剣と魔法の世界で冒険はそこそこにして色々なお仕事の女の子達がはちゃめちゃにえっちなことになるお話

アレ

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6章 メイドとして潜入したら当然の如くぐちょぐちょえっちになってしまうお話

101:任務

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ギルドマスターであるアシュワース氏が、二つの厄介な依頼を抱えて頭を悩ませてから数日が過ぎました。
港湾要塞都市アストリナの冒険者ギルドは、相も変わらず屈強な冒険者たちの熱気と、エール酒の匂い、そして一攫千金を夢見る者たちの欲望でごった返しています。

「はい、次のお客様、どうぞですよー!」

リーゼさんはいつものように、完璧な笑顔をカウンターに貼り付けて、ひっきりなしに訪れる冒険者たちを捌いていました。しかしその内心は、決して穏やかではありません。今日も今日とて彼女の下腹部に刻まれた淫紋『蕩婦の嘆き』は、ギルドに渦巻く男たちの剥き出しの欲望にいちいち反応して、じくじくと熱を帯びるのです。スカートの下で、太ももが震え、蜜がじわりと滲み出すのを感じながらも、受付嬢としての完璧な仮面を被り続けます。

そんな喧騒の中、ふと、一人の女性がリーゼさんの受付窓口へと、音もなく歩み寄ってきたことに気がつきました。周囲の荒くれ者たちとは明らかに異質なその存在感に、リーゼさんだけでなく、近くにいた冒険者たちも思わず息を呑み、視線を奪われます。

夜の闇を溶かし込んだかのような、艶やかな黒髪。吸い込まれそうなほどに深い光を宿す、黒い瞳。そして、雪のように白い肌。華奢でありながら、無駄なく引き締まったしなやかな身体の線は、東方の国から来たという舞姫のようでもあり、あるいは影に生きる暗殺者のようでもありました。彼女が身に纏うのは、旅装束としても使えるように機能的に仕立てられた、白いコート。しかし、その簡素な出で立ちがかえって、彼女の持つ神秘的なまでの美しさと、男好きのする魅力的な肉体の曲線を際立たせていました。

彼女は、まるで水面を滑るかのように静かな足取りでカウンターに近づくと、その黒い瞳でまっすぐにリーゼさんを射抜き、凛とした声で一言だけ告げました。

「ギルドマスター氏から、書状を受け取った」

そう言って彼女が差し出したのは、アシュワース氏の紋章である『天秤』の意匠が施された蝋で封印された、一通の書簡でした。

「!!
か、かしこまりました! すぐにご案内しますね!」

リーゼさんは、その書簡が何を意味するのかを瞬時に理解し、上ずった声で応じました。あの二つの、最高難易度の依頼の請負期限が、刻一刻と迫っていたのです。彼女は慌てて「少し席を外します」と書かれた札を窓口に立てると、女性を伴ってギルドの奥、重々しい執務室の扉へと急ぎました。

◇◇◇

「おお、よくぞ来てくれた、小雪さん。君が来てくれると信じていたよ」

執務室の主、アシュワース氏は、椅子から立ち上がって、満面の笑みで彼女を迎え入れました。その抜け目のない瞳が、値踏みするように、しかしどこか期待に満ちた光をたたえて、黒髪の女性、小雪さんを見つめます。

「して、話は書状で?」
「概要は。だが、詳細は直接聞きたい。危険な任務であることは承知している」

小雪さんは、感情の読めない静かな口調で答えます。その落ち着き払った様に、アシュワース氏は満足げに頷くと、机の上に広げられた領主邸の見取り図や、魔術的な観測データが記された羊皮紙を指し示しながら、依頼の詳細を説明し始めました。

「君に頼みたいのは、領主が溺愛する御子息、ユーノ様の護衛、そして、彼の周辺で起きている異変の調査だ。表向きは、新しく雇われた「世話係」として領主邸に潜入してもらう」

アシュワース氏は、そこで一度言葉を切り、真剣な眼差しで小雪さんを見つめます。

「ユーノ様は、おそらく領主邸の北塔にある「封印されし書庫」から、何らかの禁書を持ち出している。万が一、それが異界の存在を呼び出すような危険な魔術であった場合、君にはその調査と、可能であれば魔物の討伐も依頼したい。ただし、何があってもユーノ様の身の安全を最優先とすること。それが絶対の条件だ」


「……承知した。早速、取り掛かる」

小雪さんは、一切の躊躇なく頷きました。その即決ぶりに、アシュワース氏は安堵の息を漏らすと、執務机の隠し引き出しから、黒い桐箱のようなものを取り出します。

「これは、私からのささやかな支援だ。君の任務の助けになるだろう」

箱の中には、彼の魔導具師としての技の粋を集めて作られた、いくつかの特製の魔導具が、黒いビロードの上に鎮座していました。

一つは、闇夜茸(やみよたけ)の胞子を練り込んだ絹糸で編まれた手袋と足袋。これを身に着ければ、術者の気配と足音を完全に遮断することができます。
一つは、月光鋼(げっこうこう)と呼ばれる、魔力を帯びた金属から鍛えられた三本のクナイ。投擲すれば、低位の魔術的結界であれば音もなく切り裂くことが可能です。
そして、極めつけは、トンボの複眼を模した水晶の耳飾り。これを身に着ければ、壁の向こうの微かな物音や話し声さえも、まるで耳元で囁かれているかのように聞き取ることができる『盗聴』の魔導具でした。

小雪さんは、それらの魔導具を一つ一つ手に取り、その造りや付与された魔力の質を、専門家のように鋭い目つきで検分します。そして、すべての道具を懐にしまうと、アシュワース氏に向かって、深く、しかし無駄のない動きで一礼しました。

そして彼女はくるりと身を翻し、音もなく執務室から出ていきました。その背中を見送りながら、呆気にとられていたリーゼさんが、感心したように声を上げます。

「あの方が、マスターが言っていた東方の『シノビ』なんですね!
クールで、とってもカッコイイですよ!」

純粋な賞賛の言葉に、アシュワース氏はやれやれといった風に肩をすくめ、意味ありげな苦笑いを浮かべました。

『リーゼ君。あれは彼女の、いわば営業用の仮面だよ。
実際の彼女はもっと…そうだな、…』

そう言って口ごもるギルドマスターの言葉の真意を、この時のリーゼさんは、まだ知る由もありませんでした。
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