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6章 メイドとして潜入したら当然の如くぐちょぐちょえっちになってしまうお話
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小雪さんが、領主の御子息であるユーノくんのお世話係を拝命してから、三日の月日が流れました。
はじめこそ、年頃の女性に身近で世話をされることに戸惑い、警戒の色を隠さなかったユーノくんでしたが、一人っ子で話し相手も少ない境遇は、彼の心を寂しさで満たしていたのでしょう。小雪さんの献身的で物静かな、それでいてどこか温かみのある佇まいに、少年はすぐに固く閉ざした心の扉を、少しずつ開いてくれました。
今日の午後は、領主邸が誇る広大な庭園を、丸一日かけて案内してくれたのです。迷路のように入り組んだ薔薇の園、古代樹の根元に湧き出す清らかな泉、ガラス張りの温室で異国の花々が咲き乱れる様を、ユーノくんは少し得意げに、しかし嬉しそうに説明してくれました。その横顔は、これまで書斎で見てきた蝋のような顔色ではなく、年相応の活気に満ちていました。
今は、庭園を見渡せる私室で、二人きりのお茶の時間を楽しんでいます。銀のポットから注がれる紅茶は、高価な月光茶でしょうか、湯気と共に芳しい香りが立ち上ります。テーブルの上には、邸宅の料理人が腕によりをかけて作ったであろう、色とりどりの焼き菓子が並べられていました。
「それでね、おねえちゃん。おじいちゃんの病気を少しでも良くしたくて、北塔の奥にある図書室で、ずっと本を探していたんだ。そしたら、これを見つけたんだよ!」
興奮した面持ちで、ユーノくんが一冊の古びた本を掲げてみせました。
革で装丁された表紙は、長い年月のせいでひび割れ、かろうじて金箔で押された文字が読み取れる程度です。しかし、小雪さんの鍛えられた五感は、その本から放たれる微かで、しかし確かな魔力の揺らぎを捉えていました。間違いありません、これは魔導書です。
タイトルには、古代魔術語で【治療と滋養強壮の妙薬合成について】と記されていました。その下には、より小さな文字で「—グリフォンの涙とマンドラゴラの根を用いた生命力活性化の秘術—」と副題が添えられています。
ユーノくんは、病に伏せる祖父、先代領主を元気づけたい一心で、誰にも知られず、独学で危険な魔術の道に足を踏み入れていたのでした。その健気な想いに、小雪さんは胸を打たれます。
「まあ、ユーノ様。素晴らしいことですね。おひとりで、ここまで…」
「ふふん、すごいでしょ! それでね、この本を参考にして、僕の部屋の隣にある、昔の実験室であれこれ試してみたら…これができたんだ!」
ユーノくんは、さらに得意げな表情で、小さな薬瓶をテーブルの上にことりと置きました。
透明なガラス瓶の中で、緑色の光を放つ液体が、とろりと揺らめいています。甘い花の蜜のような、それでいて奥の方に薬草の苦さが混じる、不思議な香りがしました。うっすらと魔力の光が漏れ出しています。間違いありません。これはポーションです。
瓶には、拙い文字で【げんきになるぽーしょん】と書かれたラベルが、少し斜めに貼られていました。
ユーノくんは、ただ勉強に励むだけでなく、実際に禁断の魔術知識を用いて、謎ポーションを合成してしまったのでした。小雪さんの表情から、感心の光がすっと消え、代わりに鋭い警戒の色が浮かびます。
「ユーノ様…そのお薬を、どうなさるおつもりですか?」
「もちろん、おじいちゃんに飲んでもらうつもりだよ?」
無邪気に答えるユーノくんに、小雪さんは静かに問いかけます。
「そのお薬の効果は、確かめられたのでしょうか? 」
「…あ。そういえば、そうだったね。じゃあ、僕が飲んでみるよ!」
「あッ!まっ、お待ちください!」
小雪さんの制止の声も、間に合いませんでした。
言うが早いか、ユーノくんは薬瓶のコルク栓を抜き、中身をくいっと一口、喉に流し込んでしまったのです。
「ん、美味しい! これで僕も、最近の寝不足が解消されて元気になるは…ず…」
その瞬間、ユーノくんの言葉がぷつりと途切れました。
彼の白い頬が、ぽっと林檎のように赤く染まったかと思うと、次の瞬間には顔中が沸騰したかのように真っ赤に染め上がります。ぜぇ、ぜぇ、と荒い呼吸を繰り返し、小さな身体をくの字に折り曲げると、お腹のあたりを強く押さえてその場にしゃがみ込んでしまいました。
「ユーノ様!? どうなさいましたか!」
小雪さんは慌てて椅子から立ち上がり、彼のそばに駆け寄ります。その小さな背中は、小刻みに震えていました。
「あ、あ…う、うわぁっ!」
ユーノくんの驚愕に満ちた悲鳴とともに、信じられない光景が小雪さんの目に飛び込んできました。
彼の履いていた上質なズボンの股間が、内側から爆発的な力で押し上げられ、硬質な布地を突き破らんばかりの勢いで、屹立した熱の塊がその猛々しい姿を現したのです。それは、とても少年のものとは思えぬほどに巨大で、まるでそれ自体が一個の生き物のように、びくん、びくんと脈打っていました。
「ああ゛ッッ、おねぇ、ちゃん…ごめ、なさ…ぁ」
ユーノくんの瞳からは、驚きと恐怖に震える涙がぽろぽろと零れ落ちています。その表情は、苦痛と、そして未知の快感に戸惑っているようにも見えました。小さな身体には不釣り合いなほどの彼の分身は、制御不能の魔力を宿して熱を放ち、今にもはち切れてしまいそうです。
はじめこそ、年頃の女性に身近で世話をされることに戸惑い、警戒の色を隠さなかったユーノくんでしたが、一人っ子で話し相手も少ない境遇は、彼の心を寂しさで満たしていたのでしょう。小雪さんの献身的で物静かな、それでいてどこか温かみのある佇まいに、少年はすぐに固く閉ざした心の扉を、少しずつ開いてくれました。
今日の午後は、領主邸が誇る広大な庭園を、丸一日かけて案内してくれたのです。迷路のように入り組んだ薔薇の園、古代樹の根元に湧き出す清らかな泉、ガラス張りの温室で異国の花々が咲き乱れる様を、ユーノくんは少し得意げに、しかし嬉しそうに説明してくれました。その横顔は、これまで書斎で見てきた蝋のような顔色ではなく、年相応の活気に満ちていました。
今は、庭園を見渡せる私室で、二人きりのお茶の時間を楽しんでいます。銀のポットから注がれる紅茶は、高価な月光茶でしょうか、湯気と共に芳しい香りが立ち上ります。テーブルの上には、邸宅の料理人が腕によりをかけて作ったであろう、色とりどりの焼き菓子が並べられていました。
「それでね、おねえちゃん。おじいちゃんの病気を少しでも良くしたくて、北塔の奥にある図書室で、ずっと本を探していたんだ。そしたら、これを見つけたんだよ!」
興奮した面持ちで、ユーノくんが一冊の古びた本を掲げてみせました。
革で装丁された表紙は、長い年月のせいでひび割れ、かろうじて金箔で押された文字が読み取れる程度です。しかし、小雪さんの鍛えられた五感は、その本から放たれる微かで、しかし確かな魔力の揺らぎを捉えていました。間違いありません、これは魔導書です。
タイトルには、古代魔術語で【治療と滋養強壮の妙薬合成について】と記されていました。その下には、より小さな文字で「—グリフォンの涙とマンドラゴラの根を用いた生命力活性化の秘術—」と副題が添えられています。
ユーノくんは、病に伏せる祖父、先代領主を元気づけたい一心で、誰にも知られず、独学で危険な魔術の道に足を踏み入れていたのでした。その健気な想いに、小雪さんは胸を打たれます。
「まあ、ユーノ様。素晴らしいことですね。おひとりで、ここまで…」
「ふふん、すごいでしょ! それでね、この本を参考にして、僕の部屋の隣にある、昔の実験室であれこれ試してみたら…これができたんだ!」
ユーノくんは、さらに得意げな表情で、小さな薬瓶をテーブルの上にことりと置きました。
透明なガラス瓶の中で、緑色の光を放つ液体が、とろりと揺らめいています。甘い花の蜜のような、それでいて奥の方に薬草の苦さが混じる、不思議な香りがしました。うっすらと魔力の光が漏れ出しています。間違いありません。これはポーションです。
瓶には、拙い文字で【げんきになるぽーしょん】と書かれたラベルが、少し斜めに貼られていました。
ユーノくんは、ただ勉強に励むだけでなく、実際に禁断の魔術知識を用いて、謎ポーションを合成してしまったのでした。小雪さんの表情から、感心の光がすっと消え、代わりに鋭い警戒の色が浮かびます。
「ユーノ様…そのお薬を、どうなさるおつもりですか?」
「もちろん、おじいちゃんに飲んでもらうつもりだよ?」
無邪気に答えるユーノくんに、小雪さんは静かに問いかけます。
「そのお薬の効果は、確かめられたのでしょうか? 」
「…あ。そういえば、そうだったね。じゃあ、僕が飲んでみるよ!」
「あッ!まっ、お待ちください!」
小雪さんの制止の声も、間に合いませんでした。
言うが早いか、ユーノくんは薬瓶のコルク栓を抜き、中身をくいっと一口、喉に流し込んでしまったのです。
「ん、美味しい! これで僕も、最近の寝不足が解消されて元気になるは…ず…」
その瞬間、ユーノくんの言葉がぷつりと途切れました。
彼の白い頬が、ぽっと林檎のように赤く染まったかと思うと、次の瞬間には顔中が沸騰したかのように真っ赤に染め上がります。ぜぇ、ぜぇ、と荒い呼吸を繰り返し、小さな身体をくの字に折り曲げると、お腹のあたりを強く押さえてその場にしゃがみ込んでしまいました。
「ユーノ様!? どうなさいましたか!」
小雪さんは慌てて椅子から立ち上がり、彼のそばに駆け寄ります。その小さな背中は、小刻みに震えていました。
「あ、あ…う、うわぁっ!」
ユーノくんの驚愕に満ちた悲鳴とともに、信じられない光景が小雪さんの目に飛び込んできました。
彼の履いていた上質なズボンの股間が、内側から爆発的な力で押し上げられ、硬質な布地を突き破らんばかりの勢いで、屹立した熱の塊がその猛々しい姿を現したのです。それは、とても少年のものとは思えぬほどに巨大で、まるでそれ自体が一個の生き物のように、びくん、びくんと脈打っていました。
「ああ゛ッッ、おねぇ、ちゃん…ごめ、なさ…ぁ」
ユーノくんの瞳からは、驚きと恐怖に震える涙がぽろぽろと零れ落ちています。その表情は、苦痛と、そして未知の快感に戸惑っているようにも見えました。小さな身体には不釣り合いなほどの彼の分身は、制御不能の魔力を宿して熱を放ち、今にもはち切れてしまいそうです。
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