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8章 いけない趣味の宿屋娘がいろいろと巻き込まれてしまうお話
134:偽装
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ああ、なんてことでしょう。これから、この部屋で、どんな背徳的な宴が繰り広げられるというのか。期待に胸が膨らみ、わたくしの右手は、知らず知らずのうちに寝間着の奥深く、自身の最も柔らかな場所へと誘われていました。そこはもう、おかあさまの瞳と同じように、熱く、そしてたっぷりと濡れておりました。指先が、秘唇の間で蠢く小さな肉芽に触れた、その瞬間。
「――おやおや。この宿では声を気にせず楽しめると聞いていたが、覗き見は感心しないな…」
水晶玉の中から、アシュワース氏の声が響きました。その声は、耳長族の女性にではなく、明らかに部屋のどこか、第三者に向けられたものでした。しかし、彼の視線は、まっすぐに、部屋の隅に置かれた大きな姿見に向けられています。わたくしが、遠見の魔術の触媒として、気づかれぬよう微細なルーンを刻み込んだ、あの鏡に。
しまった。そう思った時には、もう手遅れでした。
アシュワース氏は、ゆっくりと椅子から立ち上がると、鏡へと歩み寄ります。そして、その右腕に、禍々しいほどの魔力を収束させ始めました。大気がびりびりと震え、彼の腕が暗紫色の光を放ちます。わたくしの驚愕の声をよそに、アシュワース氏の腕が、ずぶ、と音を立てて鏡の表面に沈み込みました。鏡面が、まるで水面のように揺らぎ、彼の腕を飲み込んでいきます。そして、次の瞬間。
「ひゃあっ!?」
わたくしの目の前、この部屋の空間そのものが、ぐにゃりと歪みました。そして、その歪みの中心から、アシュワース氏の、あの暗紫色の光を放つ巨大な腕が、にゅっと突き出してきたのです。その手は、寸分の狂いもなく、わたくしの身体を、その薄い寝間着ごと、鷲掴みにしました。
(空間転移魔術!? まさか、こんな精密な座標指定を、補助魔術陣もなしで……!)
「いやっ……!?」
抵抗する間もありません。わたくしの身体は、抗いがたい力で空間の歪みの中へと引きずり込まれていきます。視界がぐにゃりと歪み、平衡感覚が失われる。まるで、嵐の海に投げ出された小舟のようでした。
そして、次の瞬間。わたくしは、硬い床の上に、無様に投げ出されていました。
目の前には、驚きに目を見開くエルフの女性と、そして、すべてを見透かしたような、意地の悪い笑みを浮かべるアシュワース氏が立っています。わたくしが先程まで水晶玉を通して覗き見ていた、あの部屋の中に。
わたくしの格好は、あまりにも、はしたないものでした。乱れた寝間着ははだけ、豊かな胸の谷間があらわになり、その右手は、まだ自身の秘唇の間に指を添わせたまま。その指先が、自らの愛液でぬるりと光っているのが、自分でも分かりました。
「これはこれは……。魔術師ギルドで見かける、利発そうなお嬢さんだと思ったが……。まさか、こんな破廉恥な趣味をお持ちだったとはな」
アシュワース氏は、心底楽しそうに、にやにやと笑っています。その視線が、わたくしの肌を舐めるように這い、羞恥と恐怖で、全身の血が沸騰しそうでした。
「マ、マスター!大変ですよ!覗かれてしまいました!」
エルフの女性が、驚いた顔で歩み寄ってきます。その美しい顔立ちは、わたくしのような人間のそれとは異なり、どこか神秘的な雰囲気を漂わせています。プラチナブロンドの髪がさらりと揺れ、その瞳には、驚愕と困惑、そして隠しきれない情欲と、ほんのわずかな同情の色が浮かんでいました。
「……あ、あ……」
声が出ません。ただ、わなわなと震えることしかできませんでした。
アシュワース氏は、そんなわたくしを満足げに見下ろすと、懐から一本の、黒曜石でできた短い杖を取り出しました。杖の先端には、複雑な幾何学模様のルーンが刻まれており、不気味な魔力を放っています。
「さて、と。盗み見の罪は、重いぞ、お嬢さん。その身体で、きっちりと償ってもらわねばな」
彼はそう言うと、杖の先端をわたくしに向けました。杖から放たれた暗色の魔力光が、まるで生き物のように蠢き、わたくしの手足に絡みつきます。それは、魔力を帯びた者であればあるほど、その体内のマナの流れを乱し、動きを封じるという、対魔術師用の高等拘束魔術でした。身動き一つ、できなくなります。
「リーゼ君。仕事は後回しだ。今宵は、この可愛らしい観客の前で、存分に楽しむとしようじゃないか」
アシュワース氏は、エルフの女性――リーゼと呼ばれた彼女に、そう提案しました。リーゼさんは、一瞬、引きつったような表情を浮かべましたが、すぐに、その瞳に抗いがたい熱が宿るのを、わたくしは見逃しませんでした。彼女の下腹部で渦巻く呪印の魔力が、この異常な状況に、そしてアシュワース氏の支配的な言葉に、歓喜の声を上げていたのです。
「……マスター。本当は、そういうのだめなんですよ…?」
彼女は、諦めたように、しかしどこか嬉しそうに微笑むと、ゆっくりと、アシュワース氏のたくましい身体に、そのしなやかな肢体を寄せたのでした。
「――おやおや。この宿では声を気にせず楽しめると聞いていたが、覗き見は感心しないな…」
水晶玉の中から、アシュワース氏の声が響きました。その声は、耳長族の女性にではなく、明らかに部屋のどこか、第三者に向けられたものでした。しかし、彼の視線は、まっすぐに、部屋の隅に置かれた大きな姿見に向けられています。わたくしが、遠見の魔術の触媒として、気づかれぬよう微細なルーンを刻み込んだ、あの鏡に。
しまった。そう思った時には、もう手遅れでした。
アシュワース氏は、ゆっくりと椅子から立ち上がると、鏡へと歩み寄ります。そして、その右腕に、禍々しいほどの魔力を収束させ始めました。大気がびりびりと震え、彼の腕が暗紫色の光を放ちます。わたくしの驚愕の声をよそに、アシュワース氏の腕が、ずぶ、と音を立てて鏡の表面に沈み込みました。鏡面が、まるで水面のように揺らぎ、彼の腕を飲み込んでいきます。そして、次の瞬間。
「ひゃあっ!?」
わたくしの目の前、この部屋の空間そのものが、ぐにゃりと歪みました。そして、その歪みの中心から、アシュワース氏の、あの暗紫色の光を放つ巨大な腕が、にゅっと突き出してきたのです。その手は、寸分の狂いもなく、わたくしの身体を、その薄い寝間着ごと、鷲掴みにしました。
(空間転移魔術!? まさか、こんな精密な座標指定を、補助魔術陣もなしで……!)
「いやっ……!?」
抵抗する間もありません。わたくしの身体は、抗いがたい力で空間の歪みの中へと引きずり込まれていきます。視界がぐにゃりと歪み、平衡感覚が失われる。まるで、嵐の海に投げ出された小舟のようでした。
そして、次の瞬間。わたくしは、硬い床の上に、無様に投げ出されていました。
目の前には、驚きに目を見開くエルフの女性と、そして、すべてを見透かしたような、意地の悪い笑みを浮かべるアシュワース氏が立っています。わたくしが先程まで水晶玉を通して覗き見ていた、あの部屋の中に。
わたくしの格好は、あまりにも、はしたないものでした。乱れた寝間着ははだけ、豊かな胸の谷間があらわになり、その右手は、まだ自身の秘唇の間に指を添わせたまま。その指先が、自らの愛液でぬるりと光っているのが、自分でも分かりました。
「これはこれは……。魔術師ギルドで見かける、利発そうなお嬢さんだと思ったが……。まさか、こんな破廉恥な趣味をお持ちだったとはな」
アシュワース氏は、心底楽しそうに、にやにやと笑っています。その視線が、わたくしの肌を舐めるように這い、羞恥と恐怖で、全身の血が沸騰しそうでした。
「マ、マスター!大変ですよ!覗かれてしまいました!」
エルフの女性が、驚いた顔で歩み寄ってきます。その美しい顔立ちは、わたくしのような人間のそれとは異なり、どこか神秘的な雰囲気を漂わせています。プラチナブロンドの髪がさらりと揺れ、その瞳には、驚愕と困惑、そして隠しきれない情欲と、ほんのわずかな同情の色が浮かんでいました。
「……あ、あ……」
声が出ません。ただ、わなわなと震えることしかできませんでした。
アシュワース氏は、そんなわたくしを満足げに見下ろすと、懐から一本の、黒曜石でできた短い杖を取り出しました。杖の先端には、複雑な幾何学模様のルーンが刻まれており、不気味な魔力を放っています。
「さて、と。盗み見の罪は、重いぞ、お嬢さん。その身体で、きっちりと償ってもらわねばな」
彼はそう言うと、杖の先端をわたくしに向けました。杖から放たれた暗色の魔力光が、まるで生き物のように蠢き、わたくしの手足に絡みつきます。それは、魔力を帯びた者であればあるほど、その体内のマナの流れを乱し、動きを封じるという、対魔術師用の高等拘束魔術でした。身動き一つ、できなくなります。
「リーゼ君。仕事は後回しだ。今宵は、この可愛らしい観客の前で、存分に楽しむとしようじゃないか」
アシュワース氏は、エルフの女性――リーゼと呼ばれた彼女に、そう提案しました。リーゼさんは、一瞬、引きつったような表情を浮かべましたが、すぐに、その瞳に抗いがたい熱が宿るのを、わたくしは見逃しませんでした。彼女の下腹部で渦巻く呪印の魔力が、この異常な状況に、そしてアシュワース氏の支配的な言葉に、歓喜の声を上げていたのです。
「……マスター。本当は、そういうのだめなんですよ…?」
彼女は、諦めたように、しかしどこか嬉しそうに微笑むと、ゆっくりと、アシュワース氏のたくましい身体に、そのしなやかな肢体を寄せたのでした。
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