剣と魔法の世界で冒険はそこそこにして色々なお仕事の女の子達がはちゃめちゃにえっちなことになるお話

アレ

文字の大きさ
27 / 370
2章 人妻魔術師の冒険とはっちゃめちゃになるお話

23:討伐

しおりを挟む
レッドキャップどもは、獲物を見つけた飢えた狼のように、あるいは腐肉に群がるハイエナのように、奇声を上げながら、一直線にガラハッドへと殺到した。その動きは、ゴブリン特有の素早さに加え、狂気に満ちた獰猛さを伴っており、油断すれば一瞬で切り刻まれてしまうだろう。

『させません!』

エレナは、恐怖を押し殺し、杖を力強く振り上げた。彼女の足元から、渦巻くように風が巻き起こり、周囲の枯れ葉や砂塵を舞い上げる。マナが、彼女の身体を通じ、杖の先端に集束していく。杖に嵌め込まれた小さな風のエレメンタル・クリスタルが、淡い翠色の光を放ち始めた。

「風よ、集いて刃となり、敵を切り裂け! 」

エレナの凛とした声と共に、杖先から不可視の風の刃が、鋭い呼気を伴って放たれた。シュンッ、と空気を切り裂く音が響き、それはまるで熟練の剣士が放つ斬撃のように、先頭を走っていたレッドキャップの一匹の喉元を正確に捉えた。ブシュッ、と鈍い、湿った音が響き渡る。赤黒い血飛沫が、まるで噴水のように勢いよく舞い上がり、小鬼は奇声すら上げることなく、前のめりに崩れ落ちた。その断面からは、どす黒い血と共に、断ち切られた気管や血管が覗いていた。

『やるじゃねえか、姐さん! 見直したぜ!』

ガラハッドが、獰猛な、しかしどこか満足げな笑みを浮かべて叫んだ。彼は、残りの四匹のレッドキャップどもを真正面から受け止め、その巨体と両手剣で、まるで難攻不落の城壁のように立ち塞がる。ガキンッ! ギャリンッ! ギィンッ! と、レッドキャップどもの錆びた武器が、ガラハッドの分厚い革鎧や、巧みに捌かれる両手剣の腹に弾かれる、甲高い金属音が森の中に響き渡る。ガラハッドは、一歩も引くことなく、その圧倒的な膂力と技量で、複数の敵を同時に相手にしていた。

その隙を見逃さず、茂みに潜んでいたロキが、音もなくレッドキャップどもの背後に回り込んでいた。彼の動きは、まるで影が地面を滑るかのように素早く、そして捉えどころがない。腰の鞘から引き抜かれた二本の短剣――その刃には、おそらく麻痺毒か、あるいは致死性の猛毒が塗られているのだろう、鈍い緑色の光沢が見える――が、闇夜に煌めく毒蛇の牙のように、レッドキャップどもの防御の薄い首筋や、鎧の隙間である脇腹へと、次々と突き立てられていく。

『ハハッ、雑魚が! 俺様の毒の前では、赤子同然だぜ!』

ロキの下卑た笑い声と共に、レッドキャップどもが、甲高い悲鳴とも、苦悶の呻きともつかない声を上げて、次々とその場に崩れ落ちていく。毒が回ったのか、その身体は不自然に痙攣し、口からは泡を吹いていた。

しかし、その時だった。一匹のレッドキャップが、ガラハッドの防御網を巧みにすり抜け、エレナへと向かって突進してきたのだ。その手には、他の個体よりも一回り大きな、血に濡れた鉈が握り締められている。その黄色い瞳は、エレナの白い肌と豊満な身体を捉え、明らかに劣情と残虐な喜びに満ちた光を宿していた。

『危ねえ! エレナ!』

ガラハッドが叫ぶが、距離がある。間に合わない。エレナは、迫り来る醜悪な脅威に一瞬、息を呑んだ。近距離での戦闘は、魔術師にとって最も苦手とするところだ。杖は打撃武器としてはあまりにも非力であり、呪文の詠唱には僅かながら時間が必要となる。

(落ち着いて…! わたくしには、風がある!)

エレナは、込み上げてくる恐怖を、強い意志の力で振り払った。彼女は杖を胸の前に構え直し、残っていたマナを瞬時に練り上げる。

「風よ、渦巻きて障壁となれ! わたくしを守る盾となれ! 」

エレナの周囲に、目には見えない、しかし強力な風の壁が瞬時に形成された。それは、高速で回転する空気の渦であり、物理的な攻撃を弾き返す防御魔術だ。レッドキャップが、奇声を上げながら振り下ろした血塗れの鉈は、見えない壁に阻まれ、ガギンッ、と鈍い金属音を立てて弾き返された。レッドキャップは、予期せぬ抵抗に体勢を崩し、一瞬、動きが止まる。

その致命的な隙を見逃すはずがなかった。ガラハッドの巨体が、まるで怒れる熊のようにレッドキャップに突進し、両手剣を横薙ぎに一閃させた。ゴゥッ、と風を切る音と共に、鋼の刃がレッドキャップの胴体を、まるで熟れた果実を断ち割るかのように、真っ二つに両断した。内臓と血飛沫が周囲に飛び散り、レッドキャップの上半身と下半身は、別々の方向へと吹き飛んでいった。

戦闘は、あっという間に終わった。周囲には、レッドキャップどもの無残な死骸が五つ転がり、むせ返るような血と臓物の生臭い匂いが、森の湿った空気と混じり合って漂っている。エレナは、はぁ、はぁ、と荒い息をつき、杖を握る手に力が入りすぎて、指先が白くなっていることに気づいた。心臓が、まだ激しく鼓動している。

『…ありがとうございます、ガラハッド殿、ロキ殿。お二人がいなければ、危ういところでしたわ』

エレナは、まだ少し震える声で、素直な感謝の言葉を口にした。彼らの実力は確かだった。そして、結果的にではあるが、彼らはエレナを守ってくれたのだ。

ガラハッドは、両手剣についた赤黒い血糊を、近くの木の幹で無造作に拭うと、ぶっきらぼうに答えた。

『ふん、礼には及ばん。仕事だからな。だが、まあ、あんたも思ったよりはやるようだな。あの風の壁は悪くなかった』

その口調は相変わらず無骨だったが、エレナに向けられた眼の光には、先ほどまでのあからさまな不信感は薄れているように見えた。ほんの少しだけ、仲間として認められたような気がして、エレナの心に小さな安堵感が広がった。

一方、ロキは、短剣についた血を、まるで美味なソースでも味わうかのように、ぺろりと舌で舐め取りながら、にやりと下卑た笑みを浮かべた。

『へっへっへ。どういたしまして、エレナのお嬢ちゃん。 あんたみたいな別嬪さんを守るのは、俺たち男の役目ってもんだからな。それにしても、今の風の壁、なかなか見事だったぜ。あんたのその豊かな胸みたいに、しっかり硬くて、頼りになりそうだ。なあ?』

相変わらずの下卑た物言いだったが、その声にはどこか得意げな響きがあった。エレナは、その言葉と、再び彼女の胸元をねっとりと見つめる視線に、顔をしかめ、強い不快感を覚えた。しかし、今は反論する気力も、その必要性も感じなかった。

(…思ったよりも、頼りになるのかもしれないわ。性格は、最低だけれど)

エレナは、二人の男に対する評価を、ほんの少しだけ改めた。確かに、ガラハッドは無骨で口が悪く、ロキは下品で信用ならない。しかし、こと戦闘に関しては、彼らは紛れもなくプロフェッショナルだった。それぞれの役割を的確にこなし、互いの動きを補い合っていた。この二人となら、あるいは、この困難な任務を乗り越えられるかもしれない。そんな淡い、しかし確かな希望の光が、エレナの胸に、ようやく芽生え始めていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...