剣と魔法の世界で冒険はそこそこにして色々なお仕事の女の子達がはちゃめちゃにえっちなことになるお話

アレ

文字の大きさ
153 / 370
9章 狩人も冒険ではちゃめちゃになってしまうお話

147:依頼

しおりを挟む
「さらに問題なのが、この『瘴気汚染』です」
セレスさんは続けます。
「瘴気とは、高濃度の魔素が生命活動に有害な形で変質した、いわば魔力の大気汚染。植物は枯れ、動物は病み、長く浴び続ければ、人の精神さえも蝕みます。この汚染源が、依頼対象の魔物であることは間違いありません。放置すれば、麓の村にまで被害が及ぶでしょう。だからこその、この高額報酬なのです。長く浴びれば体力に優れた獣人といえ、無事では済みません。」

それでも、シャイラさんの決意は揺らぎませんでした。故郷の皆の笑顔が、彼女を突き動かします。
その、頑なな金色の瞳を見て、セレスさんは静かにため息をつくと、隣のカウンターで同じく受付業務をこなしていた同僚に、助けを求めるように視線を送りました。

「…リーゼさん。あなたなら、どうしますか?」

声をかけられたプラチナブロンドの受付嬢、リーゼさんは、山のような書類仕事を軽やかに片付けながら、にこりと完璧な笑顔を返しました。
「あらあら、セレスさん。また難しい顔をしちゃって。そんなんじゃ、幸せが逃げていっちゃいますよ!」

その声は鈴を転がすように軽やかで、その表情は憂い一つない晴れやかなものです。どうやら、数日前にギルドマスターであるアシュワース氏に、その身も心も、そして淫紋の疼きも、たっぷりと「教育」してもらったおかげでしょう。今日の彼女は心身ともに満ち足りているようでした。

「ですが、この依頼は…」
「んー、なるほどぉ。これは確かに、厄介な案件ですねぇ」

リーゼさんは、依頼書にさっと目を通すと、少しだけ考える素振りを見せます。そして、何かを思いついたように、ぽん、と手を打ちました。

「そうだ! それなら、あの人をサポートにつけるのはどうでしょう?」

そう言って彼女が視線を向けたのは、ギルドのホールの中央、柱に寄りかかって腕を組み、退屈そうに依頼を物色している一人の男でした。
筋骨隆々とした逞しい身体。しかし、その顔は年の割に老けて見え、鋭い眼光と不愛想な表情が、周囲の者たちを寄せ付けない雰囲気を醸し出しています。何より特徴的なのは、その服装でした。上半身は白い一枚着に、下半身は見たこともない丈夫なズボン。彼の言葉を借りるとTシャツとジーンズと言うそうです。この世界では、あまりにも異質で、場違いな出で立ちです。自称異世界転生者、モブ=オジ。ギルドでも指折りの実力者でありながら、その素性の多くが謎に包まれた、孤高の冒険者です。

「彼なら、万が一のことがあっても、シャイラさんを守ってくれるはずですよ。それに、ほら」
リーゼさんは、悪戯っぽく微笑みます。
「無口で、不愛想な者同士。案外、うまくいくかもしれませんよ?」

その提案に、セレスさんも納得したように頷きました。彼女たちギルド職員は、シャイラさんの経済状況を把握しています。彼女がこの高額な報酬を必要としていることを知っているのです。

「…わかりました。報酬の八割はシャイラさん。モブ=オジさんには、あくまでバックアップと、万が一の際の保険として、残りの二割を。この条件で交渉してみましょう」

話がまとまると、セレスさんは毅然とした態度でモブ=オジを呼びつけ、依頼の内容と条件を手短に説明しました。
シャイラさんは、眉根を寄せます。単独行動を信条とする彼女にとって、見ず知らずの男とパーティーを組むことには、強い抵抗がありました。しかし、ギルド側の強い推薦と、何より金貨三百枚という報酬の魅力には抗えません。
一方のモブ=オジは、金に困っているわけではありません。ただ、彼の日常は、あまりにも退屈に満ち溢れていました。その彼の目に、この謎に包まれた厄介な依頼と、孤高を貫く猫の獣人の少女は、ほんの少しだけ、興味深いものに映ったのです。

「……わかった」
「……よろしく」

短い承諾。
こうして、港湾要塞都市アストリナで最もコミュニケーション能力に難のある二人の冒険者による、奇妙で、危険な共同任務が幕を開けたのでした。

◇◇◇

依頼を受諾した翌日、二人は冒険者ギルドの地下にある、広大な武具・道具の貸与・支給区画にいました。ひんやりとした石壁に囲まれたこの場所は、硝石と金属、そして様々な魔法薬が混じり合った独特の匂いに満ちています。壁一面に並ぶ棚には、手入れの行き届いた武具から、怪しげな輝きを放つ魔道具までが整然と並べられており、アストリナ冒険者ギルドの豊かさと機能性の高さを物語っていました。

「例の依頼の準備をしてください。費用はギルドが持ちます。万全を期してください。」

セレスさんからそう告げられ、シャイラさんは黙って頷くと、必要な品を吟味し始めます。彼女がまず手に取ったのは、手のひらサイズのガラス瓶に詰められた、月光のように淡い青色の液体です。これは『静心の霊薬』と呼ばれる回復ポーションで、精神に作用する毒や幻覚、そして瘴気による精神汚染を一時的に鎮静化させる効果があります。蓋を開けると、凍てつく冬の夜のような、澄み切った冷たい香りが鼻腔をくすぐりました。これを数本、革のポーチに丁寧にしまいます。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...