなさそうに首を横に振りました。

「別に、女には困ってねえよ。それに、領主亭に、あれだけ太いコネクションができるんだ。魔術師ギルドとしても、悪い話じゃねえさ」
そう、これは取引なのです。ユーノくんという、計り知れない才能を確保し、その寵愛を受ける弟子たちを繋ぎとして利用する。それは、アストリナの魔術師ギルドにとって、計り知れない利益をもたらす可能性を秘めていました。
「しばらくは泳がせて、様子を見ることにするさ」

その、あまりにも俗物的な答えに、アシュワースは満足げに頷きました。

「それは結構。と言いたいところだがね。困ったことに、エレナ君に個人的に依頼したい案件があったんだがな。今の彼女に頼むのは、少々、野暮ってもんだろうな」
そう言うと、彼は少しだけ真剣な表情になり、本題を切り出しました。
「そこでだ、アウレリウス。一人、腕利きの魔術師を紹介してもらいたい。古代魔法、特に古代遺跡の結界解除や、呪詛の鑑定に詳しい奴が望ましい」

アシュワースが語った依頼内容。それは、先日の休暇で彼が発見した、はるか南の群島国家ソル・マレイに眠る古代神殿遺跡の本格的な合同調査でした。内部は水没し、危険な魔物と古代の封印が幾重にも施されているというその遺跡は、冒険者ギルドが極秘で進めている大規模プロジェクトなのだと言います。

「南の島、ねえ……」

アウレリウスは、少しだけ考える素振りを見せると、やがて、にやり、と口の端を吊り上げました。その脳裏に、一人の、極めて優秀で、そして極めて扱いにくい、美しい姉弟子の顔が浮かんでいたのです。

「……わかった。それなら、リノアに声をかけてみよう。あいつなら、うってつけだ」

その名を聞いたアシュワースの目が、面白いものを見つけたかのように、きらり、と光りました。ポーション屋「月影の雫」の若き奥様にして、アウレリウスの高弟。水の魔術と古代魔術の扱いに長けた、あの食えない女魔術師。彼女ならば、この困難な任務を遂行できるやもしれません。

こうして、二人のギルドマスターの密談は、静かに終わりを告げました。しかし、それは、新たな物語が、アストリナの地下深くで、静かに、そして確かに、胎動を始めた瞬間でもあったのです。

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